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洗礼
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踏み出した地面はやや硬く、それでいて走りやすそうな感触だった。雪駄から履き慣れた靴に戻そうとも考えていたが、このままで良さそうだ。むしろ軽くてグリップが効いて良さそうな気もする。
「よし、行くぞ」
ゆっくりと音を立てないように歩く。自分以外が立てた音は、耳が全て聞き取ってくれる。なので、音から離れるように、ジグザグに動く。
慎重に進んでいると、比較的魔物が多い場所が見えた。右前方にキリン、左前方は羊で正面は象。山に向かう為には、この三種のどこか付近を通らなければいけない。仕方なく、僕は羊のルートを選んだ。
気配を消すのが上手いのか、羊達は襲って来ない。音で気付かれてもおかしくはない距離なのに。更に進んでいくと、羊が増えた。増えたというよりも、隠れて見えなかった羊が大量にいる。まるで灰色の川にも見える群。遠回りも出来そうにない。
どうしようかと悩んでいると、後方だが足音が聞こえた。距離は不明だが、確実に近づいている気がする。気付いた事がバレたら、走ってくるかも知れない。意を決して羊の群れに向かう事にした。
「・・・・・・?」
姿は見られ、呼吸が聞こえるだろう距離まで近づいた。しかし羊に反応はなく、こちらを警戒や襲う気を感じない。それどころ居ないものとして扱われているようだ。服や鈴の効果かと思ったが、後方の何かは確実に近づいている。
行けるならそれで良い。羊の群れを縫うように進み、抜けて行く。目があったのに、何も起きない。お陰で順調に抜ける事が出来た。しかし、僕はここで欲が出てしてしまった。
鳴り響く爆音と立ち上がる砂煙。音は途切れるように遠ざかり、瞬間移動でもしたかのように、羊も消える。これだけ大人しいなら、触れないかと考えようとした瞬間の出来事だった。
「モフモフ・・・」
気を取り直し、山へと向かって歩き続ける。結構歩いた気がするが、まだ足は疲れてはいない。聞こえる音を整理する頭は疲れてきた。僕に近づく足音は、今は聞こえない。少し休もう。荷物を降ろし、その場に座る。見える範囲には近づいて来そうな魔物は見当たらない。
「ふぅ、気持ちいい。」
疲れを取るように、耳をマッサージする。緊張も解れ、心が安らぐ。自分が思っている以上の疲れていたようだ。
夢中になっていると突然、身が震えるような感覚に襲われる。先程足音が聞こえていた方から、駆ける音が聞こえてきたのだ。視線を向ければ、灰色のライオンが牙をむき出しに近づいていた。
「ひっ!?」
全力で走り出す。荷物に構う余裕は無い。音が近づいてくる。音から逃げるように、振り向く事なく走った。しかし足音は真後ろに聞こる。足音以外にも風を切るような音も聞こえ始めた。それでも走るしかない。
「た、助けて・・・誰か助けて!」
「今助ける!」
助けを求め叫び、一段と大きな足音が聞こえた瞬間。風を切る音が足音と重なった。大地が揺れ、背中を風に押され足がもつれる。
「大丈夫か、少年?」
そのまま地面に倒れ込むと思ったが、声の主に受け止められた。柔らかくふわふわとした感触。獣特有でいて爽やかな香りがする。安心感に包まれ、返事をする前に眠ってしまった。
「よし、行くぞ」
ゆっくりと音を立てないように歩く。自分以外が立てた音は、耳が全て聞き取ってくれる。なので、音から離れるように、ジグザグに動く。
慎重に進んでいると、比較的魔物が多い場所が見えた。右前方にキリン、左前方は羊で正面は象。山に向かう為には、この三種のどこか付近を通らなければいけない。仕方なく、僕は羊のルートを選んだ。
気配を消すのが上手いのか、羊達は襲って来ない。音で気付かれてもおかしくはない距離なのに。更に進んでいくと、羊が増えた。増えたというよりも、隠れて見えなかった羊が大量にいる。まるで灰色の川にも見える群。遠回りも出来そうにない。
どうしようかと悩んでいると、後方だが足音が聞こえた。距離は不明だが、確実に近づいている気がする。気付いた事がバレたら、走ってくるかも知れない。意を決して羊の群れに向かう事にした。
「・・・・・・?」
姿は見られ、呼吸が聞こえるだろう距離まで近づいた。しかし羊に反応はなく、こちらを警戒や襲う気を感じない。それどころ居ないものとして扱われているようだ。服や鈴の効果かと思ったが、後方の何かは確実に近づいている。
行けるならそれで良い。羊の群れを縫うように進み、抜けて行く。目があったのに、何も起きない。お陰で順調に抜ける事が出来た。しかし、僕はここで欲が出てしてしまった。
鳴り響く爆音と立ち上がる砂煙。音は途切れるように遠ざかり、瞬間移動でもしたかのように、羊も消える。これだけ大人しいなら、触れないかと考えようとした瞬間の出来事だった。
「モフモフ・・・」
気を取り直し、山へと向かって歩き続ける。結構歩いた気がするが、まだ足は疲れてはいない。聞こえる音を整理する頭は疲れてきた。僕に近づく足音は、今は聞こえない。少し休もう。荷物を降ろし、その場に座る。見える範囲には近づいて来そうな魔物は見当たらない。
「ふぅ、気持ちいい。」
疲れを取るように、耳をマッサージする。緊張も解れ、心が安らぐ。自分が思っている以上の疲れていたようだ。
夢中になっていると突然、身が震えるような感覚に襲われる。先程足音が聞こえていた方から、駆ける音が聞こえてきたのだ。視線を向ければ、灰色のライオンが牙をむき出しに近づいていた。
「ひっ!?」
全力で走り出す。荷物に構う余裕は無い。音が近づいてくる。音から逃げるように、振り向く事なく走った。しかし足音は真後ろに聞こる。足音以外にも風を切るような音も聞こえ始めた。それでも走るしかない。
「た、助けて・・・誰か助けて!」
「今助ける!」
助けを求め叫び、一段と大きな足音が聞こえた瞬間。風を切る音が足音と重なった。大地が揺れ、背中を風に押され足がもつれる。
「大丈夫か、少年?」
そのまま地面に倒れ込むと思ったが、声の主に受け止められた。柔らかくふわふわとした感触。獣特有でいて爽やかな香りがする。安心感に包まれ、返事をする前に眠ってしまった。
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