レスト：ランプ

機械を操る男

機械に強い人、４

「あ～。生き返るぜ。」
かぱっと、ジュースの缶を開けて飲む男に、何も言えなかった。体が動かないからだ。
　そして、飲み終わると、横においてある、ゴミ箱へと投げた。それからは、スタスタと、暗い夜道を歩いていった。

「大丈夫ですか？」
懐かしい声が聞こえた。その反対の道からやってきたのは、女の店主、あのレストランの人だった。全く変わってなかったが…
「あのとき、コーヒーのそこにヒントが書いてあるのを知ってましたか？いや、知らなかったでしょう。ならば、こんな事にはならなかっただろうに。
　私は、中途半端な事はしませんよ。こんなふうに、“気をつけろ”だなんて、曖昧に伝えることはないのです。
　そして、私の言う事は間違いは絶対にないのです。
　でも、しっかり注意を受け止めて、人に迷惑をかけないように能力を使っていたのは、素晴らしいことです。

　その代わりといってはなんですが、あなたがここから出る為に一つ教えてあげましょう。
　誰か一人この自販機で、買い物をすればいいのです。そうすればあなたはまた、解放されます。
　でも、私は助けられません。これもまたあなたの運命ですから。
　それでは、」
周りから見ると、自販機に話しかける人だと思うが、その時人は、誰もいなかった。
　ここは、路地裏。ほとんど人は、通らない。

　今はこの男、会社で役に立つようになり、幸せな毎日を送っているそうだ。
　また、自販機から出てきたあの男。あのレストランに入ったきり、出てこなかった。