超能力者一家の日常

ウララ

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第2章 亜加里の日常

16話 作戦

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「よし、 作戦通りに行くぞ」

「「「はい!」」」

その返事と同時に筋骨隆々の男と新たに加わった女がブラックウルフに向かって行き、小柄な男と智美ちゃんはこの場で魔術を唱える。

彼らの意気込みを見て魔術協会長の言っていた事に納得がいく気がした。


 ◆ ◆ ◆


それは今から数時間前の事。


「今日も昨日と同じく彼らの護衛をお願いします」

「護衛ね、分かったわ」

私は、魔術協会の長である魔術協会長と依頼内容の交渉を行っていた。

「ただ、彼らも素人ではないので様子を見ながらでお願いします」

様子を見ながら?
良く分からないけど、彼らも守られるだけとは思ってないって事かな?
まぁ良いや。

「まぁ、分かったわ」
私は分かったような分かっていないようなまま、部屋を後にした。


 ◆ ◆ ◆


「≪ストロングフィスト≫」
筋骨隆々の男は魔法で拳を強化してブラックウルフを殴る。

いかずちよ≪サンダースラッシュ≫」
女の方は両手に持っていた短剣に雷を這わせて狼に斬りかかる。

だがブラックウルフにはほとんどダメージが無く足止め程度でしかない。

「「我らが行うは捕縛 使うは鎖 狙うは魔ノ物 ≪バインドチェーン≫」」
後衛の2人の魔法が発動すると、狼たちの足元に現れた魔方陣から鎖が現れ次々とブラックウルフを縛っていく。

どうやら前衛の2人は時間稼ぎだったようだ。

ブラックウルフは鎖で縛られて身動きが出来なくなる。

「ふぅ、何とか動きを封じ込められたか」
筋骨隆々の男は安堵の息を吐く。
女も同意するように息を整える。

「き、休憩してないで早く調べて下さい」
智美ちゃんが体をプルプル震わせながら訴える。可愛い。

「分かったわ。汝、我に記憶を示せ≪メモリーオブザベレーション≫」
女がブラックウルフに向かって魔法を発動させる。すると、ブラックウルフと女の額に魔法陣が現れる。
だが時間が経てど特に何も起きない。私が疑問に思って首をかしげていると、智美ちゃんが説明をしてくれる。
「あれは、『メモリーオブザベレーション』と言って相手の記憶を読み取る魔法なんですぅ」

「ふーん」
正直彼らが何にをしようが興味は無いが、記憶を読み取る魔法は良いわね。憶斗には願ったり叶ったりの魔法だと思う。

「なるほど」
などと考えていると女は納得したように呟いた。
一体何が分かったと言うのか。余り詮索はしない方が良いのだが女の方から話始めた。

「どうやらこのブラックウルフ達は新しく巣立った群れのようよ。それに人里に降りて来る心配もほとんど無いわ」

「そうか。なら今回は引き上げるぞ」
筋骨隆々の男は女の話から引き上げる事を選んだ。


 ◆ ◆ ◆


「で、結局その狼達は監視するだけと?」
僕は目の前に座る姉さんに問いかける。

「そうなの。散々山ん中歩き回ったのにさ。てゆーか、私が護衛しなくても魔術師たちでどうにか出来ないのかしら」
姉さんは机にあったお菓子を食べながら愚痴る。

「まぁ、彼らにも色々と事情があるのかも知れないし」

「まぁそうなんだけど」
姉さんは納得していないようだ。

「でもさ、そこら辺は割り切らないと。
だって、僕たちは対価さえ支払えばどんな依頼でも引き受ける『暗闇の何でも屋』だからさ」
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