歩きスマホしてたら異世界に迷い込んじゃったけど世界って救う必要ある?

るき

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Chapter1

06 歩きスマホってそういうことではない

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 ゲームを始めた時、最初のチュートリアルで☆5キャラを自分で好きに選べたので、俺は前知識なく顔だけ見てリュカに決めた。そして残りの二人はガチャでランダムに出た☆4キャラだ。

「よお、おかえりリュカ」

 リュカに声をかけたのは武道家のハオシェン。近接型の戦闘スタイルで、見た目はちょっぴりチャラい感じ。カンフーっぽい衣装がカッコイイ。リュカの角みたいにこめかみの辺りからじゃなくて、額の生え際の辺りから角が生えている。鬼っぽい感じの角だ。

「ただいま戻りました。二人とも、驚かないで聞いて欲しいのですが――」
「待て。後ろのやつはなんだ」

 リュカの言葉を途中で遮ったのはナイフ使いのアルシュ。戦闘では前衛後衛どちらも得意。クールでどことなく近寄りがたい感じがするけど、ぴんと伸びた兎耳がモフモフしててモフりたくなる。
 服装は刺繍の入った巻きスカートみたいな民族衣装にロングブーツ。イケメンじゃないと着こなせないファッションよな。角は鹿っぽい。

「はい、こちらの方についてお話しようと思ったのです。ここに御座すは我らが神、チョココロニー様です」

 リュカが脇によけて、正面から二人と相対する。うーん緊張する。

「……えーと、こんにちは」

 一応挨拶してみたけど、二人とも頭に疑問符を浮かべて俺をじっと見ていた。ですよね、俺みたいな普通のキッズが神だとか言われてもね。リュカの方がよっぽど神々しい。

 そういえばフードかぶったままだったな。拠点に到着したからもういっか。思い出してフードを取ると、二人ともぱっと俺から距離をとった。
 えっ!? 何!? すっごい睨まれてますけど!?!?!?

「おいリュカ! こいつは魔人じゃねえか!」

 ハオシェンが声を荒げる。まっ、魔人スか!? 俺が!? アルシュは無言で俺を見据えて懐に手を伸ばしている。もしかしてナイフ出そうとしてません!?

「大丈夫です、二人とも落ち着いてください。角こそありませんが、この方は間違いなく私たちの神です。神器を以って私を召喚なさいました」

 リュカが俺をかばうように前に進み出る。俺はありがたくリュカの後ろに隠れた。ヒェエ。

「信用できない」
「だよな。俺らは召喚されてないし。なんか幻術とかで騙されてんじゃねえの?」

 二人とも率直に俺を疑っている。

「いいえ、そんなことはない……はずですが……」
「だって神が降臨するなんて話、聞いたことあるか?」

 ハオシェンに詰め寄られたリュカが不安そうに俺を振り返る。ぴえええリュカにまで疑われたら俺もどうしたらいいかわかんないんですけど! だってリュカが俺のこと神様だって言うからそうなのかーって思ったわけだしそもそもゲームの設定なだけで本当は別に神様じゃないからなあ!? 普通の中学生だからなあ!?

「申し訳ございません、チョココロニー様。愚かな私どもに神器をお示しいただけませんでしょうか」

 リュカが俺に頭を下げた。
 じんぎ? 仁義って? 小指をケジメるみたいな? そんなん絶対無理だけど! 無理だけど……もしかして、仁義じゃなくて神器か? そういえば、噴水広場の彫刻や、礼拝堂の奥に奉られていた像は。

「あー! もしかしてスマホ!?」

 俺は制服のポケットに手を突っ込んでスマホを取り出した。どうだひかえおろー!
 印籠よろしく目の前にかざしてみたけど、アルシュとハオシェンの表情は険しいままだ。

「ひびが入っている」
「それに、なんか小さいな。神器ってもっと大きいんじゃねえの?」

 あっれー疑いが晴れねえー。
 でもこのスマホから光がワーッとなってリュカを呼び出せたわけだし、これが神器なんじゃないの!?

「あっ、そうだ充電したら使えるようになるかも! リュカ、コンセントってある!?」
「申し訳ございません、『こんせんと』とはどのようなものでしょうか」
「ああ~! ですよね~!」

 うーんピンチ。そういえばさっきは俺が死に掛けたら光った。ということはもう一回死にかけたら反応するのか?
 アルシュが懐からすっと手を抜く。その手に握られたナイフがきらりと光る。ちょうど今まさに殺されかけてるじゃんなんとかなってくれ頼む!!!!

 冷や汗をかきながら両手でぎゅっとスマホを握り締める。するとリュカを呼び出した時と同じように、スマホ全体がカッと光りだした。

「よっしゃ光った!!!!」

 俺を疑っていた二人が「おお」と感嘆の声をあげる。信用してもらえそうな気配! でもこれからどうなるんだ? さっきはリュカが出てきてくれたけど、リュカは今俺の隣にいるわけだし。

 徐々に光が収束していく。あれっ、別に何も起きなかったか? と思ってスマホをよく見てみたら。

 足が。

 足が生えていた。

 スマホから、白い足がにょっきりと。

「ハァーッ!? おっ、俺のスマホが!?!?!?」

 なにこれきもい! なんかムキムキのマッチョな足が生えてるぅうう!
 気持ち悪くて、ついぱっと手を離してしまう。やばいまた液晶が割れる! と思ったけれど、スマホは華麗に一回転して床の上に着地した。きょろきょろと辺りを見渡すような仕草をしながら、てくてくと床の上を練り歩く。

 あ、あ、あ、歩いた。

 スマホが歩いた!!!!

 その様子を見て、リュカが納得したように手のひらをぽんと合わせた。

「――なるほど、これが先立っておっしゃっていた『歩きすまほ』なのですね」
「いやいやいや違う! 歩きスマホってこういうことじゃないから!!」

 声をあげた俺の方に、スマホが向き直る。つい後ずさると、俺が下がった分だけスマホも近づいてくる。どうやら俺を持ち主としてロックオンしたらしい。
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