獣の国~獣人だらけの世界で僕はモフモフする~

雅乃

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僕の仕事(マッサージ後半)

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ゆっくり下げた手が、柔らかな筋肉に触れる。最初は意識してドキドキが止まらなかった。でも気持ち良くなってもらおうと思ってからは、意識する事が無くなった気がする。マッサージ中だけは何処が気持ちいいか探す事だけに集中出来ているような、そんな感覚があった。指先に神経を集中させ、耳は無意識に聞こえない筈の心音を捉える。この状態に入ればほぼ無心状態。ヒップ全体を撫で回し。心音が跳ねる場所や、違和感を感じた場所を解す。それだけで。

「んふうっ!」

声が出るほど気持ち良くなったくれるから。

さらに指を下に運び、足の付け根、太もも、膝裏と優しく解しながら進んでいく。血行の流れや骨のゆがみ、筋肉の偏りを正すイメージ。獣人十色で人それぞれ違うが、貝李さんはこれが良いようだ。焦らず慎重に、優しくマッサージ。足の指一本に至るまで気を抜かない。

「ほへ~」

マッサージが終わると、貝李さんは溶けたようにベットでうつ伏せになっていた。全身が油でテカリ、力が完全に抜けている。やり過ぎたように見えるが、羽繕いとしてはこれが最高の状態だ。やがてゆっくりとベットから起き、獣化。手は翼に変わり、足は猛禽類の鋭さが現れる。胸は消えて羽毛に変化し、獣人らしい姿に変わった。全身を伸ばし、状態を確認。見るだけでモフモフな、綺麗な状態だ。

「ありがとう!それじゃあ頑張ってくるね!」

翼で包み込むように抱きしめられた後、貝李さんは4階から外に向かって飛んで行った。このモフモフこそが、この仕事のやりがいだと胸を張って言える。何故なら、頑張る程モフモフが気持ち良いから!高揚を抑えることなく次の獣人さんを呼び、僕は次々とマッサージを行っていった。

昼食を挟みつつ、今日の予約を全てこなした。モフモフの為なら何人でも大丈夫と言いたいが、体は正直で手が悲鳴を上げている。予定通り今日は終わりにしよう。梯子を上り、予約外待ちをしていた獣人さんとお茶をして過ごした。

夕日が見え始めた頃。僕は抜いていたナイフを収納して村の付近を散策した。警備体制が強くなり、村を囲むように警邏所を立てたらしい。なので、弱い魔物と極端に強い魔物以外は来なくなった。

枯れ木や薬草を見つけては、幸せ巾着に入れていく。丈夫なので重宝している。持ち運べるギリギリまで詰めて、トレーニングがてら帰路に就く。酉族の伝統的な鍛え方を模倣した。

ゆっくりと一歩一歩歩いていると、足音が耳に入る。4足歩行の魔物のようで、真っすぐ村に向かっていた。位置的に僕の横を通りそうだ。ゆっくりと荷物を降ろし、深呼吸。

そしてナイフを抜いた。
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