終セい紀

昔懐かし怖いハナシ

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ゆーとぴあ

二九

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 二人は空を見た。初めて見る青空は、とても眩しく美しかった。そして、広かった。
「あれ?」
マルは何かに気がついた。少し高さのある岩の崖の上に、一つ建物がある。最近作られたであろう。むき出しの鉄が光に反射し、キラキラ光った。
「あそこに、行ってくる。」
「あっ、ちょっと。」
マルは瞬敏に動き、爺をおいてその建物に向かった。
 爺は一人、緑の上で寝ていた。そして、目を閉じた。
 マルは、どうやって登ろうか、と考え周りを見わたすと、一つはしごがあった。これに上るのに、コツがいる事を知っていた。腕の力がいる、と教えられたが実際使ったことはなかった。
 結構な高さがある。もし落ちたら、と考えたが、マルは首を振った。そんな事は考えない。考えてはいけない。
 ようやく決心し、はしごに手をかけた。一度手前に強く引いた。びくともしなかった。それを確認し、手足を一つ一つ交互に動かして登った。初めての割に、早い方だと思う。
 しかし、速く上るにつれて、右足がうまく引っかからなかったのか、滑り落ちかけたのだった。両手は横棒をしっかり握っていた為、落ちずにそのままぶら下がっていた。マルは下を向きその高さを確認した。そこそこ高かった。
 ようやく上りおわり、岩に手をついた。ひんやり冷たかった。汗も冷えて、腕で拭ったのだった。
 目を上げた。そうすると、大きな建物がどんと構えていた。
「でかいな。」
思わずそう言うほどだった。
 足も岩につけ、そのまま表にあるドアを見つけた。そのドアをよく見ると、右に引くものだった。また、軽く、いい匂いがした。
 入ると段差があり、それを一歩で上ると開けた場所にでた。
 もう一歩踏み出すと、ギシギシと音がなった。すぐに折れそうで怖かった為、ゆっくりと歩くことにした。
 物置きと思われる場所以外、何もなく、正方形の部屋を出ると一本廊下があった。その先には鉄のテーブルが立て掛けてあった。それを持つと、意外と軽かった。
 その右にドアがありそこに入ると、中央に水が溜まっている硬い石のようなものがあった。これも高度な技術で作られたのだろう。
 壁には、一回転回せるような取手があり、回すと、ジャアーと水が流れていくのだった。よく見るとその水は、石の奥に吸い込まれていった。
「なんだこれ。」
生活に必要ないものだと思った。
 
 建物はどうやら、住む場所らしかった。水や屋根、それに不思議な造りもあり、マルはそう確信した。


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