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第五章 神獣
馬とジョナサン
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夜になって私はケイトとダリアを連れて、院長室に向かった。
部屋にはベラさんが来ていて、彼の横たわるベッドの横に椅子を置いて、顔をのぞき込んでいた。
事情を話した時、ケイトとダリアはとても驚いたけど、実際に見た今は、言葉を失っている。見るのが二回目の私でもショックを受けるのだから、二人はもっとだろう。
「ジョナサンを呼んでもらえる?」
ベラさんに言われて、私はクロスを握って、ジョナサンに呼びかけた。
程なくジョナサンが目の目に現れ、やあ、と軽い挨拶をして、くるっと室内を見回した。
「あれ、いつもの部屋では無いね」
そう言った後、自分の体に目を留めたようだ。それからゆっくりとベッドに近寄った。ベラさんが横たわっている彼の手を握っている。
「ジョナサン、あなたの体を見つけたの。あなたはここでずっと眠っていたそうよ」
その言葉を聞いた彼は、自分の体を見つめながら、ベッドの周りを一周してベラさんの横に立った。
「僕は生きているの?」
ジョナサンは自分の体に目を向けたまま、誰にともなく聞いた。
「よくわからない状態なのよ。だから試してみたいの。この体に入り込んだら、心と体がくっつかないかしら」
やってみる、とすぐに答えてジョナサンは体にのしかかっていった。
駄目だった。
何かに触れた時と同様に、影の体はバラけていった。ジョナサンはすごく情けない顔で、しょんぼりしている。
思わず私たち三人は、落ち込まないでと励ました。
べラさんは、じゃあ次の手ねと言い、ジョナサンにキスしてみると言い出した。
「え、僕のファーストキスなのに」
「私とじゃ嫌だって言うの?」
「そんなことはないけど、その体は僕だけど……目の前で他の僕とキスされたら嫌だ」
「だけど、こっちもあなたよ」
ウ~ン、聞いている私も悩んでしまう。分離しているけど、両方ともジョナサンだ。だけど、目の前で恋人がキスしているのを見るのは嫌だろうな。
ややこしい話だわね。
皆が頭を悩ませている内に、ベラさんが素早くキスした。
そして唇をとがらせた。
「あなたは目を覚まさないし、キスしても何の感動も湧き上がらないわね」
ジョナサンも、気が抜けたように、そうだねと同意する。
本当にそう。見ている私たちも、全くドキドキしない。ただ白けた沈黙が、部屋に広がっている。
一番早く気を取り直したのは私だった。
「ジョナサン、私達が院長から聞いた、十七年前のあの日の事を話すわね。何か思い出すかもしれないわ」
全員でベッドのジョナサンを囲んで座った。存在感の薄い影のジョナサンと、物体としての存在感だけの、眠るジョナサン。シュールな光景だ。
私が院長の話を繰り返して聞かせたが、何も覚えていないと言う。ところが、私とケイトの塀登りの話をした時、ジョナサンが反応した。
「待って。少し覚えている。塀を登っている時、気が遠のいたんだ。それを振り払いながら、夢中で登ったのを覚えている。今の状態はあのせいなのかな」
私は頷いた。
なまじっか意思が強すぎるのも、良し悪しなのだ。
だけどベラさんは感激したみたい。まあそれだけ、ベラさんへの思いが強かったってことだものね。さっきの素っ気ないキスを断然上回る勢いで、雰囲気が高まった。
「例え触れなくても、あなたがいればいいわ」
「ごめんね。君を助けようと思ったのに、こんなことになってしまって」
触るとバラけてしまうから、手を近づけあっているだけだけど、それでも二人は幸せそうだ。
その姿が切なくて胸が締め付けられる。
「リディア、玉が光っている。それに表面に何か浮かび上がって来ているよ」
横に座っているケイトに言われて、玉を見ると、水色の玉の表面に、銀色の馬の姿が浮かんでいた。
「夢で見た馬だわ。生きているみたいに精密ね」
そう言いながら指で馬の姿をなぞると、馬が身じろぎした。
「見た? 動いたわ。生きているのかしら。やっぱりあの夢は、ただの夢じゃなかったんだわ」
私は玉の表面に浮かび上がった馬に話しかけてみた。
「夢で会っているわよね。あなたは何者なの。ジョナサンの状態と関係があるの?」
馬は私を見つめて、何かを伝えようとしているようだけれど、どうやったら意志の疎通ができるのかわからなかった。
私が馬と見つめ合っていると、ケイトが私のスカートのポケットに手を突っ込んで、トーマス様の手紙を引っ張り出した。愛の補充ならこれを持って行くべきと、彼女に勧められたのだ。
