6 / 56
Chapter1
06 歩きスマホってそういうことではない
しおりを挟む
ゲームを始めた時、最初のチュートリアルで☆5キャラを自分で好きに選べたので、俺は前知識なく顔だけ見てリュカに決めた。そして残りの二人はガチャでランダムに出た☆4キャラだ。
「よお、おかえりリュカ」
リュカに声をかけたのは武道家のハオシェン。近接型の戦闘スタイルで、見た目はちょっぴりチャラい感じ。カンフーっぽい衣装がカッコイイ。リュカの角みたいにこめかみの辺りからじゃなくて、額の生え際の辺りから角が生えている。鬼っぽい感じの角だ。
「ただいま戻りました。二人とも、驚かないで聞いて欲しいのですが――」
「待て。後ろのやつはなんだ」
リュカの言葉を途中で遮ったのはナイフ使いのアルシュ。戦闘では前衛後衛どちらも得意。クールでどことなく近寄りがたい感じがするけど、ぴんと伸びた兎耳がモフモフしててモフりたくなる。
服装は刺繍の入った巻きスカートみたいな民族衣装にロングブーツ。イケメンじゃないと着こなせないファッションよな。角は鹿っぽい。
「はい、こちらの方についてお話しようと思ったのです。ここに御座すは我らが神、チョココロニー様です」
リュカが脇によけて、正面から二人と相対する。うーん緊張する。
「……えーと、こんにちは」
一応挨拶してみたけど、二人とも頭に疑問符を浮かべて俺をじっと見ていた。ですよね、俺みたいな普通のキッズが神だとか言われてもね。リュカの方がよっぽど神々しい。
そういえばフードかぶったままだったな。拠点に到着したからもういっか。思い出してフードを取ると、二人ともぱっと俺から距離をとった。
えっ!? 何!? すっごい睨まれてますけど!?!?!?
「おいリュカ! こいつは魔人じゃねえか!」
ハオシェンが声を荒げる。まっ、魔人スか!? 俺が!? アルシュは無言で俺を見据えて懐に手を伸ばしている。もしかしてナイフ出そうとしてません!?
「大丈夫です、二人とも落ち着いてください。角こそありませんが、この方は間違いなく私たちの神です。神器を以って私を召喚なさいました」
リュカが俺をかばうように前に進み出る。俺はありがたくリュカの後ろに隠れた。ヒェエ。
「信用できない」
「だよな。俺らは召喚されてないし。なんか幻術とかで騙されてんじゃねえの?」
二人とも率直に俺を疑っている。
「いいえ、そんなことはない……はずですが……」
「だって神が降臨するなんて話、聞いたことあるか?」
ハオシェンに詰め寄られたリュカが不安そうに俺を振り返る。ぴえええリュカにまで疑われたら俺もどうしたらいいかわかんないんですけど! だってリュカが俺のこと神様だって言うからそうなのかーって思ったわけだしそもそもゲームの設定なだけで本当は別に神様じゃないからなあ!? 普通の中学生だからなあ!?
「申し訳ございません、チョココロニー様。愚かな私どもに神器をお示しいただけませんでしょうか」
リュカが俺に頭を下げた。
じんぎ? 仁義って? 小指をケジメるみたいな? そんなん絶対無理だけど! 無理だけど……もしかして、仁義じゃなくて神器か? そういえば、噴水広場の彫刻や、礼拝堂の奥に奉られていた像は。
「あー! もしかしてスマホ!?」
俺は制服のポケットに手を突っ込んでスマホを取り出した。どうだひかえおろー!
印籠よろしく目の前にかざしてみたけど、アルシュとハオシェンの表情は険しいままだ。
「ひびが入っている」
「それに、なんか小さいな。神器ってもっと大きいんじゃねえの?」
あっれー疑いが晴れねえー。
でもこのスマホから光がワーッとなってリュカを呼び出せたわけだし、これが神器なんじゃないの!?
「あっ、そうだ充電したら使えるようになるかも! リュカ、コンセントってある!?」
「申し訳ございません、『こんせんと』とはどのようなものでしょうか」
「ああ~! ですよね~!」
うーんピンチ。そういえばさっきは俺が死に掛けたら光った。ということはもう一回死にかけたら反応するのか?
アルシュが懐からすっと手を抜く。その手に握られたナイフがきらりと光る。ちょうど今まさに殺されかけてるじゃんなんとかなってくれ頼む!!!!
冷や汗をかきながら両手でぎゅっとスマホを握り締める。するとリュカを呼び出した時と同じように、スマホ全体がカッと光りだした。
「よっしゃ光った!!!!」
俺を疑っていた二人が「おお」と感嘆の声をあげる。信用してもらえそうな気配! でもこれからどうなるんだ? さっきはリュカが出てきてくれたけど、リュカは今俺の隣にいるわけだし。
徐々に光が収束していく。あれっ、別に何も起きなかったか? と思ってスマホをよく見てみたら。
足が。
足が生えていた。
スマホから、白い足がにょっきりと。
「ハァーッ!? おっ、俺のスマホが!?!?!?」
なにこれきもい! なんかムキムキのマッチョな足が生えてるぅうう!
気持ち悪くて、ついぱっと手を離してしまう。やばいまた液晶が割れる! と思ったけれど、スマホは華麗に一回転して床の上に着地した。きょろきょろと辺りを見渡すような仕草をしながら、てくてくと床の上を練り歩く。
あ、あ、あ、歩いた。
スマホが歩いた!!!!
