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ラブレター
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私は今年もチョコレートを作る。
あの人を思い浮かべて。
去年3月14日ホワイトデー。私にとって一生忘れない日になった。
その日はバレンタインのお返しという事で彼が美味しいレストランに連れて行ってくれることになっていた。
私は久しぶりのデートに少し浮かれていたのかもしれない。
普段思いを口にしない私だからこんな時くらいと手紙を書いた。
手紙を書きながら彼との日々を思い出す。
面白かった事や嬉しかった事、悲しかった事、時に喧嘩をした事など数え切れないくらいの思い出が出てきた。
思い出しながら笑い、時には泣いて便箋を濡らしながらもなんとか書き終えることができた。
慣れない事をしたせいで少し恥ずかしくなりながらも部屋で1人、今日のデートの支度を進めていた。
集合時間が近付いてきたので私は家を出て集合場所へと向かった。彼はまだ来ていない。
それから集合時間になり彼にもういるよと連絡した。既読はまだ付かない。
その後、1時間経っても彼は現れることはなかった。
流石におかしいと思いながらも少しの苛立ちと心配を抱えてもう一度トーク画面を開いた。まだ既読はついていなかった。
なんて送ってやろうかと考えていた時見知らぬ番号から電話がかかってきた。
病院だった。
この際遅刻理由なんてなんでも良かった。
来てくれさえすればそれで良いと思った。
私は嫌な予感がした。
今すぐ来てくださいという一言で私は急いで病院へと向かった。
案内された部屋は随分と静まり返っており先に来ていた彼の両親の鼻を啜る音だけが響いていた。
彼は寝ていた。
私はそっと近づいた。
もう息をしていなかった。
話を聞くと彼は急いでいた様子で、信号が変わってすぐ渡ろうとした所を信号無視の車に轢かれそのまま亡くなったらしい。
衝撃すぎて私は涙も言葉も出なかった。
彼がその時着ていた服は私が見た事のないおしゃれな新しい服だった。
きっと時間をかけて選んでいたからギリギリになってしまって急いでいだんだろうなと思った。
その結果、私の連絡を見る余裕も無いくらい急いでいたなんてきっと彼も少し浮かれていたのだろう。
やっぱり私達って似てる。なんて一瞬微笑ましく思えたがそうやって笑い合える彼はもういなかった。
やっと実感した気がした。
悲しさと、1人取り残された孤独でどうしようもなく沈んでいた時、彼の私物から手紙のようなものを見つけた。
それは私へのラブレターだった。
やっぱり私達は似ていた。
少し汚くて男らしい字で一生懸命書いたであろうその文章を見たら少しだけ笑えた。
笑えたはずなのに何故かどんどん便箋が濡れていく。
そこでやっと気づく。
私今泣いてるんだ。
やっと泣けた気がした。
どれくらい経っただろう。便箋はもう濡れて字が滲んでいた。
あの時、彼との時間を思い出して少し便箋を濡らしながらもこれからの事を思い浮かべ、ウキウキしていた私。
こんな形でまた便箋を濡らすなんて思ってもいなかった私。
あれからまた今年もバレンタインデーが来た。
私は今年も彼の事を思い浮かべながらチョコレートを作る。
もうホワイトデーにお返しが来ることは無いと思って作ったそのチョコレートは少ししょっぱかった。
あの人を思い浮かべて。
去年3月14日ホワイトデー。私にとって一生忘れない日になった。
その日はバレンタインのお返しという事で彼が美味しいレストランに連れて行ってくれることになっていた。
私は久しぶりのデートに少し浮かれていたのかもしれない。
普段思いを口にしない私だからこんな時くらいと手紙を書いた。
手紙を書きながら彼との日々を思い出す。
面白かった事や嬉しかった事、悲しかった事、時に喧嘩をした事など数え切れないくらいの思い出が出てきた。
思い出しながら笑い、時には泣いて便箋を濡らしながらもなんとか書き終えることができた。
慣れない事をしたせいで少し恥ずかしくなりながらも部屋で1人、今日のデートの支度を進めていた。
集合時間が近付いてきたので私は家を出て集合場所へと向かった。彼はまだ来ていない。
それから集合時間になり彼にもういるよと連絡した。既読はまだ付かない。
その後、1時間経っても彼は現れることはなかった。
流石におかしいと思いながらも少しの苛立ちと心配を抱えてもう一度トーク画面を開いた。まだ既読はついていなかった。
なんて送ってやろうかと考えていた時見知らぬ番号から電話がかかってきた。
病院だった。
この際遅刻理由なんてなんでも良かった。
来てくれさえすればそれで良いと思った。
私は嫌な予感がした。
今すぐ来てくださいという一言で私は急いで病院へと向かった。
案内された部屋は随分と静まり返っており先に来ていた彼の両親の鼻を啜る音だけが響いていた。
彼は寝ていた。
私はそっと近づいた。
もう息をしていなかった。
話を聞くと彼は急いでいた様子で、信号が変わってすぐ渡ろうとした所を信号無視の車に轢かれそのまま亡くなったらしい。
衝撃すぎて私は涙も言葉も出なかった。
彼がその時着ていた服は私が見た事のないおしゃれな新しい服だった。
きっと時間をかけて選んでいたからギリギリになってしまって急いでいだんだろうなと思った。
その結果、私の連絡を見る余裕も無いくらい急いでいたなんてきっと彼も少し浮かれていたのだろう。
やっぱり私達って似てる。なんて一瞬微笑ましく思えたがそうやって笑い合える彼はもういなかった。
やっと実感した気がした。
悲しさと、1人取り残された孤独でどうしようもなく沈んでいた時、彼の私物から手紙のようなものを見つけた。
それは私へのラブレターだった。
やっぱり私達は似ていた。
少し汚くて男らしい字で一生懸命書いたであろうその文章を見たら少しだけ笑えた。
笑えたはずなのに何故かどんどん便箋が濡れていく。
そこでやっと気づく。
私今泣いてるんだ。
やっと泣けた気がした。
どれくらい経っただろう。便箋はもう濡れて字が滲んでいた。
あの時、彼との時間を思い出して少し便箋を濡らしながらもこれからの事を思い浮かべ、ウキウキしていた私。
こんな形でまた便箋を濡らすなんて思ってもいなかった私。
あれからまた今年もバレンタインデーが来た。
私は今年も彼の事を思い浮かべながらチョコレートを作る。
もうホワイトデーにお返しが来ることは無いと思って作ったそのチョコレートは少ししょっぱかった。
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