Rainy Days & You

なかむ楽

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After The Rain②

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 電気を消して、薄暗いヘッドボードの明かりの中、さっきよりも長いキスをした。

「……電気、ついてる」

 私は、ナイトウェアのボタンを外す彼に訴えた。

「全部消したら美晴が見えない」
「だって……」

 ブラジャーをしてないし、ショーツだって可愛くない。
 
 ふに、とTシャツの上から胸を触られた。

「胸、小さいからっ」
「関係ないよ。美晴のだし」

 どうして男は胸を触るのか、女であれば永遠の謎だ。
 それでも揉まれて体温が上がっていく。Tシャツ越しに乳首を触られて、肩が跳ねた。
 次第に無遠慮になる彼の手が、素肌のお腹を触る。擽ったいのと気持ちいいのが綯交(ないま)ぜになって、体温がまた上昇する。
 Tシャツを剥ぎ取られ、慌てて胸を隠した。

「はい、バンザイ」

 両手を掴まれて、あらわになった胸に彼がぱくりと食いついた。
 乳首を転がされ、吸われて、出そうになった声を喉で抑えるのに必死だった。
 片方をやわやわと揉まれて、片方の乳首を弄ばれて、その気持ちよさに軽くパニックになってしまった。
 セックスは久々だったが、こんなに感じるものなのかと驚いた。

「美晴、声出してよ」
「む、り……っ。……はぁ」

  前のカレシが壁の薄いアパート暮しだったのもあって、声を抑えるのが癖になっていた。

「そう言われると出させたくなる」
 
 スルスルとお腹を触りながら、彼の手が下腹部を降りていく。
 可愛くないショーツのクロッチを指で辿られた。

「グレーってさ、色変わるのわかりやすいよな」
「やだぁ。見ないでよ」

 せめて、可愛いショーツの時に見ろと思った。

「パンツの替えがあってよかったな」

 ムードのない一言で、スルリとショーツを脱がされて、軽くキスをされた。
 恥毛を掻き分けた指が、自己主張をしている小さな芯を触って、私は身を捩らせた。
 彼の愛撫は丁寧で、私の反応を見て好いところを触れて、まさぐる。
 今までのカレシとは違った。気持ちいいフリなどしなくても、素直に気持ちよくて、吐息が止まらなかった。

 大切にされるというのは、こういうことなのだ。
 気遣いも、何気ない言葉にも、セックスの時にも現れている。
 そうわかった途端、好きだという気持ちが溢れてきた。
 
 指で高みに昇らされて、くりたりとしていると、彼がコンドームの小さな箱を取り出した。

「さっき買ってきたんだよ」

 怒られた子犬のような顔がおかしくて、クスリと笑ってしまった。
 つまり、下心もあった、ということなのだ。それでも、彼が愛しかった。

「今抱きつくなよ」
「着けてあげたのに」

 驚いた彼の顔も可愛くて、私は笑った。

「……今度頼むよ。……今は」

 ころりと寝かされて、私の上に彼が覆いかぶさってきた。

「美晴に入りたいんだけど?」

 やはりムードがない。彼らしいと言えばそうそうなのだが。

「私も朔也が……」

 尻すぼみになった声で、「ほしい」と伝えると、息苦しいほど抱きしめられた。
 ぐっと質量のある熱が、濡れた隘路を侵入してくる。
 演技でも何でもなく、深い息が零れ出た。私は、彼を受け入れて満足していた。
 しばらく、身体の中に彼を感じながら、抱き合った。
 ぴったりと抱き合うと、少しの隙間もできないのではないか、という錯覚に陥った。

 体内の彼が、ゆるゆると動き始めた。
 緩慢な動きに、上がる息と体温を持て余しそうになった。今までのカレシは突っ込んだら腰をがむしゃらに振っていた記憶があり、男はそんなものだと思っていた。
 あるところを攻められた時、電気が走り、毛穴が開くような感覚があった。

「や、それっ」

 知らない快感で怖くなった。

「嫌じゃないだろ? 美晴のナカはぎゅうぎゅうに絡みついてきてるよ」

  熱っぽい顔の彼が、意地悪そうに笑った。

「ん……あっ。感じ、すぎちゃう、から」

 喋るのも意識なしではできなかった。

「感じてよ。声も聞かせて」

 熱を帯びたお願いと、愉悦を送る彼の熱に、私は自然と声を上げていた。

 何度も穿たれ、熱と快楽が身体を這い回る。
 こんなに喘いだら呆れられやしないか、などとも考えなかった。

「──あぁっ、さく、やぁ」

 初めて『イク』ことを知った。
 身体のあちこちが酸素不足で痺れて、それでも、彼から寄越される喜悦に震えた。

 足を担がれて、彼の熱塊が奥の奥まで届いて、行き過ぎた強い快楽に私は泣いてしまった。
 息継ぎすら上手にできなかった。
 
「美晴、俺も気持ちいい」

 うっとりとした彼の声。聞こえるが返事ができなかった。
 バカみたいに彼の名前を繰り返し呼んだ。
 粘着質な水音と心拍数が上がっていく。
 
「あ、あぁっ。も……だめ」

 甘やかなのに激しいうねりに浚われる感覚。
 彼の熱い肌、吐息、切なげに皺が寄る眉間。
 私の名前を呼ぶ。
 絶頂のその頂きに2人して昇りつめ、薄いゴム越しに彼が熱を吐き出した。

 しばらくベッドでイチャイチャしながら、このホテルの話になった。

「アパートよりは近いし、風呂もあるし、美晴のワンピースも洗ってもらえる」

 独り暮らしをしている彼の家でも、私は構わなかった。
 その事を言うと、乙女的思考のある彼は、困ったように笑った。

「せっかくの3ヶ月記念なんだし、良い場所に行きたいでしょ」

 後でわかったことなのだが、彼はお坊っちゃま育ちだったのだ。
 持っているものでわかるのに、底の浅い私にはわからなかった。
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