獣の国~獣人だらけの世界で僕はモフモフする~

雅乃

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読書と獣化

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数分間ぐらい悶絶し、ようやく足の痛みが少し収まったので、巾着袋の中身を確認する事にした。巾着を足で挟むように座り、中身を取り出す。

「石のナイフ?」

一番上に入っていたのは、鞘と太めのベルトが一体した小型のナイフ。果物ナイフ程の刃渡りだが、灰色の刀身は驚くほど鋭い。でも触り心地は金属ではなく、石を触っているみたいだった。持ち手は木製で、上から黒と銀色の紐が巻かれて滑りにくそうだ。

次に出てきたのは肌触りの良いクリーム色の着物。これがこの世界の服装なんだろうか?笑われたくないので、僕は早速着替える事にした。シャツのボタンを外し、壁にぶつからないように脱ぐ。ズボンも脱いで、上着と一緒に邪魔にならないよう焚火側に置く。そして、下着はそのままに着物を羽織る。畳まれている時は気づかなかったが、徐々に赤みがかっていくグラデーションが綺麗だ。

「あれ?帯が無い」

巾着袋には帯が入っていなかった。探しても雪駄しか出てこず、仕方ないので帯代わりにベルトを巻く。しかし、革製のベルトなのに、思った以上にしっくりとくる。雪駄を履いて着替え終わった今では、これが正解だと確信した。

次に巾着袋に入っていたのは大きさがバラバラな5冊の本。

「『ラミナの真実』に『羊式魔物判別法』に『白熊お勧めグルメ旅』に『メモ帳』と『猿が教える獣化の仕方』」

夜が明けるまで時間はまだありそうだ。手に取った順に僕は本を読み始める。メモ帳にはペンがくっ付いていたので、重要な事だけメモして纏めた。

『ラミナの真実
 
 獣人を無差別に襲う存在=魔物
 魔物の姿は獣人の昔の姿と同じだが、魔物と獣人は別物で一緒にするのは侮辱
 干支の12種の動物(獣人)は尊敬されている
 宗教は多数存在する』


大半が童話だったので、必要な情報はあまりなかった。でも、僕にとっての動物が魔物なのは、少し悲しい。説得や飼育する事は出来ないのだろうか?

『羊式魔物判別法
 
 魔物は基本は灰色で、理性や知能はほとんど存在しない
 有色の魔物は通常の何倍も強く、色に応じて能力が異なる
 適合体は魔物と特定の色が組み合わさった存在で、特殊能力を有する。

 強さ 灰色<有色<<適合体
 数  灰色>>有色>適合体

 赤色 攻撃強化 
   青色 速度強化
   茶色 全体強化      
   黄色 肉体硬化 
 緑色 巨大化 
 
 危険を感じる前に逃げる事が大切』


基本は灰色で、色がある時は単色。思った以上にファンタジーだ。でも動物と混合しないから、ありがたいとは思う。襲われた時に万が一があるから。そもそも熊の魔物に襲われたら抵抗できる気しないけどな。白熊お勧めグルメ旅は簡単な地図が書かれていたが、所在地が不明なので今は役に立たない。一応写す事だけはしておいた。

『猿が教える獣化の仕方

 獣化には6段階がある
 
 Lv1 生まれた時の耳だけ獣の状態 
            耳だけ獣の能力が使える

 Lv2 成長して尻尾が生える
    目の能力が解放(鳥類は翼が生える)

 Lv3 手足に獣の特徴が現れる
      牙と手足の能力が解放(鳥類は飛行可能に)

 Lv4 全身に獣の特徴が現れる
      獣特有の能力解放

 Lv5 体格が変化する
    詳細不明

 Lv6 完全獣化          
            不明

 無意識化ではLv2の状態
   意識すればLv3~4に獣化できる
 Lv5以上は集中と感情の高ぶりが必要(喜怒哀楽)
 どの段階でも、意識を解けばLv2に戻る』

獣化によってケモ度も毛の量が違う。好きなモフモフが選べるなんて想像以上だ。これで指針は決まった。まず目標はモフらせてくれる友人を作る事だ。過程で狐達に会えたら尻尾をモフらせてもらおう。メモ帳に目標を書き込み、本と一緒に脇に置く。さあ、次は何が出てくるだろうか?

巾着袋から出てきたのは、卓上タイプの鏡だった。木製フレームで、折り畳みも可能。着物が似合っているかと確認する。意外と着こなせていると思う。しかし、近づけたり離したりして観察している最中、信じられない物がみえた。

「耳が・・・無くなってる!?」

慌てて鏡を覗き込むが、暗くて見えずらい。焚火に近づいて、改めて顔全体を移す。そこには驚いた表情をしている、大きな獣耳の生えた僕の顔が映っていた。
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