COME COME CAME

昔懐かし怖いハナシ

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イヘン

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 いつ帰ったか分からない。気がついた頃には、ベッドの上だった。
 シュウは、スマホの時計を見た。眩しく照らされた部屋の中は、まだ片付けの途中で散らかっていた。赤い壁が黒っぽく感じた。
「まだ、四時か。」
そう言うと、再び目を閉じた。外はまだ暗かった。
 すると、なんだか急に身体がダルく感じた。そして、笑い声が聴こえてきたのだった。外からじゃない確実に中からだと、シュウは思った。だが、目を開ける勇気はなかった。段々とその笑い声の数は、増えていくのに気がついた。
 その時、外から猫の鳴き声が聞こえた。すると、笑い声はすぐに消えたのだった。
 恐る恐る目を開けると、廊下の方には黒い影がくねくねとうねっていた。部屋の電気をつけると、その影は光に照らされ当たり前だが消えた。
「…怖かった。」
初めての心霊体験だったのだ。
 ふと壁を見ると、黒い汁が一筋流れていた。墨汁のように真っ黒な。
 
 次の日。大学へと、行く準備をしていくと、お坊さんがその部屋を訪ねてきた。
「こんにちは。あなたが、この部屋の人ですか?」
「そうですけど。」
身なりがよく、お坊さんらしい格好だった。
「実は、この木の板を持っているかなと思って来たんです。」
その手には、壁に立て掛けられていたあの木の板だった。よく見ると漢字の焼印があった。
「いや、実は。」
捨ててしまったことを伝えた。と突然表情が変わった。
「夜何も起こりませんでしたか?変な事とか。」
そう問い詰められた。シュウは今朝に起こった事を話した。不気味なことを。
「やっぱり…。では、とりあえずこれを赤い壁の方に立て掛けて起きてください。明日また、伺います。」
「あの、何かこの部屋あるんですか?」
シュウは心配になった。またあの不気味な笑い声を聴かなければならないのか、と。
「大丈夫です。これさえあれば。」
「詳しく教えて下さい。じゃないと、この部屋に安心して住めません。」
 お坊さんは、わかりましたと一言。
「明日、伝えます。では、」
お坊さんはそそくさとその場を立ち去った。ショウはへたり込んだ。
「何かあるのか、この部屋。また一晩泊まらないといけない…のか。」
後ろを振り返った。あの赤い壁からまた黒い物が二箇所から流れていた。
 ショウはすぐに、板を立て掛けた。すると、その黒い汁は止まった。しかし、赤い壁には黒いシミだけが残った。拭いても拭いても取れないものだった。
 
 大学の講義はほとんど聞いてられなかった。
「引越した部屋どう?よく寝れたか?」
気がつくと講義は終わり、近くには山都が座って話しかけてきた。
「まぁ、良いよ。」
シュウは、引きつった顔をして嘘を言ってしまった。
「今夜、シュウの部屋で鍋でもどう?また、レモンと一緒に。」
「昨日、外食したばっかじゃん。」
「でも、家の中では別よ。食材はこっちで用意しておく。シュウの段ボールの中に、ガスコンロがあったからね。」
「まさか、手伝いに来たとき見たのか?」
「そう。」
山都は笑いながら、レモンの所へ走っていった。
「まぁ、あいつらが来てくれるなら、怖くないかもな。」
そう安心した。
 

 

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