俺は受けにも総受けにもなりたくない!!

雪音

文字の大きさ
5 / 6
新たな人生

05

しおりを挟む
「…おう、じ?」

「ああ、王子だ」

おうじという聞きなれない言葉に一瞬唖然とするが、すぐに姿勢を正し挨拶をする。


「申し訳ありません、殿下。無礼を働きました。」

「いいよ、許そう」

「殿下の寛大な御心に感謝致します。改めて帝国の月、第二皇子にご挨拶申し上げます。私はウィクロス家次男の___」

「あはは、そんな硬くならなくていいよ。ルイスだろう?アノスからよく話は聞いているよ」

王子様は俺の言葉を遮る。すっごい気さくそうな人だ。
王子だと知らずにすごい無礼をしちゃったかも俺。
もしかして王家侮辱罪で俺処刑されちゃうんじゃ……!?

「アノス、君の弟は面白いね?」

「そのうえ可愛くて人懐っこく賢い、自慢の弟ですよ」

え、兄様そんなこと思っててくれたの!?やだ、照れるじゃん。
もっと褒めてくれたって、いいんだよ??

「ん?ルイス、どうしたんだいそんな顔をして」

「え、あ、いや……」

「公の場じゃないんだから大丈夫だぞ。言ってみろ」

「………」

「ルイス、無理に言わなくてもいいんだよ?」

兄様大好き!!!!!!!!
でも王子の言葉は無視できないよな。俺、そっちからしたらめちゃくちゃ無礼な奴だけど。

「お、おれ」

「うん?」

「俺…王家侮辱罪で逮捕されて処刑されちゃいますか…?」

うぅ、それはいやだぞ
生まれ変わったんだから長生きしたいじゃないか!この人生でも早死にしなきゃいけないのか?
ぷっ、と噴き出す声が聞こえる。俺は真剣に悩んでるんだぞ!と顔を上げると
王子が腹を抱えて笑っていた。

「ルイス!お前僕の嫁に来い!」

「「いやです」」

王子の唐突のプロポーズを丁重に兄様とお断りさせてもらう。
俺、五歳。プロポーズされました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「リード様、庭にいないで中に戻りましょう。」

「お、そうだなアノス。ルイス、手つないで一緒に行こう」

「兄様がいいです」

「おーいルイスー、俺は王子だぞー?」

「王子様、俺初対面ですよ、まだ。」

プロポーズの後、不敬罪にはしない、とようやく答えを言ってもらった。
早く言えよ。泣いちゃうぞ。死刑宣告受けるときくらい怖かったんだからな。死刑宣告受けたことないけど。 
俺の中で王子はちょっと扱いが雑でもあまり気にしない人間という分類になった。
少し友達に近づいてきているかもしれない。

「王子様って呼ぶの僕のこと」

「はい」

「んー、ルイスは難攻不落か~~」

「?」

何のことを言っているのだろうか。まあ、とにかく。
今生きてるって超ハッピー!!!!
そんな俺の期も知らずに兄様と王子様は会話を弾ませていた。
「ルイス、楽しそうです」

「本当?全然わかんないな」

「ルイス歴が長いもので。」

「あのアノス様がまさかブラコンだとはな」

「あの、とは何ですか全く」

「ご令嬢たちがいつもきゃあきゃあと騒いでいるあのアノスだよ。クールで賢く、家柄も申し分ない。そのうえ顔もよいときた。うちの学校じゃアノスはすごい人気だからな。」

「…俺はルイスがいればいいですよ」

「はは、あいつを見てると人生に飽きることなどないだろうな」

「もちろん、そうですよ」

「だから将来僕はルイスと結婚しt「だめです」」

「まったくケチだな~」

「そんなことありませんが」

しかし俺は全く気にすることもなく今日の夜ご飯は何なのかについてのみ考えていた。
つまり聞いていなかった。ケチだな、あたりくらいしか聞いていないが……

俺の兄様はケチじゃない!!最高の兄様だ!!!!!



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

異世界で高級男娼になりました

BL
ある日突然異世界に落ちてしまった高野暁斗が、その容姿と豪運(?)を活かして高級男娼として生きる毎日の記録です。 露骨な性描写ばかりなのでご注意ください。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます

トモモト ヨシユキ
BL
気がつくと、なぜか、魔王になっていた俺。 魔王の手下たちと、俺の本体に入っている魔王を取り戻すべく旅立つが・・ なんで、俺の体に入った魔王様が、俺の幼馴染みの勇者とできちゃってるの⁉️ エブリスタにも、掲載しています。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

処理中です...