終セい紀

昔懐かし怖いハナシ

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ゆーとぴあ

二六

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 マルと爺は、ユートピアへの道でうずくまっていた。先程の揺れが、二人を恐怖に落とした事は分かりきっている事だ。
「止まった。」
マルはそう言い、辺りを見渡した。灯りが点いたり消えたりを繰り返しており、場所によっては暗闇と化していた。
 そして、爺はある事に気がついた。入り口が天井からの石や土などで塞がっていた。
「また箱で、取り除くしかない…か。」
しかしマルは、
「いいよ。帰ってくる時で。
 あの男も、当分帰ってこないだろうし。」
「分かった。」
爺はマルに賛同し、薄暗い道へと向かって立った。
 爺は、あるものを握っていた。別れるとき男が、渡してきたもの。
『これは、地図だ。これをなくすと、俺以外誰もユートピアに辿り着かない。
 赤い所が入口だ。線の描いている道を通っていくんだ。』
これは、別れ際に言った言葉だ。「この先真っ直ぐでいいんだよな?」
「あぁ、いいらしい。」
爺の道案内を頼りに、マルは先を急いだ。ここにいると、揺れをまた感じ、今度こそ生き埋めになる恐れがあった為だ。
 
 爺とマルは、自分自身の灯りと地図一つを頼りに、歩いていた。簡単な世間話が道の先までこだましていた。
 所々、地面が陥没していたりして先へ進めない場所があったが、幸運が味方しユートピアへの道は全くと言っていいほど無傷だった。
「これからどうする?」
マルは何か心配事があるみたいだった。
「何がだい?」
「ユートピアに行った後さ、世界を見たいと思ったが、ラインを挟んで向こう側に行かないといけない。でも、あの水の向こうは今のままじゃ行けないよな。」
「そうだな。じゃあ、ここに残ればいい。ここなら、安心だ。
 それに僕は、この地下室に入れただけでもう人生の目標を達成したようなもんだ。あとは、人生のさいごを迎えるだけ。」
「そんな悲しいこと言うなよ。僕はどうするんだ?一生ついて行くつもりだったのに。」
マルは、悲しそうに下を向いた。そのため、目の前の角を曲がりきれないでいた。軽く頭をぶつけ、少しよろめいた。
「そんなに悲しい顔をするなよ。もちろん、今度は君についていくよ。そんなに、自分勝手に生きないよ。」
「ジジイ。」
マルは、爺の顔を見て笑った。目を輝かせ、爺のしわくちゃな、爪がありえない方へ曲った手を軽く握った。そして、もう一度強く握り、冷たさを感じた。一方マルの体温を爺は、強く温かい体温を感じた。
 そうこうしている内に、一つの扉を見つけた。上には、四角い枠に囲まれた、石に文字が彫ってあった。
 【ゆーとぴあ】と書いてあったが、その場の誰も読めなかった。かくかくとした文字だということだけが分かった。
 
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