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十話
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山のふもとまで来た。近くまで来ると、意外と大きかった。ゴツゴツとした岩が、山を覆っていた。
「これ登るのか。」
マルは、人目で見た時から嫌そうな顔をした。体力がそこそこ自信があるマルにとって、大きな壁だった。
「少し登れば、あとはトンネルをくぐればいいだけ。そんなに苦しくはない。」
爺はそう言って、先を急いだ。
二人は、石段を登り始めた。古くなっており、石段が劣化していた。ヒビがはいっているもの、石すらないところ、とても歩きづらい。
「ここらへん、人住んでるの?」
マルは聞いた。
「山の上に、人らしき影は見たことがあるとは聞いた。住んでいる痕跡もあるらしい。」
その時、マルの武器をもつ手に強い力がいれられた。
「まぁ、大丈夫だろ。」
「昨日みたいな、でっかいやつはいないんだな。」
「ここらへんは、いない。大丈夫。だけど、」
「?」
爺は一度立ち止まった。石段のかけら石を一つ手に取ると、遠くへ投げた。
その石が、ある場所へ落ちると。ドドドドドーー。と大きな音を立てて、崖が崩れた。大きな石も土と共に、下へと落ちていった。
「場所が悪いと、あんなことが起こる。しっかりついて来い。」
「…うん。」
マルはその場所をずっと眺めていた。あの音とさきほどの光景で、先へと進む勇気が薄れてしまっていた。
「あれ。」
なにか、埋まっていた。長くて硬そうな、石じゃない。それをマルは見ていた。
「行くよ。」
「あ、待って。」
慎重に駆け上がる。爺は、少し遠くにまで行ってしまっていた。
「この山って。」
「ん?ああ、この山に人はいる。だけどね、そこには通らないから安心してくれ。近づくと足止め、食らうから。
だけど、眺めはいいぞ。昔よりは、劣化してしまったがね。」
爺は、どんどん進んでいく。だが、マルは必死だった。ずっと爺の背中を追っていた。
水を飲みつつ、汗もかきつつ、何時間たっただろう。
「後ろ見てみ。」
爺はやっと立ち止まってくれた。
その途端、マルはその場に座った。もうすでに疲れてしまっていたのだろう。
息を一つ、顔を上げた。
「!!」
初めて見る光景だった。そこからは、廃れた街、マルが住んでいた街まで見渡せた。砂の丘、そして昨日寝た街まで広く見渡せることができた。何故か、自分の世界が少し広がったように感じた。
その光景に圧倒されたマルだった。絶対にあの街で引きこもっていたら、見ることができたなかったもの。それは、この世界だった。
「さぁそろそろ行かないと、襲われるぞ!」
爺は、軽く脅した。
「あ、まって。」
マルは我に返り、またその道を登っていった。
「そろそろか。あ、そこは入らないで。」
爺は一つ忠告をした。登りきった右の道には平らな、人が毎日通っているような跡があった。
「下手に歩くと、怪我するから。この先に何があるか、わかったもんじゃない。」
「分かった。」
マルは右手のナイフを持ちつつ、歪んだ左の道を進んだ。
「何か、音しなかった。」
「どこかで、土砂崩れが起きたんだろう。」
地響きがすごかった。それに、神経を研ぎ澄ますマルにとって、緊張感は計り知れなかった。
「これ登るのか。」
マルは、人目で見た時から嫌そうな顔をした。体力がそこそこ自信があるマルにとって、大きな壁だった。
「少し登れば、あとはトンネルをくぐればいいだけ。そんなに苦しくはない。」
爺はそう言って、先を急いだ。
二人は、石段を登り始めた。古くなっており、石段が劣化していた。ヒビがはいっているもの、石すらないところ、とても歩きづらい。
「ここらへん、人住んでるの?」
マルは聞いた。
「山の上に、人らしき影は見たことがあるとは聞いた。住んでいる痕跡もあるらしい。」
その時、マルの武器をもつ手に強い力がいれられた。
「まぁ、大丈夫だろ。」
「昨日みたいな、でっかいやつはいないんだな。」
「ここらへんは、いない。大丈夫。だけど、」
「?」
爺は一度立ち止まった。石段のかけら石を一つ手に取ると、遠くへ投げた。
その石が、ある場所へ落ちると。ドドドドドーー。と大きな音を立てて、崖が崩れた。大きな石も土と共に、下へと落ちていった。
「場所が悪いと、あんなことが起こる。しっかりついて来い。」
「…うん。」
マルはその場所をずっと眺めていた。あの音とさきほどの光景で、先へと進む勇気が薄れてしまっていた。
「あれ。」
なにか、埋まっていた。長くて硬そうな、石じゃない。それをマルは見ていた。
「行くよ。」
「あ、待って。」
慎重に駆け上がる。爺は、少し遠くにまで行ってしまっていた。
「この山って。」
「ん?ああ、この山に人はいる。だけどね、そこには通らないから安心してくれ。近づくと足止め、食らうから。
だけど、眺めはいいぞ。昔よりは、劣化してしまったがね。」
爺は、どんどん進んでいく。だが、マルは必死だった。ずっと爺の背中を追っていた。
水を飲みつつ、汗もかきつつ、何時間たっただろう。
「後ろ見てみ。」
爺はやっと立ち止まってくれた。
その途端、マルはその場に座った。もうすでに疲れてしまっていたのだろう。
息を一つ、顔を上げた。
「!!」
初めて見る光景だった。そこからは、廃れた街、マルが住んでいた街まで見渡せた。砂の丘、そして昨日寝た街まで広く見渡せることができた。何故か、自分の世界が少し広がったように感じた。
その光景に圧倒されたマルだった。絶対にあの街で引きこもっていたら、見ることができたなかったもの。それは、この世界だった。
「さぁそろそろ行かないと、襲われるぞ!」
爺は、軽く脅した。
「あ、まって。」
マルは我に返り、またその道を登っていった。
「そろそろか。あ、そこは入らないで。」
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「下手に歩くと、怪我するから。この先に何があるか、わかったもんじゃない。」
「分かった。」
マルは右手のナイフを持ちつつ、歪んだ左の道を進んだ。
「何か、音しなかった。」
「どこかで、土砂崩れが起きたんだろう。」
地響きがすごかった。それに、神経を研ぎ澄ますマルにとって、緊張感は計り知れなかった。
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