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Chapter1
07 我、神ぞ
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なんか。ついてくる。歩きスマホが俺のあとをついてくる。部屋のどこに逃げても追いかけてくる。
「ぎええ気持ち悪い! ついてくんな!」
どたばたと部屋の中を逃げ回りながら罵ると、スマホはふっと画面の明度を下げて足を止めた。俺に背を向け、とぼとぼと壁際まで移動してしゃがみこんでしまった。
……これはもしかして、俺が罵ったからショックを受けて落ち込んでいるのだろうか。ええ……足が生えたと思ったら感情まで芽生えてんのかよ……。
「チョココロニー様……」
成り行きを見守っていたリュカが、はらはらと俺とスマホを見比べている。
う、う~ん。どうしよう。なんだこの状況。とりあえず謝った方がいいのか?
「ええっと……きもいって言ってごめんね……?」
スマホの近くまで行って手を差し出すと、スマホはぱあっと画面を明るくして俺の手のひらに飛び乗った。
うっ、うわあ……なんか、質感がぷにょんぷにょんになっている。固めのこんにゃくみたいな。それに画面に入っていたひびも消えている。
見れば見るほど気持ち悪いけど、俺のスマホには違いないわけだし……てゆうかどうやって操作すればいいんだろう……普通に指でスワイプとかして大丈夫なんだろうか……。
「おおん!?」
人差し指を向けたまま躊躇していたら、スマホからぶわっと何かが出た。光のパネルみたいなやつ。もしかしてこれが操作画面なのだろうか。なんかSFっぽい感じだ!
光のパネルを指でつついてみると、空気の塊に触れているような感触がした。思い切って手のひら全体で触れようとしたら、そのまま突き抜けてしまった。どうやら指先で触れると操作できる仕組みになっているらしい。
「どうですアルシュ、ハオシェン。このお方こそチョココロニー様に間違いございません」
リュカが少し得意げな調子で声をかけると、あっけに取られていた二人ははっと我に返ったようだった。
アルシュはナイフをしまったけれど、用心深く俺から距離をとって注視している。反対にハオシェンは俺の前に進み出て、スマホの足のあたりを興味深そうに眺めながら尋ねた。
「でもさっき神器から逃げ回ってたのはなんでだ? 気持ち悪いって言ってたし」
それ言われるとなぁ~。
「神器っていうか、これはスマホっていう機械なんだけど、俺がいた世界だとスマホに足は生えてないからびっくりしたっつーか……なんで足が生えたのかは俺にもわからないんだけど」
「神にもわからないことがあるのか」
「そりゃ本当は別に――」
アルシュに尋ねられて、俺は答えを詰まらせる。
そりゃ本当は別に神様じゃないからわからないことだってあるぜよ、って答えちゃったら、再びナイフでぶっ殺タイムが始まってしまうのでは? それは困る!
