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店長の休憩
ある日の水曜日
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「おねーちゃん」
「…」
「ねぇえ!店長のねーちゃん!」
「……ん…なに…坊や…」
あの朝食定食
ここは「不思議の定食屋」という定食屋。水曜日午前11時、男の子が来店した。たった一人で。
「ねーちゃんなんで寝てるの?」
男の子は、いつもお店の端の二人席で寝ている店長に聞いた。
「眠いからよ。」
店長は眠たそうな柔らかい声で言い、また目をつぶった。
「ふーん。ねーちゃん、食べる?」
男の子は、自分で頼んだ「あの朝食定食」の漬物の入った皿を差し出した。
「いや、いいよ。あんたが買ったご飯なんだから、ちゃんと食べなさい。」
店長は皿を返した。
「いいよ。食べきれないし。」
男の子はまた差し出した。
「…」
「…」
なんとなく、ただなんとなく、気まずいような、嬉しいような静寂が、30秒ほど続いた。
「わかったわ。」
店長は皿にある5枚の柴漬けから1枚をつまんで食べた。
「おいしい?」
男の子が目を輝かせて聞いた。
「美味しいよ。」
男の子はニコニコしながらさんまを食べた。
「おねーちゃん、ここの店長さんなんだよね?ここでねてていいの?」
男の子の純粋な質問に、店長は少し、めんどくさくなった。
「…ん~…」
店長はひとつ、
「あそこで働いてる人たちを信用してるんだよ。」
といった。
「ふーん…」
男の子は普通に興味がなさそうに聞いていた。
また、しばらくの静寂があって、男の子が淡々とご飯と味噌汁、サンマを食べていた。
やっと男の子がサンマを食べきったときに、店長が話しだした。
「あんた、なんでここにいるの?他にも席は空いてるのに。」
男の子は味噌汁を飲み干しながら、
「誰かと食べたかったから。」
と言った。店長は小さなため息を吐き、何を思ったか、男の子を撫でた。
男の子はうれしそうな笑顔して、最後のご飯と柴漬けをかき込み、箸を置いた。
「また来るね。バイバイ店長!」
男の子はからの容器がたくさんあるお盆を持って、出口に行った。
「ありがと。またいらっしゃい。」
と、店長はにこやかに見送った。
「次はいつかしらね。」
机に貼ってある、「店長休眠中。用がある方は起こしください」の張り紙を見ながら、一言放った。
「…」
「ねぇえ!店長のねーちゃん!」
「……ん…なに…坊や…」
あの朝食定食
ここは「不思議の定食屋」という定食屋。水曜日午前11時、男の子が来店した。たった一人で。
「ねーちゃんなんで寝てるの?」
男の子は、いつもお店の端の二人席で寝ている店長に聞いた。
「眠いからよ。」
店長は眠たそうな柔らかい声で言い、また目をつぶった。
「ふーん。ねーちゃん、食べる?」
男の子は、自分で頼んだ「あの朝食定食」の漬物の入った皿を差し出した。
「いや、いいよ。あんたが買ったご飯なんだから、ちゃんと食べなさい。」
店長は皿を返した。
「いいよ。食べきれないし。」
男の子はまた差し出した。
「…」
「…」
なんとなく、ただなんとなく、気まずいような、嬉しいような静寂が、30秒ほど続いた。
「わかったわ。」
店長は皿にある5枚の柴漬けから1枚をつまんで食べた。
「おいしい?」
男の子が目を輝かせて聞いた。
「美味しいよ。」
男の子はニコニコしながらさんまを食べた。
「おねーちゃん、ここの店長さんなんだよね?ここでねてていいの?」
男の子の純粋な質問に、店長は少し、めんどくさくなった。
「…ん~…」
店長はひとつ、
「あそこで働いてる人たちを信用してるんだよ。」
といった。
「ふーん…」
男の子は普通に興味がなさそうに聞いていた。
また、しばらくの静寂があって、男の子が淡々とご飯と味噌汁、サンマを食べていた。
やっと男の子がサンマを食べきったときに、店長が話しだした。
「あんた、なんでここにいるの?他にも席は空いてるのに。」
男の子は味噌汁を飲み干しながら、
「誰かと食べたかったから。」
と言った。店長は小さなため息を吐き、何を思ったか、男の子を撫でた。
男の子はうれしそうな笑顔して、最後のご飯と柴漬けをかき込み、箸を置いた。
「また来るね。バイバイ店長!」
男の子はからの容器がたくさんあるお盆を持って、出口に行った。
「ありがと。またいらっしゃい。」
と、店長はにこやかに見送った。
「次はいつかしらね。」
机に貼ってある、「店長休眠中。用がある方は起こしください」の張り紙を見ながら、一言放った。
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