16 / 16
第2章 亜加里の日常
16話 作戦
しおりを挟む
「よし、 作戦通りに行くぞ」
「「「はい!」」」
その返事と同時に筋骨隆々の男と新たに加わった女がブラックウルフに向かって行き、小柄な男と智美ちゃんはこの場で魔術を唱える。
彼らの意気込みを見て魔術協会長の言っていた事に納得がいく気がした。
◆ ◆ ◆
それは今から数時間前の事。
「今日も昨日と同じく彼らの護衛をお願いします」
「護衛ね、分かったわ」
私は、魔術協会の長である魔術協会長と依頼内容の交渉を行っていた。
「ただ、彼らも素人ではないので様子を見ながらでお願いします」
様子を見ながら?
良く分からないけど、彼らも守られるだけとは思ってないって事かな?
まぁ良いや。
「まぁ、分かったわ」
私は分かったような分かっていないようなまま、部屋を後にした。
◆ ◆ ◆
「≪ストロングフィスト≫」
筋骨隆々の男は魔法で拳を強化してブラックウルフを殴る。
「雷よ≪サンダースラッシュ≫」
女の方は両手に持っていた短剣に雷を這わせて狼に斬りかかる。
だがブラックウルフにはほとんどダメージが無く足止め程度でしかない。
「「我らが行うは捕縛 使うは鎖 狙うは魔ノ物 ≪バインドチェーン≫」」
後衛の2人の魔法が発動すると、狼たちの足元に現れた魔方陣から鎖が現れ次々とブラックウルフを縛っていく。
どうやら前衛の2人は時間稼ぎだったようだ。
ブラックウルフは鎖で縛られて身動きが出来なくなる。
「ふぅ、何とか動きを封じ込められたか」
筋骨隆々の男は安堵の息を吐く。
女も同意するように息を整える。
「き、休憩してないで早く調べて下さい」
智美ちゃんが体をプルプル震わせながら訴える。可愛い。
「分かったわ。汝、我に記憶を示せ≪メモリーオブザベレーション≫」
女がブラックウルフに向かって魔法を発動させる。すると、ブラックウルフと女の額に魔法陣が現れる。
だが時間が経てど特に何も起きない。私が疑問に思って首をかしげていると、智美ちゃんが説明をしてくれる。
「あれは、『メモリーオブザベレーション』と言って相手の記憶を読み取る魔法なんですぅ」
「ふーん」
正直彼らが何にをしようが興味は無いが、記憶を読み取る魔法は良いわね。憶斗には願ったり叶ったりの魔法だと思う。
「なるほど」
などと考えていると女は納得したように呟いた。
一体何が分かったと言うのか。余り詮索はしない方が良いのだが女の方から話始めた。
「どうやらこのブラックウルフ達は新しく巣立った群れのようよ。それに人里に降りて来る心配もほとんど無いわ」
「そうか。なら今回は引き上げるぞ」
筋骨隆々の男は女の話から引き上げる事を選んだ。
◆ ◆ ◆
「で、結局その狼達は監視するだけと?」
僕は目の前に座る姉さんに問いかける。
「そうなの。散々山ん中歩き回ったのにさ。てゆーか、私が護衛しなくても魔術師たちでどうにか出来ないのかしら」
姉さんは机にあったお菓子を食べながら愚痴る。
「まぁ、彼らにも色々と事情があるのかも知れないし」
「まぁそうなんだけど」
姉さんは納得していないようだ。
「でもさ、そこら辺は割り切らないと。
だって、僕たちは対価さえ支払えばどんな依頼でも引き受ける『暗闇の何でも屋』だからさ」
「「「はい!」」」
その返事と同時に筋骨隆々の男と新たに加わった女がブラックウルフに向かって行き、小柄な男と智美ちゃんはこの場で魔術を唱える。
彼らの意気込みを見て魔術協会長の言っていた事に納得がいく気がした。
◆ ◆ ◆
それは今から数時間前の事。
「今日も昨日と同じく彼らの護衛をお願いします」
「護衛ね、分かったわ」
私は、魔術協会の長である魔術協会長と依頼内容の交渉を行っていた。
「ただ、彼らも素人ではないので様子を見ながらでお願いします」
様子を見ながら?
良く分からないけど、彼らも守られるだけとは思ってないって事かな?
まぁ良いや。
「まぁ、分かったわ」
私は分かったような分かっていないようなまま、部屋を後にした。
◆ ◆ ◆
「≪ストロングフィスト≫」
筋骨隆々の男は魔法で拳を強化してブラックウルフを殴る。
「雷よ≪サンダースラッシュ≫」
女の方は両手に持っていた短剣に雷を這わせて狼に斬りかかる。
だがブラックウルフにはほとんどダメージが無く足止め程度でしかない。
「「我らが行うは捕縛 使うは鎖 狙うは魔ノ物 ≪バインドチェーン≫」」
後衛の2人の魔法が発動すると、狼たちの足元に現れた魔方陣から鎖が現れ次々とブラックウルフを縛っていく。
どうやら前衛の2人は時間稼ぎだったようだ。
ブラックウルフは鎖で縛られて身動きが出来なくなる。
「ふぅ、何とか動きを封じ込められたか」
筋骨隆々の男は安堵の息を吐く。
女も同意するように息を整える。
「き、休憩してないで早く調べて下さい」
智美ちゃんが体をプルプル震わせながら訴える。可愛い。
「分かったわ。汝、我に記憶を示せ≪メモリーオブザベレーション≫」
女がブラックウルフに向かって魔法を発動させる。すると、ブラックウルフと女の額に魔法陣が現れる。
だが時間が経てど特に何も起きない。私が疑問に思って首をかしげていると、智美ちゃんが説明をしてくれる。
「あれは、『メモリーオブザベレーション』と言って相手の記憶を読み取る魔法なんですぅ」
「ふーん」
正直彼らが何にをしようが興味は無いが、記憶を読み取る魔法は良いわね。憶斗には願ったり叶ったりの魔法だと思う。
「なるほど」
などと考えていると女は納得したように呟いた。
一体何が分かったと言うのか。余り詮索はしない方が良いのだが女の方から話始めた。
「どうやらこのブラックウルフ達は新しく巣立った群れのようよ。それに人里に降りて来る心配もほとんど無いわ」
「そうか。なら今回は引き上げるぞ」
筋骨隆々の男は女の話から引き上げる事を選んだ。
◆ ◆ ◆
「で、結局その狼達は監視するだけと?」
僕は目の前に座る姉さんに問いかける。
「そうなの。散々山ん中歩き回ったのにさ。てゆーか、私が護衛しなくても魔術師たちでどうにか出来ないのかしら」
姉さんは机にあったお菓子を食べながら愚痴る。
「まぁ、彼らにも色々と事情があるのかも知れないし」
「まぁそうなんだけど」
姉さんは納得していないようだ。
「でもさ、そこら辺は割り切らないと。
だって、僕たちは対価さえ支払えばどんな依頼でも引き受ける『暗闇の何でも屋』だからさ」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる