終セい紀

昔懐かし怖いハナシ

文字の大きさ
28 / 33
ゆーとぴあ

二八

しおりを挟む
「すると、死んだのか。この様子だと、結構前にだな。」
爺は石に近づき、よくよく観察した。
「これが、、」
マルは言葉にならなかった。泣きじゃくりて、下をうつむいたままだった。
「泣くな!」
爺は、初めて大声で怒鳴った。マルはなぜ怒られているのか分からなかった。そして、反抗心がマルに取り憑いた。
「うるせぇ。ずっと一人で生きてきて、やっと会えたんだ。そしたら、死んでるんだぞ。顔は覚えていない。だから、悲しいんだ。それが分からないお前に言われたくない。」
マルは、爺の顔を見た。目は真っ赤になり、怒りを表していた。
「だからこそだ。お前の父母からしても、あんまり覚えてないはず。今、やっと会えた息子だぞ。なのに、下向いてちゃ分からないだろ。」
マルは言い返す言葉がなかった。
 “ママとパパは死んでんだ。そんな事分かるかよ。”と反論したかったが、それは二人に悪い。そうマルは感じた。
「とにかく。」
爺はマルの髪を持ち、むりやり顔を上げた。いきなり髪を引っ張られ、怒りがますます込み上げて来たが、二つの石を見るとその気は失せた。
「手を合わせろ。」
トンネルでした行為。それを、もう一度しろ、という事らしい。
「分かったよ。」
マルと爺は、手を合わせ、爺だけは目を閉じた。そのまま、何分か時間が過ぎた。水の流れる音とドームの外で鳴る風、それだけが彼らを取り巻いていた。
 爺とマルは共々、不器用であり、お互いの扱い方が全く分からなかった。だが、手を合わせるという行為、それは素直な意思はあるという事。
 本当は、彼らは心を許したいのだろう。だが、この世界で共に生きるということは死を意味する。それが、怖いのだ。
「悪いな。髪、引っ張って。」
目を開けた爺は、冷静さを取り戻しそう謝った。
「まあ、別に怒ってない。」
マルは、自分に嘘をついても爺を許したかった。
「それより、これからどうするか。」
マルは、緑の上に腰をおろした。カサカサと音を立てて、細長い緑がマルの手を擦る。少し、気持ちがいい。
 爺はマルと違い、ゆっくりと腰をおろした。腰に負担をかけないようにと。
 “あぁ、風があったらな”と一言。そして、寝転がり再び目を閉じた。
 マルもそれを真似して。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

処理中です...