「……ええっと、それはまあ、わかるという言葉がなにを意味するかで答えも変わってくるじゃないですか……」
俺は自分でも意味のわからないことをもごもごと言いながらアルシュから目を逸らせた。
とにかく、「俺=チョココロニー」だって証明できれば信用してもらえるはず。
冷や汗をかきながらトリニティ・ファンタジアのアイコンをタップしてみる。光の操作パネルが増えて、トリファンのホーム画面が表示された。リュカを一番先頭に編成しているのでリュカの2Dイラストが表示されている。背景はこの部屋とよく似ている。
もしかして、ホーム画面とこの部屋は連動しているのだろうか。
メニューから「模様替え」を選択して表示を切り替える。今設定されているのは「ベーシック①」、西洋っぽい部屋だ。試しに「ベーシック②」を選択すると、部屋全体がふわっと発光した。壁一面にちりばめられた光のモザイクがきらきらと反転したと思ったら、アラビアンナイトって感じの部屋に様変わりした。
「わーすげえ! おもしろい!」
調子に乗って「ベーシック③」も選択してみる。今度は神社とお寺を合体させたような雰囲気の部屋に変わった。
他にもなにか出来ないかな。「編成」から「装備」を選択して、リュカの装備に盾を追加してみると、リュカの前にぽわぽわっとした光が現れ、盾の形になった。
「拝領いたします」
リュカが俺ににこりと微笑みかけて、盾に両手を伸ばす。すると盾は再び光に姿を変えて、リュカの胸元に集まりペンダントに姿を変えた。おお~なるほど、使う時に具現化する? みたいなことなのか。
「じゃあアルシュとハオシェンにも!」
アルシュには投げナイフを装備させてみる。ハオシェンには手甲。二人の前にそれぞれ武器が現れ、リュカの時と同じようにアクセサリーに姿を変える。アルシュはピアス、ハオシェンは腕輪の形になった。
「ワハハどうだ! 我、神ぞ! ひかえおろ~」
まあ神っていうか、ユーザーじゃないとできない操作でしょ。これで信用してもらえるはず。
ふざけてふんぞり返ったら、二人ともマジで床に手を着いて平伏してしまった。
「貴方様は間違いなく我らが神、チョココロニー様。疑いを持ったこと、慙愧に耐えません。どのような処分もお受けいたします」
「チョココロニー様。私の浅見短慮、どうか処罰を」
ヒェエエエ! こんな反応をされるとは! アホなこと言うんじゃなかった!
「いやいやいやいや土下座とかしなくていいから! 怒ってないし信じてもらえたらそれで全然問題ないし、とりあえず立って! 話し方も普通でいいから!」
「あ、ほんと? 普通でいい? いや~チョココロニー様まじでごめん、まさか神が降臨するとは思いもしなかったからさあ」
さっきの重苦しい謝罪とは打って軽い口調でそう言いながら、ハオシェンは軽くジャンプして立ち上がった。
「とりあえず茶でも飲むか」
アルシュもすっかり警戒を解いた様子でお茶を入れ始めた。
あー。うん。信用してもらえてよかったけど。二人とも切り替え早すぎなのでは?
そんな二人の様子を見ていたリュカは、俺の横で苦笑いしていた。
「ぎええ気持ち悪い! ついてくんな!」
どたばたと部屋の中を逃げ回りながら罵ると、スマホはふっと画面の明度を下げて足を止めた。俺に背を向け、とぼとぼと壁際まで移動してしゃがみこんでしまった。
……これはもしかして、俺が罵ったからショックを受けて落ち込んでいるのだろうか。ええ……足が生えたと思ったら感情まで芽生えてんのかよ……。
「チョココロニー様……」
成り行きを見守っていたリュカが、はらはらと俺とスマホを見比べている。
う、う~ん。どうしよう。なんだこの状況。とりあえず謝った方がいいのか?
「ええっと……きもいって言ってごめんね……?」
スマホの近くまで行って手を差し出すと、スマホはぱあっと画面を明るくして俺の手のひらに飛び乗った。
うっ、うわあ……なんか、質感がぷにょんぷにょんになっている。固めのこんにゃくみたいな。それに画面に入っていたひびも消えている。
見れば見るほど気持ち悪いけど、俺のスマホには違いないわけだし……てゆうかどうやって操作すればいいんだろう……普通に指でスワイプとかして大丈夫なんだろうか……。
「おおん!?」
人差し指を向けたまま躊躇していたら、スマホからぶわっと何かが出た。光のパネルみたいなやつ。もしかしてこれが操作画面なのだろうか。なんかSFっぽい感じだ!
光のパネルを指でつついてみると、空気の塊に触れているような感触がした。思い切って手のひら全体で触れようとしたら、そのまま突き抜けてしまった。どうやら指先で触れると操作できる仕組みになっているらしい。
「どうですアルシュ、ハオシェン。このお方こそチョココロニー様に間違いございません」
リュカが少し得意げな調子で声をかけると、あっけに取られていた二人ははっと我に返ったようだった。
アルシュはナイフをしまったけれど、用心深く俺から距離をとって注視している。反対にハオシェンは俺の前に進み出て、スマホの足のあたりを興味深そうに眺めながら尋ねた。
「でもさっき神器から逃げ回ってたのはなんでだ? 気持ち悪いって言ってたし」
それ言われるとなぁ~。
「神器っていうか、これはスマホっていう機械なんだけど、俺がいた世界だとスマホに足は生えてないからびっくりしたっつーか……なんで足が生えたのかは俺にもわからないんだけど」
「神にもわからないことがあるのか」
「そりゃ本当は別に――」
アルシュに尋ねられて、俺は答えを詰まらせる。
そりゃ本当は別に神様じゃないからわからないことだってあるぜよ、って答えちゃったら、再びナイフでぶっ殺タイムが始まってしまうのでは? それは困る!
「……ええっと、それはまあ、わかるという言葉がなにを意味するかで答えも変わってくるじゃないですか……」
俺は自分でも意味のわからないことをもごもごと言いながらアルシュから目を逸らせた。
とにかく、「俺=チョココロニー」だって証明できれば信用してもらえるはず。
冷や汗をかきながらトリニティ・ファンタジアのアイコンをタップしてみる。光の操作パネルが増えて、トリファンのホーム画面が表示された。リュカを一番先頭に編成しているのでリュカの2Dイラストが表示されている。背景はこの部屋とよく似ている。
もしかして、ホーム画面とこの部屋は連動しているのだろうか。
メニューから「模様替え」を選択して表示を切り替える。今設定されているのは「ベーシック①」、西洋っぽい部屋だ。試しに「ベーシック②」を選択すると、部屋全体がふわっと発光した。壁一面にちりばめられた光のモザイクがきらきらと反転したと思ったら、アラビアンナイトって感じの部屋に様変わりした。
「わーすげえ! おもしろい!」
調子に乗って「ベーシック③」も選択してみる。今度は神社とお寺を合体させたような雰囲気の部屋に変わった。
他にもなにか出来ないかな。「編成」から「装備」を選択して、リュカの装備に盾を追加してみると、リュカの前にぽわぽわっとした光が現れ、盾の形になった。
「拝領いたします」
リュカが俺ににこりと微笑みかけて、盾に両手を伸ばす。すると盾は再び光に姿を変えて、リュカの胸元に集まりペンダントに姿を変えた。おお~なるほど、使う時に具現化する? みたいなことなのか。
「じゃあアルシュとハオシェンにも!」
アルシュには投げナイフを装備させてみる。ハオシェンには手甲。二人の前にそれぞれ武器が現れ、リュカの時と同じようにアクセサリーに姿を変える。アルシュはピアス、ハオシェンは腕輪の形になった。
「ワハハどうだ! 我、神ぞ! ひかえおろ~」
まあ神っていうか、ユーザーじゃないとできない操作でしょ。これで信用してもらえるはず。
ふざけてふんぞり返ったら、二人ともマジで床に手を着いて平伏してしまった。
「貴方様は間違いなく我らが神、チョココロニー様。疑いを持ったこと、慙愧に耐えません。どのような処分もお受けいたします」
「チョココロニー様。私の浅見短慮、どうか処罰を」
ヒェエエエ! こんな反応をされるとは! アホなこと言うんじゃなかった!
「いやいやいやいや土下座とかしなくていいから! 怒ってないし信じてもらえたらそれで全然問題ないし、とりあえず立って! 話し方も普通でいいから!」
「あ、ほんと? 普通でいい? いや~チョココロニー様まじでごめん、まさか神が降臨するとは思いもしなかったからさあ」
さっきの重苦しい謝罪とは打って軽い口調でそう言いながら、ハオシェンは軽くジャンプして立ち上がった。
「とりあえず茶でも飲むか」
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✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
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