20 / 33
ようやく見つけたもの
二〇
しおりを挟む
「これらの映像を見てほしい。すべて、今現在の様子だ。
旅に出た時、そこにカメラを置いてきた。それらが映す、世界の様子を実際に見てほしい。」
マルは、そのカメラ技術に関心しつつ、その映像を見た。無音がその場を包んだ。
「北は、極寒の地であり、このような雪と言われる白いものが風と共に吹き荒れている。
南は暑く、水は涸れ、土地は干上がる。その土地も生き物など住めない。とにかく暑い。ここには、空に太陽が一つだけ。ここら辺と違い、何も覆うものはない。
南の“ライン”付近の土地では、逆に空は黒いモヤに覆われ、水が多く降る。また、風も強くなり、黒いモヤが渦巻きとなり、その場を襲う。猛烈な風と水、簡単な建物はすぐに壊れ、跡形もない。だから、人は住めない。
だが、このように地下に住むと安全なんだ。
このように、人も他の生き物も生きる場所はなくなっている。お前達が生きているあのような街など、世界から見れば珍しいものなんだ。」
男の説明を、彼らは真面目に、そして驚きを隠せないような表情で聞いていた。その映像は彼らにとって、説明を信じざる得なく感じた。これが、現実なのだから。
「これが、今の世界だ。それを知らないで、街で自分勝手に生きている人が、小さく見えないか?」
「僕も、小さな世界で生きていたんだと思った。」
マルは、悲しそうに言った。
「それよりも、お前はこの場所を知っているんだろ。
これらは何が書いてある?」
爺は、近くにあった紙を一枚取り、男に差し出した。
「これらは、調査結果の報告書だ。例えば、これはある場所の地下深くを調べた結果だ。土は汚染され、地下水は飲めなくなっている。そんなかんじだ。」
「じゃあ、この場所は?」
マルは聞いた。やっと知りたいことを聞ける。そう思った瞬間だった。
「ここは、“ユートピア”の玄関だ。」
「何?」
爺は、聞き返した。
「ユートピアというのは、我々家族だけの国だ。
お互いを思いやり、助け合う家族だけの街を作ってそれが完成すれば、安全でみんなと楽しい日々を過ごせるようになるのだ。
それを考えたあの二人は、良い人だった。死んだのは、残念だったが。」
男は一人で盛り上がり、そしてある扉の方へ歩きだした。
旅に出た時、そこにカメラを置いてきた。それらが映す、世界の様子を実際に見てほしい。」
マルは、そのカメラ技術に関心しつつ、その映像を見た。無音がその場を包んだ。
「北は、極寒の地であり、このような雪と言われる白いものが風と共に吹き荒れている。
南は暑く、水は涸れ、土地は干上がる。その土地も生き物など住めない。とにかく暑い。ここには、空に太陽が一つだけ。ここら辺と違い、何も覆うものはない。
南の“ライン”付近の土地では、逆に空は黒いモヤに覆われ、水が多く降る。また、風も強くなり、黒いモヤが渦巻きとなり、その場を襲う。猛烈な風と水、簡単な建物はすぐに壊れ、跡形もない。だから、人は住めない。
だが、このように地下に住むと安全なんだ。
このように、人も他の生き物も生きる場所はなくなっている。お前達が生きているあのような街など、世界から見れば珍しいものなんだ。」
男の説明を、彼らは真面目に、そして驚きを隠せないような表情で聞いていた。その映像は彼らにとって、説明を信じざる得なく感じた。これが、現実なのだから。
「これが、今の世界だ。それを知らないで、街で自分勝手に生きている人が、小さく見えないか?」
「僕も、小さな世界で生きていたんだと思った。」
マルは、悲しそうに言った。
「それよりも、お前はこの場所を知っているんだろ。
これらは何が書いてある?」
爺は、近くにあった紙を一枚取り、男に差し出した。
「これらは、調査結果の報告書だ。例えば、これはある場所の地下深くを調べた結果だ。土は汚染され、地下水は飲めなくなっている。そんなかんじだ。」
「じゃあ、この場所は?」
マルは聞いた。やっと知りたいことを聞ける。そう思った瞬間だった。
「ここは、“ユートピア”の玄関だ。」
「何?」
爺は、聞き返した。
「ユートピアというのは、我々家族だけの国だ。
お互いを思いやり、助け合う家族だけの街を作ってそれが完成すれば、安全でみんなと楽しい日々を過ごせるようになるのだ。
それを考えたあの二人は、良い人だった。死んだのは、残念だったが。」
男は一人で盛り上がり、そしてある扉の方へ歩きだした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れ果てた俺がたどり着いたのは、圧倒的な自由度を誇るVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は、幼い頃から密かに憧れていた“料理人”。しかし戦闘とは無縁のその職業は、目立つこともなく、ゲーム内でも完全に負け組。素材を集めては料理を作るだけの、地味で退屈な日々が続いていた。
だが、ある日突然――運命は動き出す。
フレンドに誘われて参加したレベル上げの最中、突如として現れたネームドモンスター「猛き猪」。本来なら三パーティ十八人で挑むべき強敵に対し、俺たちはたった六人。しかも、頼みの綱であるアタッカーたちはログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク・クマサン、ヒーラーのミコトさん、そして非戦闘職の俺だけ。
「逃げろ」と言われても、仲間を見捨てるわけにはいかない。
死を覚悟し、包丁を構えたその瞬間――料理スキルがまさかの効果を発揮し、常識外のダメージがモンスターに突き刺さる。
この予想外の一撃が、俺の運命を一変させた。
孤独だった俺がギルドを立ち上げ、仲間と出会い、ひょんなことからクマサンの意外すぎる正体を知り、ついにはVチューバーとしての活動まで始めることに。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業。
そんな俺が、仲間と共にゲームと現実の垣根を越えて奇跡を起こしていく物語が、いま始まる。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる