紀元前0世紀の物語

真田熊

文字の大きさ
39 / 81
第4章:紀元前0世紀に

4-5 南の国の戦略

しおりを挟む
南の国の戦略

「巫女とは、なんなのだ?」
「巫女は王権の背景ではないかと思います」
「そんなものが何の役に立つのだ」
南の国では、大陸の序列で支配の構造ができており、国王、宰相、戦略担当等が、直江津王国への戦力に向けて話合いが進んでいた。
大陸では、巫女は、占い師としての存在しかなかった。
占い師ごときが、王権の背景という事が理解できなかった。
直江津王国の巫女は、神殿から離れ、山に入った所にいた。それに力がある事が理解できない。
「では、巫女を排除すれば良いのでは?」
「おお、そうだな。山に入れば排除も楽かもしれない。巫女が排除できれば、国王との話し合いもできるかも知れない」
「柏崎に集落があり、かつて直江津王国の王になれなかった集落だそうです。その集落を利用して直江津王国との話し合いを進めるのはいかが」

戦略担当の高官は、王や宰相に進言する。王が付け加える。
「直江津王国との繋がりを利用するのは、良いアイデアだぞ」

戦略担当の者が、柏崎に向かった。

「殿、チャンスです。南の国から、直江津王国への橋渡しをお願いしたいと言ってきました」
「何、直江津王国に南の国の戦略を伝えて、恩を得るのではないのか」
「何を南の国の戦略など我らには分かってないですか?これはチャンスです。南の国は遠いです。結果的に直江津王国の指揮権を奪えば良いのです」
「何、、、指揮権を奪うとはどうするのだ」
「はい、話し合いの仲介で、南の国に近づき、話し合いの主導権を取り、南の国に支配に屈すると伝え、直江津王国の実権を取るんです」
「そんな事ができるのか?」
「直江津王国は、南の国の実力を知りません。南の国には、こちらが王になる権利があるので、直江津王国を南の国の指揮下に入れると伝えるんです」
「ほう、上手くいきそうだな」

南の国の戦略担当の者は、直江津王国の巫女を密かに抑え、柏崎に話し合いの仲介をさせ、結果的に巫女の排除で直江津王国を乗っ取る算段だった。

秋になろうとしていた。暑かった夏の日差しが、優しく指して、風が吹いてくるのがわがった。
空を見上げると、皿のように平らな雲が重なってる。
「婆様が呼んでる」
咄嗟に佐久の巫女が、山へ向かって歩き出した。チビの侍女が付き従うように歩き始めると、若が気が付き追いかける。
「何処に行くんだ、婆様の何処か?」
巫女は、モクモクと歩き、声を出さない。チビが懸命に付いていった。

婆様の小屋に着くと、婆様が応えた。
「待っておったぞ、よく気がついたな、重ね雲が出たな。そうだなぁ、湧泉の洞窟が良いだろう。弓使い、巫女を案内してくれ」
「湧泉の洞窟?あそこには熊がいるぞ」
「だから、お前に頼んでるんじゃ、手伝ってやれ」
仕方がない。そんな感じで、弓使いが動き出した。侍女も若も付き添った。
山に入り、獣道のような道にはいると、目の前に伸びた枝を木の棒でガサガサと掻き分け、弓使いが進む。
穴の前で、辺りを見渡し、弓使いが
「ここが湧泉の洞窟だ。侍女は入って良いぞ」
若は、仕方がないので、見張りとして残ることになり、洞窟の前に座る弓使いと辺りを見渡した。
「熊が出るのか?」
「そうだ。出たら、遠くにいる内に、バサバサとやれ」
木の棒を持ち上げ、みぎや左に振り抜いた。

穴は、入ると、真っ暗だった。巫女は、乾いた草を束ねて、差し出すと、侍女がカチカチと火をつけた。辺りがボォッと明るくなる。
「この先に湧泉があるのね。」
暫く歩くと岩の壁からボタボタと湧泉が落ちていて、下が皿のようになっていた。

すると風が吹き付け、火が消えた。
真っ暗な闇が微かに光が差してる、何とか湧水の皿が見えた。
岩の周りのヒカリゴケが反応していた。

巫女は、黙って湧水の皿を見つめてる
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~

bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~

橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。 記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。 これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語 ※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

処理中です...