終セい紀

昔懐かし怖いハナシ

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ようやく見つけたもの

一九

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「ようやく、この場所を見つけたのか。」
耳の奥に響くほどの電子音がなり、エレベーターから人が降りてきた。マルはハッとした。一歩一歩後戻り、爺の後ろへ下がった。そして眉同士を縮め、その男を見ていた。しかし爺は怖がることなく、男の目を見た。
「ここに来たのか。」
「二人が入って来たのを見たからな。」
トンネルで会ったあの男だった。爺と男は会話をしているのを、マルは後ろで二人を交互に見ていった。なんか、話し方に違和感を感じたのだった。
「この場所、知ってるのか?」
爺は、そう言った。
「ああ、昔のことだ。育てられ、お前と離れると、ある二人に出会った。俺を仲間にしようと言ったんだ。なんだかんだあって仲間になり、それからというもの世界を見て回った。」
「そうだったのか。では、その二人は誰なんだ?」
「名前はない。ただ、お互いにお父さんお母さんと言ってたな。昔の言い方らしいがな。」
「?」
マルは、その話を静かに聞いていた。聞きたいことは山ほどある。だが、今ではない。そう察したのだった。
「世界は酷いものだった。人が住める環境じゃない場所が、たくさんあった。
 二人は、そんな場所に住んでいる人達を助け仲間にし、それを家族と呼んだ。それが、このマークだ。」
その男は、服を何枚も脱ぎ捨て、デコボコした広い背中を見せた。そこには、マルや爺達にあるマークと同じだった。どうやら、その男もマル達の“家族”の一部だったらしい。
「このマークはさっきの仲間達にもみんなついている。多分、お前が住んでいたあの廃墟に、住む人達も同じマークなんだろ?」
「ああ。彼らもその家族だったのか。そして、我々も。」
「そのようだな。
 俺が生まれる前、お前達はあの二人に拾ってもらった。死んでもなお、“家族”はあの廃墟や俺らの所で生き続ける。」
「死んだのか?その二人。」
マルはとても驚き、男に聞いた。
「ああ。確か二人は、ある街に男の子を一人置き去りにしたことが、一番悔いていたな。死ぬ間際まで。お前、名は?」
「ない。」
「そうか。我々家族は、子供にこんなマークは付けない。唯一、付けた子供は、あの二人の…」
「やめろよ。それ以上言うな。」
マルは、そう言い放ち、黙ってしまった。
「まあいい。ちょっと面白い物を見せてやろう。」
男は、テーブルへと歩いていった。その時、あのボタンを押した。すると、壁からスクリーンが出てきて、何かが映った。マルは地面を見つめていた。爺は、そのスクリーンを見ていた。
「これが世界の姿だ。」


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