終セい紀

昔懐かし怖いハナシ

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一三

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「あの子供、どこ行きやがった。まあいい。それよりも、早く行くぞ。」
いつの間にか、全ての食べ物はなくなっていた。岩肌がより目立って見えた。
「先に行け。」
男は仲間に向かってそう言って、爺に寄ってきた。
「前に教えてくれたもの、なんだっけ手を合わせて…。」
「なむあみだぶつ、と言うんだ。」
納得したのか、男はトンネルに仲間がいなくなった頃を見計らって、岩だらけの奥へと行った。そして、トンネルに響いたのは悲しげな声だった。それを聞いたのは、ただ一人爺だけだったが。
「終わったな。」
「ああ、ありがとな。この事はは、内緒な。」
「分かってる。」
爺は、水をゆっくりと飲みながら男の気持ちを察していた。
「初めてあった時も、壁に腰掛けていたな。そうやって。」
「あぁ。ちょっと脚、腰が痛くてね。」
「マッサージしてやろうか。父から教えてもらったことがあるから、少しならできるけど。」
「いや、気にしなくていい。」
「そうか。」
男もその横に座った。
「あの子供、大丈夫か?放っといても。」
「ああ、あいつは一人でこれまで生きてきたからな。たくましいよ。だけどね、あいつ。一人だったから、人の優しさなんてもん、感じたことがないんだ。だから、すぐに人を嫌って逃げようとする。自分の思うがまま過ごしている。全て自分の為に、な。」
「それはしょうがないな。こんな世の中だ。他人なんてもん信じられなくて、当然だ。
 一人のほうが絶対楽だ。食料も減るし、仲間の気持ちも察しなければならない。そして、死んだ時悲しまずにはいられないしな。
 でも…」
「分かってる。お前の気持ちは。僕は、ここまでお前を育てたんだ。多少は分かるさ。
 あの仲間たちの中で一番、感慨深いのがお前だったからな。だから、リーダーにも向いているんだろうよ。」
「よせよ。照れる。
 これやるよ。腹減ってるだろ?」
男の手には、束になった食料があった。
「これ魚つって、近くで泳いでたもんだ。多分この魚だけで、近くにはもういないだろう。全部、人が採っていった。」
「そうか。これが最後か。」
「じゃあ、そろそろ行くぜ。オトウ。」
男は立ち上がり、走ってトンネルを抜けた。
 しかし爺は、ゆっくりと立ち上がり、壁に手を触れながら外へと向かった。
「よし、帰るぞ。」
彼らは全員、車に乗っていた。その車というのは、爺か持っていた車とほぼ同じだった。しかし、爺のものと比べ、傷やへこみなどがあった。
「隊長、あの爺さんと何があったんですか?」
ある一人がそういった。
「いや、なにもない。とにかく、次だ。急げ。」
そう言いながら、彼らはそのトンネルを後にした。




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