終セい紀

昔懐かし怖いハナシ

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ようやく見つけたもの

二〇

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「これらの映像を見てほしい。すべて、今現在の様子だ。
 旅に出た時、そこにカメラを置いてきた。それらが映す、世界の様子を実際に見てほしい。」
マルは、そのカメラ技術に関心しつつ、その映像を見た。無音がその場を包んだ。
「北は、極寒の地であり、このような雪と言われる白いものが風と共に吹き荒れている。
 南は暑く、水は涸れ、土地は干上がる。その土地も生き物など住めない。とにかく暑い。ここには、空に太陽が一つだけ。ここら辺と違い、何も覆うものはない。
 南の“ライン”付近の土地では、逆に空は黒いモヤに覆われ、水が多く降る。また、風も強くなり、黒いモヤが渦巻きとなり、その場を襲う。猛烈な風と水、簡単な建物はすぐに壊れ、跡形もない。だから、人は住めない。
 だが、このように地下に住むと安全なんだ。
 このように、人も他の生き物も生きる場所はなくなっている。お前達が生きているあのような街など、世界から見れば珍しいものなんだ。」
男の説明を、彼らは真面目に、そして驚きを隠せないような表情で聞いていた。その映像は彼らにとって、説明を信じざる得なく感じた。これが、現実なのだから。
「これが、今の世界だ。それを知らないで、街で自分勝手に生きている人が、小さく見えないか?」
「僕も、小さな世界で生きていたんだと思った。」
マルは、悲しそうに言った。
「それよりも、お前はこの場所を知っているんだろ。
 これらは何が書いてある?」
爺は、近くにあった紙を一枚取り、男に差し出した。
「これらは、調査結果の報告書だ。例えば、これはある場所の地下深くを調べた結果だ。土は汚染され、地下水は飲めなくなっている。そんなかんじだ。」
「じゃあ、この場所は?」
マルは聞いた。やっと知りたいことを聞ける。そう思った瞬間だった。
「ここは、“ユートピア”の玄関だ。」
「何?」
爺は、聞き返した。
「ユートピアというのは、我々家族だけの国だ。
 お互いを思いやり、助け合う家族だけの街を作ってそれが完成すれば、安全でみんなと楽しい日々を過ごせるようになるのだ。
 それを考えたあの二人は、良い人だった。死んだのは、残念だったが。」
男は一人で盛り上がり、そしてある扉の方へ歩きだした。
 
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