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〜一章〜

7話

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 魔素操作のレベルが1上がった時に、魔素が目で見れるようになったことに気づいた。
 魔素は特徴的で、フワフワと光っている者もあれば、真っ黒のものもあるし、地面にくっついて微動だにしないものもあった。
  面白いなと思っていたところ、ふと、思いついた事がある。

 魔素って観察で情報が手に入るんじゃない?

 思いたったら即実行が最近のモットーになっていた私なので、早速使えるかやってみたところ、本当に情報が出てきた。
 出てくるとは思わなかったが、新しくアルテラの事が知れるので、確認してみる。

『魔素
   気体中に含まれている魔力の元
   普通は見えないが、特殊なスキルや
   エルフなどの亜人種で見える者もいる
   体内に取り入れ過ぎると
   《魔素致死量摂取》となり、死んでし
   まうこともある
   魔力は生まれつき決まっているが、
   魔素を取り入れることで増やすことは
   一様、可能
   しかし、危険なのでオススメはしない』


 ここで、テンプレがくるとは思わなかった。
 エルフなどの亜人種が魔素をみる事が出来るらしい。
 エルフと言ったらあの耳の尖った、男性も女性も整った顔をしている人達のことだよな。
 この世界にいるって聞いただけでも、かなりワクワクしてくる。
 異世界と言ったら、エルフな気がするので、本当にあってみたい。
 そして、などの亜人種なので、エルフ以外にもいるようだ。
 いると分かったから、いつか会いたいと思う。
 魔素致死量摂取なんてものがあるらしい。
 多分だけど、最初に来た時に起こったあれのことだと思う。
 知ってる事が当たり前なのかどうかは知らないけど、ここで1つ憶測が確信に変わったので良かったと思う。
 そして、次。
 魔力は生まれつき決まっているらしい。
 やっぱり、レベルアップの時の適合で、こんな魔素の濃い場所でしてしまったから、魔力が無尽蔵に溜まっていくんだと思う。
 どの位の量が普通なのか分からないが、
少な過ぎてはいけないので、溜められるだけ溜めていきたい。
     
 魔力は元は魔素だったらしい。
 ていうことは、魔力は体に溜まっもので、魔素は自然にあるものなのだろう。
 魔法は体に溜まった魔力を使うんだろうが、魔素は魔法にできるのだろうか?
 多分、法則的には出来そうだけど、魔素をもっと操れるようにならないと難しそうだ。

 魔素を観察することで、色々分かった事があったので、かなり嬉しい。

 話は変わるが、そういえば、この前の魔力制御と魔素操作を手に入れた時に、ユニークスキルなる物を手に入れていた。
 願望というスキルだが、ステータスではレベルは表示されなかった。

『-プロフィール-
名前 渡辺 裕太わたなべ ゆうた
性別 男
年齢 23歳
職業 無職
種族 人族
状態 普通

-ステータス-
キャラレベル Lv5
職業レベル 無し
HP50
MP 250
力20+10
防御15+15
知80
速さ15+8
魔力360
精神180

-スキル・技能-
【ユニークスキル】
願望   Lv∥∥∥ : 願望2
【スキル】
観察   Lv4:情報17
毒耐性   Lv6
混乱耐性   Lv4
魔素操作   Lv3
【技能】
採取   Lv8:4000/0
魔力制御   Lv3


武器…素手
盾…なし
頭…なし
鎧上…なし
鎧下…破れたスーツ下
籠手…なし
靴…薄汚れた革靴
アクセサリー…なし

キャラレベル…???/???
職業レベル…???/???
クエストポイント…???

-装備品-
★ワイシャツ鞄
容量1500空き447

-アイテム-
カロ◯ーメイト×1
プラスチックの破片×5
煙草×2
オキノキの樹皮×550
クラの薬草×500
-称号-
勇敢
転移者
死に損ない ☆☆★★★★★★★★・・・』

 こんな感じに表示されたのだ。
 観察と同じように願望をして言ったら、願望の数値が上がるようだが、今この場で何を願っても、数値は増えなかったので、何か増える時に条件があるんだと思う。
 気になるが、手を付けられないので、放置しておくしかない。

 気になることが沢山あって、手が回らないが、時間はたっぷりあるので、気にせずのんびりやっていこう。
 
 
 気になること、というより、やってみたことといえば魔法をやっぱり使ってみたい。
 魔力制御は上手くなって来たが、魔力の垂れ流しがちょっとトラウマみたいになってて怖い。
 でも、進展したいので、覚悟を決めて色々試してみる。
 まずは放出。
 出すのは手だけで、魔力を閉じていた蓋をあける感じで、放出する。
 よし、成功。
 次は、放出を止めるために蓋を閉じる感じで…
 これも成功。
 これが出来るなら、もう怖くない。
 魔素操作の共同作業で魔力を体に沿って膜のようにする事は出来るのか?
 やってみよう。
 まずは放出して、魔素でそれを抑える感じで…
 おぉ!できた!
 魔力の放出が止まった。
 魔素で押さえつけられたから出るところがなくなったからか。
 しかし、まだこの膜じゃあ、厚すぎる。
 もっと薄く出来ないのか?
 出ていた魔力を圧縮して…
 よし!成功!
 これで上手く薄い膜ができた。
 そして、圧縮したから硬さがかなり硬くなっている。
 魔力は意識しないと見えないから、透明な壁が体に沿ってあるってことか。
 なんか、地味だけど実用性がありそうだな…
 怪我はこれをしてたら、絶対にしなくなるな。
 
