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一一
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二人の目の前には、先の見えないトンネルがあった。数歩歩くと足元が見えなくなる程、暗くてジメジメしていた。
「これ、なんて読むの?」
今となっては読めない字が、トンネルの脇にある石に掘られていた。所々、ひびがはいっていた。
「分からん。とにかく先に進むぞ。」
爺は、箱の中から円柱状の、先を光で照らす道具を出した。マルも灯りを灯すものとして、火をおこした。
そして、爺は黙ってマルと共に歩いていった。
中は、古く岩肌がむき出しの状態だった。所々岩が崩れ落ち、小石や大岩など散乱していた。
「これ、どうするか。」
二人は立ち止まってしまった。
「とりあえず、取り除くぞ。」
「あ、うん。」
爺の前向きな姿勢に、マルも心を動かさずにはいられなかった。
爺は、ある小さな箱を、足元に一つ置いた。
「離れて。」
爺はそう言い、急いでその箱から離れた。
すると、大きな岩が一つ動いたかと思うと、その他も次々にその箱に吸い込まれていった。ただ、ゴーっという岩が動く大きな音には、マルは慣れてはいなかった。
「おい!そこから、動くなよ。」
「誰?」
マルは、振り返ってしまった。
「動くな、って。」
その時、マルの足元に何かが飛んできた。それはとても速く、地面にめり込んだ。
「動くな。」
爺は、マルにそう言い放った。マルは、地面を見たまま動かなかった。
トンネルの入り口に立っている人、彼は筒のようなものをこちらに向けていた。二人は、なんとなく危ない物だと思った。
「そこには、何もない。だから、こっちへ来い。」
彼の背中から強くはない光が二人をさしていた。
しかしその光は、すぐに消える。
「早く来…」
ドッドーという、地響きがしたかと思うと、入り口から土や岩が流れてきた。入り口を塞ぐほどだった。
間もなく、彼は岩に飲み込まれ見えなくなってしまった。マルは、無意識に耳を塞いでいた。爺は、目をふせていた。
「多分、あの岩はあの人が積んだものだろう。不運な。それが、自分の身に降りかかるなんて。」
爺は、手を合わせた。
マルは、閉じこまれた事に不安に感じていた。
「どうする?どうする?」
慌てふためいていた。
「とりあえず、この先に行こう。」
先程まであった岩が全くなくなって、箱だけが一つ置いてあった。
「あ、。」
その先には、たくさんの食料が置いてあった。保存食がほとんど、食べ物があった。
「どうやら、さっきの人はこれを隠していたんだ。
…。入り口にふさがった岩、そして取り除いだ岩、同じだと思わないか。」
爺は吸い取った箱から、一つ小さな岩のかけらを取り出した。
「この岩肌、全く同じだ。」
マルはそう気づいた。
「多分、何かで崩れたこの岩を、あの人はこの食料の為に掘り出していたんだ。
でも、あんな形で人生終わってしまった。
…悲しいもんだ。世の中は。」
マルも小さくコクっと頭を下げた。
爺は、もう一度手を合わせ目を閉じた。マルも同じように真似をした。片目で、爺を見ながらだったが。
「その動き、なんだ?」
「これは、昔の名残だな。」
「ふう~ん。人が死ぬと、こうするんだ。」
マルはそう言い、食料の何個かを持った。
「ここに置いておいても、もったいない。多分、まだ食えるだろう。」
「これ、なんて読むの?」
今となっては読めない字が、トンネルの脇にある石に掘られていた。所々、ひびがはいっていた。
「分からん。とにかく先に進むぞ。」
爺は、箱の中から円柱状の、先を光で照らす道具を出した。マルも灯りを灯すものとして、火をおこした。
そして、爺は黙ってマルと共に歩いていった。
中は、古く岩肌がむき出しの状態だった。所々岩が崩れ落ち、小石や大岩など散乱していた。
「これ、どうするか。」
二人は立ち止まってしまった。
「とりあえず、取り除くぞ。」
「あ、うん。」
爺の前向きな姿勢に、マルも心を動かさずにはいられなかった。
爺は、ある小さな箱を、足元に一つ置いた。
「離れて。」
爺はそう言い、急いでその箱から離れた。
すると、大きな岩が一つ動いたかと思うと、その他も次々にその箱に吸い込まれていった。ただ、ゴーっという岩が動く大きな音には、マルは慣れてはいなかった。
「おい!そこから、動くなよ。」
「誰?」
マルは、振り返ってしまった。
「動くな、って。」
その時、マルの足元に何かが飛んできた。それはとても速く、地面にめり込んだ。
「動くな。」
爺は、マルにそう言い放った。マルは、地面を見たまま動かなかった。
トンネルの入り口に立っている人、彼は筒のようなものをこちらに向けていた。二人は、なんとなく危ない物だと思った。
「そこには、何もない。だから、こっちへ来い。」
彼の背中から強くはない光が二人をさしていた。
しかしその光は、すぐに消える。
「早く来…」
ドッドーという、地響きがしたかと思うと、入り口から土や岩が流れてきた。入り口を塞ぐほどだった。
間もなく、彼は岩に飲み込まれ見えなくなってしまった。マルは、無意識に耳を塞いでいた。爺は、目をふせていた。
「多分、あの岩はあの人が積んだものだろう。不運な。それが、自分の身に降りかかるなんて。」
爺は、手を合わせた。
マルは、閉じこまれた事に不安に感じていた。
「どうする?どうする?」
慌てふためいていた。
「とりあえず、この先に行こう。」
先程まであった岩が全くなくなって、箱だけが一つ置いてあった。
「あ、。」
その先には、たくさんの食料が置いてあった。保存食がほとんど、食べ物があった。
「どうやら、さっきの人はこれを隠していたんだ。
…。入り口にふさがった岩、そして取り除いだ岩、同じだと思わないか。」
爺は吸い取った箱から、一つ小さな岩のかけらを取り出した。
「この岩肌、全く同じだ。」
マルはそう気づいた。
「多分、何かで崩れたこの岩を、あの人はこの食料の為に掘り出していたんだ。
でも、あんな形で人生終わってしまった。
…悲しいもんだ。世の中は。」
マルも小さくコクっと頭を下げた。
爺は、もう一度手を合わせ目を閉じた。マルも同じように真似をした。片目で、爺を見ながらだったが。
「その動き、なんだ?」
「これは、昔の名残だな。」
「ふう~ん。人が死ぬと、こうするんだ。」
マルはそう言い、食料の何個かを持った。
「ここに置いておいても、もったいない。多分、まだ食えるだろう。」
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