レスト：ランプ

噂話

異世界なんて…2

　出てくる料理は、まだ知らない二人だった。
「てか、今気づいたんだけど、値段どうだった？書いてた？」
「あ、そういえば!書いてなかったような…」
「どうしよう。」
すごく心配だった。日頃からそんなに大金は持って歩かない。でも、この店の雰囲気からして、そんなに高くはないだろう。千何百円くらいだろうと思った。
「最初は飲み物からです。」
そして、少し大きめなグラスに入っていたのは、黄色の飲み物。パインジュースだ。
「早いね来るの。あ、すみません。値段はどれくらいするんですか？」
雪は、何気なく聞いた。
「それは、後から決めますので。」
そしてすぐに彼女は、厨房へ戻った。
「もしかして、ぼったくられる?私達。」
とても心配だった。明子は、もう料理どころじゃなくなっていた。そんな中、
「あれ？何か見える」
雪は、パインジュースの中を覗いた。明子も見た。
「ん？これは、動画を撮っている所？」
雪の言っている通りの光景が、ジュースの中に映し出されていた。
　今雪は、動画投稿サイトで動画を出していた。その動画を撮っている姿が写っていた。
「これはこれは。この一週間の間、気を付けたほうがいいですね。動画を撮るのを。」
店のオーナーが出てきた。料理を持って来た。
「どうしてですか？」
雪は、少し怒りめだった。
「見たとおりです。それは、あなたの未来の運命。変えようもない運命です。しかし、その行為自体をやめればいいだけの話なんです。それで悪運が避けれるのなら、良いことでしょう?」
オーナーは、ハンバーグを彼女らに出しながら、言った。店の中に素敵な香りが漂ってきた。
「話変わりますけど、その髪の長いお嬢さん。あなたは、あまりお金ないでしょ？そんなに高くはつかせませんから。」
明子に言った。彼女は、ニヤッと笑った。しかしそれには、悪意は感じられなかった。
　雪はまだ不機嫌だった。からかわれていると思っていたのだ。しかし、明子は信じたほうが良いと、不思議とそう思った。
「あれ？このハンバーグの中に、金属が入っている。」
それは刃物だった。
「危なかったね。間違って食べなくて」
「本当だよ。ちょっと、すみません。」
これには、温厚な雪もカンカンに怒っていた。
「あら、本当にすみませんね。しかしこれは、一週間の間刃物に気を付けて、といった意味があります。こんなに多い悪運命がある人はそんなに…」
「分かりました。はいはい!」
カランっと、刃物をテーブルに置き、無言で食べ始めた。
「そんなに、怒らないでよ。」
明子は、心配した。
「あの人が悪いんだ。変な人だ!」
厨房に戻るオーナーの後ろ姿を、睨んだ。

　とても美味しかった。でも、明子の料理には、何も起きなかった。しかし、箸を入れたある紙袋には、“友達を一番に大切にしなさい”と、書いてあった。
「あー、そんなに美味しくはなかったな。絶対もう来ないわ。今度、この店の悪口を言う、動画を出そうよ。」
「やめなよ。」
明子は、止めた。
「大丈夫だって。だって、刃物を出す店なんて、絶対あっちが悪いんだから。」
「そうだけど…」
明子は、一つ気がかりだった。あの言葉が。