その様子を見て、リュカが納得したように手のひらをぽんと合わせた。
「――なるほど、これが先立っておっしゃっていた『歩きすまほ』なのですね」
「いやいやいや違う! 歩きスマホってこういうことじゃないから!!」
声をあげた俺の方に、スマホが向き直る。つい後ずさると、俺が下がった分だけスマホも近づいてくる。どうやら俺を持ち主としてロックオンしたらしい。
「よお、おかえりリュカ」
リュカに声をかけたのは武道家のハオシェン。近接型の戦闘スタイルで、見た目はちょっぴりチャラい感じ。カンフーっぽい衣装がカッコイイ。リュカの角みたいにこめかみの辺りからじゃなくて、額の生え際の辺りから角が生えている。鬼っぽい感じの角だ。
「ただいま戻りました。二人とも、驚かないで聞いて欲しいのですが――」
「待て。後ろのやつはなんだ」
リュカの言葉を途中で遮ったのはナイフ使いのアルシュ。戦闘では前衛後衛どちらも得意。クールでどことなく近寄りがたい感じがするけど、ぴんと伸びた兎耳がモフモフしててモフりたくなる。
服装は刺繍の入った巻きスカートみたいな民族衣装にロングブーツ。イケメンじゃないと着こなせないファッションよな。角は鹿っぽい。
「はい、こちらの方についてお話しようと思ったのです。ここに御座すは我らが神、チョココロニー様です」
リュカが脇によけて、正面から二人と相対する。うーん緊張する。
「……えーと、こんにちは」
一応挨拶してみたけど、二人とも頭に疑問符を浮かべて俺をじっと見ていた。ですよね、俺みたいな普通のキッズが神だとか言われてもね。リュカの方がよっぽど神々しい。
そういえばフードかぶったままだったな。拠点に到着したからもういっか。思い出してフードを取ると、二人ともぱっと俺から距離をとった。
えっ!? 何!? すっごい睨まれてますけど!?!?!?
「おいリュカ! こいつは魔人じゃねえか!」
ハオシェンが声を荒げる。まっ、魔人スか!? 俺が!? アルシュは無言で俺を見据えて懐に手を伸ばしている。もしかしてナイフ出そうとしてません!?
「大丈夫です、二人とも落ち着いてください。角こそありませんが、この方は間違いなく私たちの神です。神器を以って私を召喚なさいました」
リュカが俺をかばうように前に進み出る。俺はありがたくリュカの後ろに隠れた。ヒェエ。
「信用できない」
「だよな。俺らは召喚されてないし。なんか幻術とかで騙されてんじゃねえの?」
二人とも率直に俺を疑っている。
「いいえ、そんなことはない……はずですが……」
「だって神が降臨するなんて話、聞いたことあるか?」
ハオシェンに詰め寄られたリュカが不安そうに俺を振り返る。ぴえええリュカにまで疑われたら俺もどうしたらいいかわかんないんですけど! だってリュカが俺のこと神様だって言うからそうなのかーって思ったわけだしそもそもゲームの設定なだけで本当は別に神様じゃないからなあ!? 普通の中学生だからなあ!?
「申し訳ございません、チョココロニー様。愚かな私どもに神器をお示しいただけませんでしょうか」
リュカが俺に頭を下げた。
じんぎ? 仁義って? 小指をケジメるみたいな? そんなん絶対無理だけど! 無理だけど……もしかして、仁義じゃなくて神器か? そういえば、噴水広場の彫刻や、礼拝堂の奥に奉られていた像は。
「あー! もしかしてスマホ!?」
俺は制服のポケットに手を突っ込んでスマホを取り出した。どうだひかえおろー!
印籠よろしく目の前にかざしてみたけど、アルシュとハオシェンの表情は険しいままだ。
「ひびが入っている」
「それに、なんか小さいな。神器ってもっと大きいんじゃねえの?」
あっれー疑いが晴れねえー。
でもこのスマホから光がワーッとなってリュカを呼び出せたわけだし、これが神器なんじゃないの!?
「あっ、そうだ充電したら使えるようになるかも! リュカ、コンセントってある!?」
「申し訳ございません、『こんせんと』とはどのようなものでしょうか」
「ああ~! ですよね~!」
うーんピンチ。そういえばさっきは俺が死に掛けたら光った。ということはもう一回死にかけたら反応するのか?
アルシュが懐からすっと手を抜く。その手に握られたナイフがきらりと光る。ちょうど今まさに殺されかけてるじゃんなんとかなってくれ頼む!!!!
冷や汗をかきながら両手でぎゅっとスマホを握り締める。するとリュカを呼び出した時と同じように、スマホ全体がカッと光りだした。
「よっしゃ光った!!!!」
俺を疑っていた二人が「おお」と感嘆の声をあげる。信用してもらえそうな気配! でもこれからどうなるんだ? さっきはリュカが出てきてくれたけど、リュカは今俺の隣にいるわけだし。
徐々に光が収束していく。あれっ、別に何も起きなかったか? と思ってスマホをよく見てみたら。
足が。
足が生えていた。
スマホから、白い足がにょっきりと。
「ハァーッ!? おっ、俺のスマホが!?!?!?」
なにこれきもい! なんかムキムキのマッチョな足が生えてるぅうう!
気持ち悪くて、ついぱっと手を離してしまう。やばいまた液晶が割れる! と思ったけれど、スマホは華麗に一回転して床の上に着地した。きょろきょろと辺りを見渡すような仕草をしながら、てくてくと床の上を練り歩く。
あ、あ、あ、歩いた。
スマホが歩いた!!!!
その様子を見て、リュカが納得したように手のひらをぽんと合わせた。
「――なるほど、これが先立っておっしゃっていた『歩きすまほ』なのですね」
「いやいやいや違う! 歩きスマホってこういうことじゃないから!!」
声をあげた俺の方に、スマホが向き直る。つい後ずさると、俺が下がった分だけスマホも近づいてくる。どうやら俺を持ち主としてロックオンしたらしい。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。
死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。
命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。
自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる