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戦闘開始
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合図と同時に一歩前に出る。ここまで来たら覚悟を決めるしかない。普段のナイフより少し長い、短刀のような木刀を構える。いつものように刃先を音の中心に向け、いつでも突けるように。腰を落とし、全身の力を抜く。音に反応して瞬間で高く飛び上がる猫のように。
刃先の模糊さんはこちらを見つめながら、羽ばたく準備をしている。その目は遊びではなく本気だと解るほど鋭い。猛禽類が獲物を狙うような、そんな眼をしている。正直怖い。
「それでは用意・・・始め!」
合図と共に上空に羽ばたく模糊さん。気流などお構いなしで、あっという間に空高く上昇した。遠すぎて獣化レベルが高ければ普通の鳥と同じに見える位置にいる。そのまま眺めていると、急加速して太陽に隠れた。見つめていたので、思いっきり目が眩んでしまう。反射的に目を閉じ、音に集中する。
音は上空から弧を描くように僕の背後へと向かってきた。突く体制を向けるには間に合わない。仕方なく、音が向かってくる場所に木刀を振るう。音が刃先と重なる寸前・・・
「・・・・・・・・・ふっ!」
鋭く吐かれた息と共に、音が一瞬で木刀を振り切った僕の背後に回る。そして繰り出される爪の一撃を、地面に倒れこみながら躱した。本能を信じ、模糊さんが起こした風に身を任せた結果だ。木刀を振りながらの不格好な姿で、僕は再び立ち上がる。模糊さんは再び上空に飛んで行った。
次こそはと意気込みながら、木刀を模倣さんに向ける。攪乱しているのか、上空の風が騒がしい。眼で見たらつられてしまうので、音だけに集中して正解だった。やがて模糊さんが流れるように脳天めがけて加速してくる。木刀は向けているが、本能は意味ない逃げろと叫ぶ。音に木刀を置くように腕を残しながら、僕は前方に大きく跳んだ。
木刀は模糊さんの爪に当たった。当てたのか、狙われたのかは判らない。一つだけ判るのは、木刀はナイフと同じ大きさになった事実だけ。いい音を立てて、綺麗に切り裂かれた。
勝敗の決め方知らないやと思いながら、短い木刀を模糊さんに向けて構える。せめて一撃。僕の心はそれだけに集中した。
刃先の模糊さんはこちらを見つめながら、羽ばたく準備をしている。その目は遊びではなく本気だと解るほど鋭い。猛禽類が獲物を狙うような、そんな眼をしている。正直怖い。
「それでは用意・・・始め!」
合図と共に上空に羽ばたく模糊さん。気流などお構いなしで、あっという間に空高く上昇した。遠すぎて獣化レベルが高ければ普通の鳥と同じに見える位置にいる。そのまま眺めていると、急加速して太陽に隠れた。見つめていたので、思いっきり目が眩んでしまう。反射的に目を閉じ、音に集中する。
音は上空から弧を描くように僕の背後へと向かってきた。突く体制を向けるには間に合わない。仕方なく、音が向かってくる場所に木刀を振るう。音が刃先と重なる寸前・・・
「・・・・・・・・・ふっ!」
鋭く吐かれた息と共に、音が一瞬で木刀を振り切った僕の背後に回る。そして繰り出される爪の一撃を、地面に倒れこみながら躱した。本能を信じ、模糊さんが起こした風に身を任せた結果だ。木刀を振りながらの不格好な姿で、僕は再び立ち上がる。模糊さんは再び上空に飛んで行った。
次こそはと意気込みながら、木刀を模倣さんに向ける。攪乱しているのか、上空の風が騒がしい。眼で見たらつられてしまうので、音だけに集中して正解だった。やがて模糊さんが流れるように脳天めがけて加速してくる。木刀は向けているが、本能は意味ない逃げろと叫ぶ。音に木刀を置くように腕を残しながら、僕は前方に大きく跳んだ。
木刀は模糊さんの爪に当たった。当てたのか、狙われたのかは判らない。一つだけ判るのは、木刀はナイフと同じ大きさになった事実だけ。いい音を立てて、綺麗に切り裂かれた。
勝敗の決め方知らないやと思いながら、短い木刀を模糊さんに向けて構える。せめて一撃。僕の心はそれだけに集中した。
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