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返信出来ない手紙
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パチパチと火がはぜる音が聴こえ、暖かくて木々の香りが心地良い。ゆっくりと目を開けると、離れた場所に焚火が見える。このまま眠るのも気持ち良さそうだが、生きる力の確認もしたい。僕は起き上がり、周囲を確認した。
「洞穴かな?」
僕がいたのは洞穴の中だった。座高より少し高い天井に、両腕を伸ばしてギリギリ届かない程度の横幅。出口も近い位置にあり、僕より奥にある焚火はこのままでも問題なさそうだ。まだ夜みたいなので、今日は此処で過ごそう。
「まずは荷物」
格好はお参りした時のままだったので、持ち物は財布だけ。周囲を見渡しても、特に何も置かれていない。手足も人間のままだし、思えばキコは少し言いよどんでいた気がする。・・・少し不安になってきた。
「なんか重いような・・・手紙?」
財布に変化はなかったが、中身は入れ替わっていた。お札の場所には手紙が入っていて、小銭入れにはギッシリと謎の金属が詰まっている。入っている場所や形から察するに、恐らく通貨だろうか?多分手紙に説明と思うので、僕は手紙を開いた。
『猫山精一様
雪解けの水が美味しい季節になりました。』
なんだか変わった時候の挨拶だ。それに何か違和感がある。
『このたびは、ラミナへの無事の転送、おめでとうございます。
きっと願い通り、素敵な出会いに沢山恵まれる事でしょう。』
良い事が書いてあるが、無事の一言が少し引っかかる。
『僭越ながら、財布の所持金は全てこの世界の通貨に両替させて頂きました。
元のお金は全て賽銭箱に入れておきましたので、ご安心ください。』
両替?それは本当に両替なのか?
『新しい地では何かと苦労されると思うので、便利な道具をお送りします。
この世界の本も同封しているので、一読いただければ幸いでございます。』
改めて周囲を確認するが見当たらない。もしかして外に置かれているのだろうか?暗いので難しそうだが、読み終わったら探すしかない。
『どうかお身体を大切に。
いつかお会いできる日を楽しみにしています。
稲の神』
なるほど、違和感の正体はこれだったのか。まさか稲の神様が書いた文だったとは。でも出来れば荷物の場所も書いて欲しかった。
『追伸 道具はポケットの中にある、巾着袋の中じゃ。
我も修業を頑張るゆえ、精一もしっかり生きるのじゃぞ!
キコ』
手紙を書いてくれた稲の神様には悪いが、追伸のキコの方が重要なことを教えてくれた気がする。お礼を書きたいが、宛先不明で送る事は出来ないので、少し残念だ。手紙を仕舞い、ポケットに手を入れると、薄く小さな巾着袋が入っていた。重さも感じず、膨らみもまるでない。言われなければ絶対に気づけなかったと思う。
「おおっ・・・ぐっ!?」
巾着袋の紐を解くと、引っ越しの段ボールサイズに膨らんだ。そして、思い出したかのように重量が重くなり、支えきれず足に落としてしまう。しばらく洞穴に僕の悲鳴が木霊した。
「洞穴かな?」
僕がいたのは洞穴の中だった。座高より少し高い天井に、両腕を伸ばしてギリギリ届かない程度の横幅。出口も近い位置にあり、僕より奥にある焚火はこのままでも問題なさそうだ。まだ夜みたいなので、今日は此処で過ごそう。
「まずは荷物」
格好はお参りした時のままだったので、持ち物は財布だけ。周囲を見渡しても、特に何も置かれていない。手足も人間のままだし、思えばキコは少し言いよどんでいた気がする。・・・少し不安になってきた。
「なんか重いような・・・手紙?」
財布に変化はなかったが、中身は入れ替わっていた。お札の場所には手紙が入っていて、小銭入れにはギッシリと謎の金属が詰まっている。入っている場所や形から察するに、恐らく通貨だろうか?多分手紙に説明と思うので、僕は手紙を開いた。
『猫山精一様
雪解けの水が美味しい季節になりました。』
なんだか変わった時候の挨拶だ。それに何か違和感がある。
『このたびは、ラミナへの無事の転送、おめでとうございます。
きっと願い通り、素敵な出会いに沢山恵まれる事でしょう。』
良い事が書いてあるが、無事の一言が少し引っかかる。
『僭越ながら、財布の所持金は全てこの世界の通貨に両替させて頂きました。
元のお金は全て賽銭箱に入れておきましたので、ご安心ください。』
両替?それは本当に両替なのか?
『新しい地では何かと苦労されると思うので、便利な道具をお送りします。
この世界の本も同封しているので、一読いただければ幸いでございます。』
改めて周囲を確認するが見当たらない。もしかして外に置かれているのだろうか?暗いので難しそうだが、読み終わったら探すしかない。
『どうかお身体を大切に。
いつかお会いできる日を楽しみにしています。
稲の神』
なるほど、違和感の正体はこれだったのか。まさか稲の神様が書いた文だったとは。でも出来れば荷物の場所も書いて欲しかった。
『追伸 道具はポケットの中にある、巾着袋の中じゃ。
我も修業を頑張るゆえ、精一もしっかり生きるのじゃぞ!
キコ』
手紙を書いてくれた稲の神様には悪いが、追伸のキコの方が重要なことを教えてくれた気がする。お礼を書きたいが、宛先不明で送る事は出来ないので、少し残念だ。手紙を仕舞い、ポケットに手を入れると、薄く小さな巾着袋が入っていた。重さも感じず、膨らみもまるでない。言われなければ絶対に気づけなかったと思う。
「おおっ・・・ぐっ!?」
巾着袋の紐を解くと、引っ越しの段ボールサイズに膨らんだ。そして、思い出したかのように重量が重くなり、支えきれず足に落としてしまう。しばらく洞穴に僕の悲鳴が木霊した。
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