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一二
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「おいおい!どうなってんだ。道ふさがってるぞ。」
トンネルの先から何人もの声が響いてきた。
「まて、誰かいるぞ。」
マルは壁に寄り、ナイフを手に取った。
勝てない事は分かっているが、何もないよりかは持っていたほうがいい。そんな安心感から、マルは無意識に人にナイフを向ける事があった。
「おい。手に持ってるもの置け!」
多勢の中からそう聞こえてきた。だが、マルは手から離さない。
爺はというと、大人しくマルのそばで座っていた。
次第に、暗闇から何人もの人が、マル達の目の前に現れた。彼らも一人一人強そうな武器を持っている。
「待て。子供と爺さんじゃないか。手を出すな、めんどくさい。
おいお前ら、聞きたいことがある。この食料を持っていた、男はどこいったかわかるか?」
そう話した人。彼は、仲間達の中で一番背が高く、ガッチリとした体つきだった。
「あの人は、あそこだぜ?岩の下。」
マルは、彼らが来た逆方向へ指さした。がけ崩れのあった場所だ。
「あ~。死んでしまったのか。なら、仕方がないな。」
その男は仲間達に指示を出し、食料を運び出した。
「おい。お前らは何なんだよ。」
「落ち着け。」
マルは、爺に止められたが、それでも激しい怒りに満ちていた。
「おい。あの男はな、死ぬまでこの食料をずっと守っていたんだ。それを簡単に持って行くなんてな、許さね!!」
マルは飛びかかった。しかし、相手は大人だ。しかも、ゴツい身体付だった。あっという間に、蹴られて倒れた。ナイフはその時、手から離れた。
「うるせぇ。オレたちは、仲間なんだ。あいつもな。だがな、そうやって何十人もの仲間が死んだ。いちいち、悲しんでられないんだよ。
それが俺たちの、約束だ。死んでも、心の中で押しこらえる。そうやって生きてきた。」
そう言われた時、マルははっとした。ガツンと心のなかに来るような感じだった。しばらくうつむいていた。
「お前さん達、すまんな。彼もまだ子供だから、勘違いもする。許してくれ。」
爺はマルの背後からそう言った。
「まあ、いい。それよりも、運ぶぞ。」
その掛け声と共に、彼らの手は忙しく動き始めた。彼らの掛け声がハキハキとトンネル内に響く。
マルは、邪魔にならないように、隅に座った。爺も静かに横へと座った。
「マルだってさ、昨日までは、人の死なんて、興味なかったんだろう。」
マルは嫌そうにうん、と応えた。ただ、今回は違うらしい。人の死についてこんなにも、心の奥にぐっとくるものがあるだなんて、マル本人は初めて知った。
「もし、僕が死んだら、悲しむか?」
爺は、一つ質問をした。
「うん。だって、世界を知るために一緒に旅に出たから。最後まで、一緒にいたい。」
マルは真面目そうな顔でそう言った。しかし、顔は地面を向いていた。
「今までの俺と矛盾してるかもしれないけど、人を傷つける事も違う気がしてきた。」
爺はそうか、とだけ答えた。
「クソ。複雑な気分だ。昨日までは、そんな気分はしたことがなかった。何がしたいのか、分からない。
身も守れない、そうすると死ぬかもしれない。死にたくない。でも、殺したくない。」
マルは、大声を上げ、トンネルを走って抜けてしまった。
あまりの速さに、彼らも驚き、止める人もいなかった。爺もその一人だった。
トンネルの先から何人もの声が響いてきた。
「まて、誰かいるぞ。」
マルは壁に寄り、ナイフを手に取った。
勝てない事は分かっているが、何もないよりかは持っていたほうがいい。そんな安心感から、マルは無意識に人にナイフを向ける事があった。
「おい。手に持ってるもの置け!」
多勢の中からそう聞こえてきた。だが、マルは手から離さない。
爺はというと、大人しくマルのそばで座っていた。
次第に、暗闇から何人もの人が、マル達の目の前に現れた。彼らも一人一人強そうな武器を持っている。
「待て。子供と爺さんじゃないか。手を出すな、めんどくさい。
おいお前ら、聞きたいことがある。この食料を持っていた、男はどこいったかわかるか?」
そう話した人。彼は、仲間達の中で一番背が高く、ガッチリとした体つきだった。
「あの人は、あそこだぜ?岩の下。」
マルは、彼らが来た逆方向へ指さした。がけ崩れのあった場所だ。
「あ~。死んでしまったのか。なら、仕方がないな。」
その男は仲間達に指示を出し、食料を運び出した。
「おい。お前らは何なんだよ。」
「落ち着け。」
マルは、爺に止められたが、それでも激しい怒りに満ちていた。
「おい。あの男はな、死ぬまでこの食料をずっと守っていたんだ。それを簡単に持って行くなんてな、許さね!!」
マルは飛びかかった。しかし、相手は大人だ。しかも、ゴツい身体付だった。あっという間に、蹴られて倒れた。ナイフはその時、手から離れた。
「うるせぇ。オレたちは、仲間なんだ。あいつもな。だがな、そうやって何十人もの仲間が死んだ。いちいち、悲しんでられないんだよ。
それが俺たちの、約束だ。死んでも、心の中で押しこらえる。そうやって生きてきた。」
そう言われた時、マルははっとした。ガツンと心のなかに来るような感じだった。しばらくうつむいていた。
「お前さん達、すまんな。彼もまだ子供だから、勘違いもする。許してくれ。」
爺はマルの背後からそう言った。
「まあ、いい。それよりも、運ぶぞ。」
その掛け声と共に、彼らの手は忙しく動き始めた。彼らの掛け声がハキハキとトンネル内に響く。
マルは、邪魔にならないように、隅に座った。爺も静かに横へと座った。
「マルだってさ、昨日までは、人の死なんて、興味なかったんだろう。」
マルは嫌そうにうん、と応えた。ただ、今回は違うらしい。人の死についてこんなにも、心の奥にぐっとくるものがあるだなんて、マル本人は初めて知った。
「もし、僕が死んだら、悲しむか?」
爺は、一つ質問をした。
「うん。だって、世界を知るために一緒に旅に出たから。最後まで、一緒にいたい。」
マルは真面目そうな顔でそう言った。しかし、顔は地面を向いていた。
「今までの俺と矛盾してるかもしれないけど、人を傷つける事も違う気がしてきた。」
爺はそうか、とだけ答えた。
「クソ。複雑な気分だ。昨日までは、そんな気分はしたことがなかった。何がしたいのか、分からない。
身も守れない、そうすると死ぬかもしれない。死にたくない。でも、殺したくない。」
マルは、大声を上げ、トンネルを走って抜けてしまった。
あまりの速さに、彼らも驚き、止める人もいなかった。爺もその一人だった。
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