ケイトは手紙を広げて、パッと私の目の前にかざした。
いきなり愛しているという言葉が目に飛び込んできて、頭の中で熱がボワっと噴き出す。
と思ったら、声が頭の中に響いてきた。
「よかった。僕の声が聞こえるでしょ。もっと力を蓄えてくれない。そうしたらここから出られる」
「馬が喋った」
ケイトとダリアとベラさんは聞こえないようだが、ジョナサンには聞こえたらしい。
「僕にも聞こえる。どういうことなんだ」
「あなたはどうして僕と繋がっているの? 僕が絆を繋いだのは彼女なのに」
馬の方も、ジョナサンと話しができるのに驚いている。
私は馬に向かって説明した。彼はこの修道院に忍び込もうとして、そのまま十七年間、こうして眠っている。そして最近になって、影のような状態で出て来れるようになり、玉に向かって祈ると、それに沿って状態が変わることも伝えた。
「もしかしたら、僕を守る結界の中に取り込まれているのかな。それで、玉を通して漏れる僕の力で動いているのかもしれない」
それは、何? というより、そこから出して欲しい。
「ねえ。十七年も彼はこのままでいるのよ。あなたの結界なら、あなたが解放出来るでしょ。お願いできないかしら」
う言って、馬に、横たわるジョナサンの姿を見せた。
「結界のせいで時間を止められている状態なのかな。もっと力を蓄えて、僕がここから出たら、もう守護の結界は必要がなくなるから消える。そうしたら彼も元に戻るはずだよ」
私は、声が聞こえていないケイトたちに、この朗報を伝えた。
「ジョナサンが生き返るの?! やったね」
ケイトとダリアが飛び上がって喜び、ジョナサンを囲んだ。私も近くに行こうとしたのだが、ベラさんの様子が沈んで見えるのに気付いた。
そんなはずは無いと二度見したけど、やはり様子がおかしい。
「僕は復活したばかりで、まだ小さいから、忘れてしまった事が多いみたい。ゆっくり思い出していくから、少し待ってね」
馬はどうやら復活したらしい。私には馬の素性の見当がつかないので、本人の申告を信じるしかない。
馬の言葉を私が伝えると、ダリアに名前はないのかと聞かれた。確かに馬と呼び続けるのも味気ないので、馬に名前を聞いてみた。
「名前は無いよ。付けて欲しいけど,その名前を知っているのも、呼ぶのも君だけだよ。あの男には口止めしてね」
復活したばかりの子馬ね。私は少し考えて、ホープと名付けた。
単にホースからの連想もあるけど、ジョナサンに関しての希望だ。
部屋にはベラさんが来ていて、彼の横たわるベッドの横に椅子を置いて、顔をのぞき込んでいた。
事情を話した時、ケイトとダリアはとても驚いたけど、実際に見た今は、言葉を失っている。見るのが二回目の私でもショックを受けるのだから、二人はもっとだろう。
「ジョナサンを呼んでもらえる?」
ベラさんに言われて、私はクロスを握って、ジョナサンに呼びかけた。
程なくジョナサンが目の目に現れ、やあ、と軽い挨拶をして、くるっと室内を見回した。
「あれ、いつもの部屋では無いね」
そう言った後、自分の体に目を留めたようだ。それからゆっくりとベッドに近寄った。ベラさんが横たわっている彼の手を握っている。
「ジョナサン、あなたの体を見つけたの。あなたはここでずっと眠っていたそうよ」
その言葉を聞いた彼は、自分の体を見つめながら、ベッドの周りを一周してベラさんの横に立った。
「僕は生きているの?」
ジョナサンは自分の体に目を向けたまま、誰にともなく聞いた。
「よくわからない状態なのよ。だから試してみたいの。この体に入り込んだら、心と体がくっつかないかしら」
やってみる、とすぐに答えてジョナサンは体にのしかかっていった。
駄目だった。
何かに触れた時と同様に、影の体はバラけていった。ジョナサンはすごく情けない顔で、しょんぼりしている。
思わず私たち三人は、落ち込まないでと励ました。
べラさんは、じゃあ次の手ねと言い、ジョナサンにキスしてみると言い出した。
「え、僕のファーストキスなのに」
「私とじゃ嫌だって言うの?」
「そんなことはないけど、その体は僕だけど……目の前で他の僕とキスされたら嫌だ」
「だけど、こっちもあなたよ」
ウ~ン、聞いている私も悩んでしまう。分離しているけど、両方ともジョナサンだ。だけど、目の前で恋人がキスしているのを見るのは嫌だろうな。
ややこしい話だわね。
皆が頭を悩ませている内に、ベラさんが素早くキスした。
そして唇をとがらせた。
「あなたは目を覚まさないし、キスしても何の感動も湧き上がらないわね」
