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機械を操る男
機械に強い人、3
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~このように生活が変わっても、悪いことをしようとは、思わない。自分の為に、他人を不幸にさせる事はしない。自分の為に使おうと決めた。
この男は会社でも、結構有名になっていた。
「すごいな。こんな技術者が、こんな会社にいたなんて。」
「本当にすごいですね。尊敬します。」
「今度、教えて下さい。僕も出来るようになりたいです。」
そんな人が、多かった。しかし、教えようにも、教えられなかった。思っただけで機械を動かせるため、普通の人になんて言ったら良いのか分からなかったからだ。
そんな人生となってから一年が経った時、この人生が当たり前となっていた。今まで決して、この能力で失敗などしなかった。また、他人を不幸にさせることは、しなかった。
なぜなら、あのコーヒーに書いてあった、危険マーク。あの事が気になるからだ。もしかしたら、災いなどが降ってくるのだろうか?
しかし、いつになってもそんな災いは降ってこなかった。時間が一年一年と過ぎていった。
そして、ある日の夜に、自販機に行った。一日中、パソコンで仕事をしていたので、外に出る事はなかった。
「喉が乾いたなあ、炭酸を久しぶりに飲むか。」
近くには、色んな種類の自販機がある。そこには、キャッシュレス決済の看板が付いているものや、麦茶の広告があった。
しかし、彼は迷わず、五百円玉を入れ、炭酸飲料水のボタンを押した。
しかし思わず彼は、仕事の事を考えながら、押してしまった。
ボトンと鈍い音がした。
すると、
「ぐがっ!!」
取り出し口に手を入れた瞬間、何かが手を引っ張った。それも強い力だ。何か硬い物のようだ。
みるみるうちに、手が自販機に入っていった。このままでは、体ごと入りそうだ。
「助けてくれ。誰か。」
この男が不具合を起こさせたのか。自販機は、点滅し始めた。ガタンゴトンと音もする。
周りは誰もいない。そもそも、こんな暗い場所に人が来るわけない。
中を覗いた。取り出し口の中から、飲み物が沢山落ちてくる。止まることがないくらいに。
すると、ある“両目”と合った。感情のこもっていない目だった。
その瞬間、体ごと浮いた。
痛くはなかった。顔から、そして胴体、最後には足。気がついたら、暗い場所に閉じ込められたと思った。
体が動かない。全くだ。眼の前の光景が、今さっき買った自販機から見える光景と同じであった。つまり、その男は、自販機になってしまった。
「ようやく来たか。待ちくたびれた。」
すると目の前には、若い男が立っていた。
「次は、お前の番だ。ありがとうな。」
自販機にそう言うと、手を触れた。すると、がたんと音を立てて、ジュースが取り出されるのを、自販機の男が見た。
その男、自販機の男と同じ能力を持っていた。だが、何か悪いことを考えているような目だった。
この男は会社でも、結構有名になっていた。
「すごいな。こんな技術者が、こんな会社にいたなんて。」
「本当にすごいですね。尊敬します。」
「今度、教えて下さい。僕も出来るようになりたいです。」
そんな人が、多かった。しかし、教えようにも、教えられなかった。思っただけで機械を動かせるため、普通の人になんて言ったら良いのか分からなかったからだ。
そんな人生となってから一年が経った時、この人生が当たり前となっていた。今まで決して、この能力で失敗などしなかった。また、他人を不幸にさせることは、しなかった。
なぜなら、あのコーヒーに書いてあった、危険マーク。あの事が気になるからだ。もしかしたら、災いなどが降ってくるのだろうか?
しかし、いつになってもそんな災いは降ってこなかった。時間が一年一年と過ぎていった。
そして、ある日の夜に、自販機に行った。一日中、パソコンで仕事をしていたので、外に出る事はなかった。
「喉が乾いたなあ、炭酸を久しぶりに飲むか。」
近くには、色んな種類の自販機がある。そこには、キャッシュレス決済の看板が付いているものや、麦茶の広告があった。
しかし、彼は迷わず、五百円玉を入れ、炭酸飲料水のボタンを押した。
しかし思わず彼は、仕事の事を考えながら、押してしまった。
ボトンと鈍い音がした。
すると、
「ぐがっ!!」
取り出し口に手を入れた瞬間、何かが手を引っ張った。それも強い力だ。何か硬い物のようだ。
みるみるうちに、手が自販機に入っていった。このままでは、体ごと入りそうだ。
「助けてくれ。誰か。」
この男が不具合を起こさせたのか。自販機は、点滅し始めた。ガタンゴトンと音もする。
周りは誰もいない。そもそも、こんな暗い場所に人が来るわけない。
中を覗いた。取り出し口の中から、飲み物が沢山落ちてくる。止まることがないくらいに。
すると、ある“両目”と合った。感情のこもっていない目だった。
その瞬間、体ごと浮いた。
痛くはなかった。顔から、そして胴体、最後には足。気がついたら、暗い場所に閉じ込められたと思った。
体が動かない。全くだ。眼の前の光景が、今さっき買った自販機から見える光景と同じであった。つまり、その男は、自販機になってしまった。
「ようやく来たか。待ちくたびれた。」
すると目の前には、若い男が立っていた。
「次は、お前の番だ。ありがとうな。」
自販機にそう言うと、手を触れた。すると、がたんと音を立てて、ジュースが取り出されるのを、自販機の男が見た。
その男、自販機の男と同じ能力を持っていた。だが、何か悪いことを考えているような目だった。
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