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ようやく見つけたもの
一六
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坂を上がる度に、背後からの独特な香りのある風が強くなっていった。
「ここらへんは、地面が固くない。足を持っていかれるからな。」
だいぶ進んできた所には土が、近くで流れる水の影響でゆるくなっていた。とても歩きにくい。足が時々、地面の中へと入っていく。
「どこ行くの?」
爺にマルはそう聞いた。前からマルは、息を切らしながら歩いてきた。そのためかその言葉は、かすれていた。
「もう少し。ずっと前に見つけた、我々の聖地。」
「?」
マルは、何があるだろうかと頭をかしげていたが、それは見るまで分からないと思い、考えるのを諦めた。
空は相変わらず黒く、時々水が降ってくる。それは、マルにとって鬱陶しいものであり、帽子をかぶって顔をその水から守っていた。
その時、坂は目の前で途切れていた。その光景を目の前にしたとき、マルは思わず地面に手をついてしまった。爺は、そのまま立ったまま笑っていた。
「来たぞ。や…っと…」
爺も、マルと一緒に座った。
無意識に、坂の下を見る。
「ここまで、来てたんだな…」
その先には、広い“ライン”があった。先ほどいた場所(地面)は本当に小さく見え、代わりに“ライン”が私達の世界を飲み込んで見えた。もしかしたら、すぐそこまで水が来ているかもしれない。そうマルは思った。
もうここが山の頂上。二人はそう感じた。
「ここを見てくれ。」
平たんな、開けた場所に爺は立った。そこには、石の階段があった。驚くほど、精巧な造りをしている階段だった。初めて見た、すべすべとした白い石。手触りがとても良く、この技術力にマルは驚いた。
「ここだよ。」
爺は、一つの扉を見つけた。それは鉄で出来ており、びくともしない。マルは、強引に引っ張ると爺に止められた。
「あまり強く開けるな。電気で気絶させられる。」
爺は右上にある小さな棒を見た。「こんな技術…。俺、作れないぜ、誰がこんな物を。」
マルは、箱から半円の鉄のものを出した。
「まだこの世界には、お前以外にもすごい人もいるだろう?」
爺は笑いながら、そう聞いた。
「ああそうだな。面白いよ。なんだか、嬉しいな。うまく言えないけど。
この中に入れば、もっと面白い物、見れるんだよな?」
「多分な。歴史も分かるかもしれない。」
扉には丸いくぼみがある。明らかにここに二つを合わせて入れれば、中へと入ることが出来る。二人はそう思い、爺の石の半円とマルの鉄の半円、合わせてゆっくりと入れた。
それは、緩くもなくきつくもなく、丁度いい大きさだった。つまりこのくぼみは、これらの半円が必要とする場所であったのだ。
「開くぞ。」
爺は、まるで子供のようなキラキラとした目つきだった。マルも、そうだった。
扉は、左右に平行移動しながら開いた。鉄で重たそうな扉は何十年も使われていないせいか、少し動きがぎこちなかったがうまく動いた。
中は暗く、先へと進まなければ分からなかった。二人はその先から目線を変えなかった。そのまま、右足左足を動かした。
マルは、一つ箱から機械を出した。手作りの機械だ。これは、半径一メートル以上の円を作り、その中へ入って来た人を撃退するという、いわば自分や入り口を守るために作られたもの。
だが、それをマルは使わなかった。箱に戻したのだった。
そしてマルは、独り言。
「こんなものは、必要ないな。」
なぜなら、自分の技術力はとうてい、目の前にある技術力には敵わないからだ。
~この場所。地面がほとんど荒れていなかった。つまり、この場所は人は全く来ていない。それどころか、この場所を知っている人は全くいない。二人をのぞいて…。
いや、もうひとり知っている人がいるかも知れない。もう一人分の、足跡があったのだから。
「ここらへんは、地面が固くない。足を持っていかれるからな。」
だいぶ進んできた所には土が、近くで流れる水の影響でゆるくなっていた。とても歩きにくい。足が時々、地面の中へと入っていく。
「どこ行くの?」
爺にマルはそう聞いた。前からマルは、息を切らしながら歩いてきた。そのためかその言葉は、かすれていた。
「もう少し。ずっと前に見つけた、我々の聖地。」
「?」
マルは、何があるだろうかと頭をかしげていたが、それは見るまで分からないと思い、考えるのを諦めた。
空は相変わらず黒く、時々水が降ってくる。それは、マルにとって鬱陶しいものであり、帽子をかぶって顔をその水から守っていた。
その時、坂は目の前で途切れていた。その光景を目の前にしたとき、マルは思わず地面に手をついてしまった。爺は、そのまま立ったまま笑っていた。
「来たぞ。や…っと…」
爺も、マルと一緒に座った。
無意識に、坂の下を見る。
「ここまで、来てたんだな…」
その先には、広い“ライン”があった。先ほどいた場所(地面)は本当に小さく見え、代わりに“ライン”が私達の世界を飲み込んで見えた。もしかしたら、すぐそこまで水が来ているかもしれない。そうマルは思った。
もうここが山の頂上。二人はそう感じた。
「ここを見てくれ。」
平たんな、開けた場所に爺は立った。そこには、石の階段があった。驚くほど、精巧な造りをしている階段だった。初めて見た、すべすべとした白い石。手触りがとても良く、この技術力にマルは驚いた。
「ここだよ。」
爺は、一つの扉を見つけた。それは鉄で出来ており、びくともしない。マルは、強引に引っ張ると爺に止められた。
「あまり強く開けるな。電気で気絶させられる。」
爺は右上にある小さな棒を見た。「こんな技術…。俺、作れないぜ、誰がこんな物を。」
マルは、箱から半円の鉄のものを出した。
「まだこの世界には、お前以外にもすごい人もいるだろう?」
爺は笑いながら、そう聞いた。
「ああそうだな。面白いよ。なんだか、嬉しいな。うまく言えないけど。
この中に入れば、もっと面白い物、見れるんだよな?」
「多分な。歴史も分かるかもしれない。」
扉には丸いくぼみがある。明らかにここに二つを合わせて入れれば、中へと入ることが出来る。二人はそう思い、爺の石の半円とマルの鉄の半円、合わせてゆっくりと入れた。
それは、緩くもなくきつくもなく、丁度いい大きさだった。つまりこのくぼみは、これらの半円が必要とする場所であったのだ。
「開くぞ。」
爺は、まるで子供のようなキラキラとした目つきだった。マルも、そうだった。
扉は、左右に平行移動しながら開いた。鉄で重たそうな扉は何十年も使われていないせいか、少し動きがぎこちなかったがうまく動いた。
中は暗く、先へと進まなければ分からなかった。二人はその先から目線を変えなかった。そのまま、右足左足を動かした。
マルは、一つ箱から機械を出した。手作りの機械だ。これは、半径一メートル以上の円を作り、その中へ入って来た人を撃退するという、いわば自分や入り口を守るために作られたもの。
だが、それをマルは使わなかった。箱に戻したのだった。
そしてマルは、独り言。
「こんなものは、必要ないな。」
なぜなら、自分の技術力はとうてい、目の前にある技術力には敵わないからだ。
~この場所。地面がほとんど荒れていなかった。つまり、この場所は人は全く来ていない。それどころか、この場所を知っている人は全くいない。二人をのぞいて…。
いや、もうひとり知っている人がいるかも知れない。もう一人分の、足跡があったのだから。
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