ジョナサンも、気が抜けたように、そうだねと同意する。
本当にそう。見ている私たちも、全くドキドキしない。ただ白けた沈黙が、部屋に広がっている。
一番早く気を取り直したのは私だった。
「ジョナサン、私達が院長から聞いた、十七年前のあの日の事を話すわね。何か思い出すかもしれないわ」
全員でベッドのジョナサンを囲んで座った。存在感の薄い影のジョナサンと、物体としての存在感だけの、眠るジョナサン。シュールな光景だ。
私が院長の話を繰り返して聞かせたが、何も覚えていないと言う。ところが、私とケイトの塀登りの話をした時、ジョナサンが反応した。
「待って。少し覚えている。塀を登っている時、気が遠のいたんだ。それを振り払いながら、夢中で登ったのを覚えている。今の状態はあのせいなのかな」
私は頷いた。
なまじっか意思が強すぎるのも、良し悪しなのだ。
だけどベラさんは感激したみたい。まあそれだけ、ベラさんへの思いが強かったってことだものね。さっきの素っ気ないキスを断然上回る勢いで、雰囲気が高まった。
「例え触れなくても、あなたがいればいいわ」
「ごめんね。君を助けようと思ったのに、こんなことになってしまって」
触るとバラけてしまうから、手を近づけあっているだけだけど、それでも二人は幸せそうだ。
その姿が切なくて胸が締め付けられる。
「リディア、玉が光っている。それに表面に何か浮かび上がって来ているよ」
横に座っているケイトに言われて、玉を見ると、水色の玉の表面に、銀色の馬の姿が浮かんでいた。
「夢で見た馬だわ。生きているみたいに精密ね」
そう言いながら指で馬の姿をなぞると、馬が身じろぎした。
「見た? 動いたわ。生きているのかしら。やっぱりあの夢は、ただの夢じゃなかったんだわ」
私は玉の表面に浮かび上がった馬に話しかけてみた。
「夢で会っているわよね。あなたは何者なの。ジョナサンの状態と関係があるの?」
馬は私を見つめて、何かを伝えようとしているようだけれど、どうやったら意志の疎通ができるのかわからなかった。
私が馬と見つめ合っていると、ケイトが私のスカートのポケットに手を突っ込んで、トーマス様の手紙を引っ張り出した。愛の補充ならこれを持って行くべきと、彼女に勧められたのだ。
ケイトは手紙を広げて、パッと私の目の前にかざした。
いきなり愛しているという言葉が目に飛び込んできて、頭の中で熱がボワっと噴き出す。
と思ったら、声が頭の中に響いてきた。
「よかった。僕の声が聞こえるでしょ。もっと力を蓄えてくれない。そうしたらここから出られる」
「馬が喋った」
ケイトとダリアとベラさんは聞こえないようだが、ジョナサンには聞こえたらしい。
「僕にも聞こえる。どういうことなんだ」
「あなたはどうして僕と繋がっているの? 僕が絆を繋いだのは彼女なのに」
馬の方も、ジョナサンと話しができるのに驚いている。
私は馬に向かって説明した。彼はこの修道院に忍び込もうとして、そのまま十七年間、こうして眠っている。そして最近になって、影のような状態で出て来れるようになり、玉に向かって祈ると、それに沿って状態が変わることも伝えた。
「もしかしたら、僕を守る結界の中に取り込まれているのかな。それで、玉を通して漏れる僕の力で動いているのかもしれない」
それは、何? というより、そこから出して欲しい。
「ねえ。十七年も彼はこのままでいるのよ。あなたの結界なら、あなたが解放出来るでしょ。お願いできないかしら」
う言って、馬に、横たわるジョナサンの姿を見せた。
「結界のせいで時間を止められている状態なのかな。もっと力を蓄えて、僕がここから出たら、もう守護の結界は必要がなくなるから消える。そうしたら彼も元に戻るはずだよ」
私は、声が聞こえていないケイトたちに、この朗報を伝えた。
「ジョナサンが生き返るの?! やったね」
ケイトとダリアが飛び上がって喜び、ジョナサンを囲んだ。私も近くに行こうとしたのだが、ベラさんの様子が沈んで見えるのに気付いた。
そんなはずは無いと二度見したけど、やはり様子がおかしい。
「僕は復活したばかりで、まだ小さいから、忘れてしまった事が多いみたい。ゆっくり思い出していくから、少し待ってね」
馬はどうやら復活したらしい。私には馬の素性の見当がつかないので、本人の申告を信じるしかない。
馬の言葉を私が伝えると、ダリアに名前はないのかと聞かれた。確かに馬と呼び続けるのも味気ないので、馬に名前を聞いてみた。
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