 次は魔力を飛ばす事が出来るかだ。
 放出するだけだと体内にある魔力と繋がったままだから、分離させないといけない。
 魔素で魔力を押さえつけられたんだから、これも魔力を魔素で丸めて…
 おっ、分離した。
 これでくっついている魔素を操作すると…
 よっしゃ!
 成功だ!魔力の塊が動かせる!
 これを勢いよくオキノキにぶつけると…


 ドゴォォォンッッ!!!



 やば…
 これ俺がやったのか?
 もっと威力が低いもんだと思ってた…
 貫通とかそういうもんじゃなくて当たったところから吸い込むように抉り取って言ったぞこの玉…
 透明なのにブラックホールかよ…
 もっとちっちゃい玉だと威力は弱まるのか?
 やってみよう。
 それ!


 プスンッッ


 おぉ、木に穴が空いた…
 ビー玉ぐらいのサイズでも直径1メートルはある木を抉って貫通する威力があるのか…
 威力はそんなに変わってないのか?
 圧縮した魔力でやったら取り返しのつかないことになりそう…
 魔法の音自体ほぼ無いようなものだから、暗殺とかにはもってこいの魔法だな…
 
 ん?そういえば、観察って出来るのかな?
 やってみよ。

『オリジナル魔力球
   魔力の塊を無属性の魔素で押さえつけ
   た魔法
   普通の魔法は詠唱しないと発動する事
   ができないが、これは無詠唱で発動す
   ることができる
   しかし、出来るのは渡辺ただ1人のみ
   普通の無属性魔法は威力があって無い
   様なものだが、この魔法は、第三級魔
   法に値する威力を持つ』


 えっ?私、魔法のやり方間違ってたの?
 このやり方私しか出来ないのか?
 ていうか、第三級魔法ってなんだ?
 
 疑問が沢山出てくるが、今解決することはできないので、後々調べていこう。
 
 ただまあ、この魔法がかなり強いって事がわかった。
 魔法は詠唱が当たり前らしい。
 人前で無詠唱したら、化け物だと思われるのかな?
 出来るだけ使わないでおこう。
 でも、あって困る様なものじゃ無いので、どんどん魔法を作っていこう。
 そういえば、魔素が無属性って書いてあったけど、黒いやつとかで属性が変わってくるのか?
 ここの魔素は黒と白と黄色と灰色と緑と黄緑の魔素がある。
 1つひとつ試していこう。
 

~試し中~


 結果が出た。
 黒は予想どうり闇属性らしい。
 白は無属性
 黄色は土属性
 灰色は岩属性
 緑は木属性
 黄緑は風属性
 となっているらしい。

 其々威力は無属性と変わらずで、闇は煙幕の様な靄を着弾点に作る様だ。

 土は飛ばした瞬間土が集まって来て、大きな塊になってぶつかっていった。

 岩は着弾点に岩壁を作っていた。

 木は、オキノキを抉り取ったと思ったら、修復する様に断面からオキノキが生えてきてかなりの大きさに成長した。
 周りのクラの薬草も少し背が高くなっていた。

 風は魔力球に纏わり付いたと思ったら、着弾した瞬間に周りに鎌鼬の様なものを飛ばして周りのオキノキを切り落としていっていた。

 多分、風が一番恐ろしい。

 本当に使わなきゃいけない時にしかつかわなそうだが、無属性は色々使えそうなので、しっかりと使わせてもらおうと思う。

 魔法を使う事で魔力制御や魔素操作のレベルは上がるし、切ることのできなかった、オキノキが切れるので、加工していけそうだ。
 
 魔力の塊を魔法にすることは、出来たので、次は魔素が出来るかどうかなんだが、もうすっかり日が落ちてしまっていた。

 今日は昼を食べていなかったから、クラの薬草を食べるだけ食べて、お腹いっぱいにしたから眠ろうと思う。

 魔素の実験で明日もクラの薬草を採取できなさそうだけど、色々配分を考えて、明日、行動していこう。

 そんな事を思いつつ、今日も一日を、いつものように変わり映えなく過ごした。


 そんな姿を見て、面白がっている存在に、まだ渡辺は気づく事が出来ていない。


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