終セい紀

昔懐かし怖いハナシ

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ゆーとぴあ

二七

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 鉄のドアはギーと音を立てた。しかし、この扉は簡単には開かなかった。重い扉、金具の所が錆びてうまく動かない。その扉を、マルと爺で力を合わせ、開いた。思わずふぅとため息をした。
 するとその瞬間、もう一つ同じ扉がある事に気がついた。再びその扉も開けたが、案外これは簡単に開くものだった為、二人の力では勢いある開き方となってしまった。
 壁に肘を擦ってしまったマルも尻もちをついてしまった爺も、少しイラつきはした。が、その扉の向こうの光景へとその怒りは飛んでしまったみたいだった。
 「行こう。早く。」
子供のようにマルは無邪気さを取り戻し、爺をおいてその空間へと行ってしまった。爺は公園に来た親のごとく、ゆっくりと立ち上がり、後を追いかけた。マルと爺との距離は、随分とあった。


「なにここ。」
マルは、思わずそう呟いた。
「すごいな。」
後からその空間へと入って来た爺も、思わず呟いた。
 彼らの目には、いつも見る黒い土が緑に覆われ、底まで見える透き通った水(現在の川)が流れ、地下というのに明るい、そんな空間が映っていた。
 爺は天井を見ると、なぜ明るいのか分かった。ドーム(地下ではなく地上に出ている、透明なものに囲まれているもの)があり、黒いモヤが空には一切なく温かい光が降り注いでいた為だった。
「ねぇ。ここ来て。」
眩しそうに手で目を隠し空を見ている爺に、マルはこう言った。マルは、水の向こうへと渡り、ドームの端へと行き、丘の上に立っていた。爺は、なぜそこに居るのか、こんな光景よりも先にその暗い場所に行く理由を知りたかった。
「分かった。」
とだけ言い、美しい場所を通り越し、暗くジメジメとした丘の上へと行った。ここは光が届かないらしく、寒く感じた。だが、特殊な服を着ているマルには全く感じていない。
「何?どうしたんだ。」
マルの様子がおかしかった。それは、爺を不安にさせる様子だった。
 マルは、縦に長く地面に埋まっている石を見つけた。ゴツゴツとしている普通の石とは違い、ツルツルで、緑のものが所々付いていた。明らかに人が作り、長年放置されていた。
 マルはその石を見て、地面に顔を打ちつけていた。爺は、訳もわからずそれを止める他なかった。
「とうした?」
その行為を止め、顔を見ると目が腫れていた。また、水が目や鼻からこぼれ落ち、普段の表情とは全く違っていた。
 爺は思った。これは、“涙”だということに。人は、悲しい時に泣く。この時出るのが涙ということは、爺は知っていた。だが、間近で見るのは初めてだった。
 突然マルは、顔を上げず石に指差し、こう言った。
「この石、見てくれ。読めないかもしれないが、僕には読める。これは、僕のママとパパ。」
「え?」
爺は、戸惑った。よくよく見ると、確かに文字が掘ってある

 
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