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獲物
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根っこや倒木で凸凹している道を走り抜ける。聞こえる羽ばたきは、真っすぐではないが僕を追いかけてくる。周りを見渡すが、杉の木のように高い場所にしか葉が生えていない。これでは隠れてやり過ごす事は出来ないだろう。
どの位走ったのか解らない。気が付くと足はガクガクと震え、胸が苦しくて仕方がない。走りながら音に集中すると、魔物は走り出した時と同じくらい離れている。見失ったのか左右に大きく飛んでいるようだ。呼吸を落ち着かせるために、僕は足を止めた。
ゆっくりと息を吸い、肺に酸素を満たす。運動不足ではないと思うが、想像以上に体が疲れている。どれだけ呼吸しても、心臓が落ち着かない。木にもたれ掛かり、そのまま座り込む。・・・・・・・・・魔物の狙い通りに。
「はぁ、はぁ・・・やばい!?」
左右にフラフラと飛んでいた魔物が、一直線に飛んできた。明らかに僕の全力より早く。理性や知識が無いと書いた羊さんに間違っていると言いたい。どう考えても動けなくなるのを狙っていた。木を挟むように移動するが、魔物の速度は変わらない。
「っ!?」
灰色の翼が木を抉り、破片が頬を掠める。魔物の正体は、通常倍近く大きいカラスだった。すぐ横を通り過ぎたカラスは旋回し、再びこちらに向かって飛んでくる。回り込む余裕もなく、全力で横に飛んで躱す。直後、ズンと鈍い音が背後から聞こえた。ゆっくり振り向くと、カラスが木にめり込んでいる。普通なら死んでいるだろうが、カラスは頭を引っこ抜こうともがいていた。
助けたい
頭の中をそんな思いが駆け巡る。灰色だけど、体は大きいけど、魔物かもしれないけど。僕には動物にしか見えない。ナイフを仕舞い、カラスに近づく。そして触れようとした瞬間、地面に血が滴り落ちた。下を向くと、ポタポタたれ落ちていく。それが自分の血だと気付くと、頬に痛みを感じた。
そうだ、このカラスは僕の命を狙っていた。もし木にめり込む勢いが、僕に直撃していたら。もし最初の翼が僕の首を掠めていたら。・・・僕は死んでいた?
思い出せ、ライオンに襲われた記憶を。あの恐怖をまた味わいたいのか?思い出せ、死にたくないと決意した気持ちを。助けてもらった恩を返せずに死にたいのか?
ナイフを抜き、片手で構える。無視すれば、また追いかけてくるだろ。ここで倒すしかない。下手に攻撃すれば、思わぬ反撃をされるかもしれない。・・・一撃で倒す。
覚悟を決めてナイフを振りかぶり、首筋に向かってナイフを振り下ろした。
どの位走ったのか解らない。気が付くと足はガクガクと震え、胸が苦しくて仕方がない。走りながら音に集中すると、魔物は走り出した時と同じくらい離れている。見失ったのか左右に大きく飛んでいるようだ。呼吸を落ち着かせるために、僕は足を止めた。
ゆっくりと息を吸い、肺に酸素を満たす。運動不足ではないと思うが、想像以上に体が疲れている。どれだけ呼吸しても、心臓が落ち着かない。木にもたれ掛かり、そのまま座り込む。・・・・・・・・・魔物の狙い通りに。
「はぁ、はぁ・・・やばい!?」
左右にフラフラと飛んでいた魔物が、一直線に飛んできた。明らかに僕の全力より早く。理性や知識が無いと書いた羊さんに間違っていると言いたい。どう考えても動けなくなるのを狙っていた。木を挟むように移動するが、魔物の速度は変わらない。
「っ!?」
灰色の翼が木を抉り、破片が頬を掠める。魔物の正体は、通常倍近く大きいカラスだった。すぐ横を通り過ぎたカラスは旋回し、再びこちらに向かって飛んでくる。回り込む余裕もなく、全力で横に飛んで躱す。直後、ズンと鈍い音が背後から聞こえた。ゆっくり振り向くと、カラスが木にめり込んでいる。普通なら死んでいるだろうが、カラスは頭を引っこ抜こうともがいていた。
助けたい
頭の中をそんな思いが駆け巡る。灰色だけど、体は大きいけど、魔物かもしれないけど。僕には動物にしか見えない。ナイフを仕舞い、カラスに近づく。そして触れようとした瞬間、地面に血が滴り落ちた。下を向くと、ポタポタたれ落ちていく。それが自分の血だと気付くと、頬に痛みを感じた。
そうだ、このカラスは僕の命を狙っていた。もし木にめり込む勢いが、僕に直撃していたら。もし最初の翼が僕の首を掠めていたら。・・・僕は死んでいた?
思い出せ、ライオンに襲われた記憶を。あの恐怖をまた味わいたいのか?思い出せ、死にたくないと決意した気持ちを。助けてもらった恩を返せずに死にたいのか?
ナイフを抜き、片手で構える。無視すれば、また追いかけてくるだろ。ここで倒すしかない。下手に攻撃すれば、思わぬ反撃をされるかもしれない。・・・一撃で倒す。
覚悟を決めてナイフを振りかぶり、首筋に向かってナイフを振り下ろした。
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