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Chapter3
08 昆虫むりだぜ!
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依頼内容の確認を終えて、俺たちは教会の宿泊所に泊まることになった。村に宿屋はないので時折訪れる旅人もここを利用することがあるそうだ。
俺たちの拠点とよく似た質素な建物で、清潔だしベッドもフカフカ。おかげでリゼロッテちゃんのことを心配しつつもぐっすり眠れたわけなんだけれど。
翌日早朝。俺は頼れる仲間たちによって簀巻きにされていた。
「ニーナ、よろしければ私のマントをお召しください」
「この盾固そうだからこれも持っときなよ」
「それはいいですね、ベルトで固定しましょう」
「兜はどうだ」
「おっ、いいじゃん! これなら頭をかじられても大丈夫だな!」
昨日の「俺が死んだら生き返るかどうかわかんねえ」発言がまだ尾を引いていたらしい。三人ともアイテムボックスから取り出した防具をせっせと俺に装着させていく。
そうそう、この世界にはアイテムボックスという超便利な収納があるんですよ!
見た目は俺がすっぽり入れそうなぐらいでっかい宝箱。使徒が立ち寄る武器屋や各地の教会にも置かれていて、収納した物をどこのアイテムボックスからでも自由に出し入れできる。クラウドストレージみたいな感じ。しかもタッチパネルに目録が表示されていて、リストから選んでタップするだけで目的のものを取り出せるという優れもの。
モンスターを倒してドロップした素材やアイテムも勝手にアイテムボックスに送られるからいちいち持ち歩かなくていい。こんなん現実でもほしい。
三人はそのアイテムボックスからじゃんじゃん防具を取り出しては俺に装備させてるってわけ。おかげで俺は雪だるま式に膨らんでいく一方だった。っていうかこんなに防具持ってたっけ?
「ちょっともう! マジでやめて!? 前が見えないし重すぎて一歩も動けねえのですが!?!?!?」
「でしたら私が担いでお連れいたしますので……」
「それじゃあ足手まといどころか文字通りお荷物じゃん!!!!」
自分の声が兜の中で反響してうるせえし。
「あの、使徒様方。ご準備の方はいかがでしょうか……」
扉の向こうからリゼロッテちゃんに控え目に声をかけられて、ようやく三人の手が止まった。
最終的に俺の装備は多少厚着をする程度で落ち着いたけれど、みんな不安そうな顔をしていた。気持ちはありがたいんだけど俺の体力じゃ鎧兜は着て行けねえよ……今日はこれから登山すんだぞ……。
夜明けと共に村を出る予定だったのに俺の装備にもたつき、礼拝堂に向かう頃にはすっかり空が白んでいた。見送りに集まってくれた村の人たちも待たせてしまったな。使徒のくせに遅刻してすんません。
「それでは、改めて我らがチョココロニー神に祈りを捧げ、願ってください」
「はい」
リュカに促されて、リゼロッテちゃんは礼拝堂に祀られた神の像の前にひざまづいた。俺たちの拠点にもある、例のでっかいスマホ像だ。
「いと尊き天上の神、チョココロニー様。か弱き信徒を脅かす悪しきもの共を滅ぼすために、どうかお力をお貸しください」
――お母さんを助けてくれない意地悪な神様になんて、本当は祈りたくない。
「えっ」
リゼロッテちゃんの祈りに反応してスマホ像がふわりと光る。ローブの内ポケットにしまっていた俺のスマホも連動してるみたいにぼんやり光った。それもまあ不思議だけど、それよりも。リゼロッテちゃんの声が副音声みたいにだぶって聞こえたのはどういうこと?
「どうかいたしましたか、ニーナ」
「いや、今……」
もしかして俺にしか聞こえなかったのだろうか。小首をかしげるリュカに説明したかったけど、あまりいい内容ではなかったので「なんでもない」と適当に誤魔化してしまった。気にはなるけど、これからモンスターを倒しに行かなくちゃいけないし。
祈りを終えて、いよいよ討伐に出立する。
村の入り口とはちょうど反対の方向、羊のような姿の家畜が放されている牧場を抜け、うっそうとした森に入っていく。リゼロッテちゃんの説明によると森を抜けた先は急な山道になっていて、山頂付近にボスがいるらしい。
依頼内容をまとめるとこんな感じ。
村の近隣一帯にはモンスター避けの結界が張られていた。にもかかわらず、本来この付近には生息していない超強いモンスターが山に巣食ってしまった。モンスターは徐々に繁殖し、じわじわと活動範囲を広げ、村にまで侵攻しつつある。増えた子モンスターと元凶の親モンスターを討伐すればミッションコンプリート。なぜ結界内にモンスターが現れたのか原因を突き止められたらなおヨシ。
リゼロッテちゃんは道案内として先頭に立っている。
村長に鍛えられてるって言ってたし、モンスターと戦うのも俺よりずっと慣れてるんだろうけど、細い腕を見てると不安になる。あと服装が。ちょっと。
昨日は村にいた他の女性たちと同じような格好だった。丈の長いワンピースとエプロンみたいなやつ。でも今は随分と思い切ったミニスカートで、上も胸元がどーんと開いている。二の腕まである手袋と膝丈のロングブーツは硬そうだけど、まじでこれで戦えるのだろうか。
「あの、リゼロッテさん。俺のマント着ます?」
俺のっていうかリュカのマントなんだけど。鎧兜は脱がせてもらえたけれど、リュカのマントをぐるぐると巻かれていた。ヒラヒラしてるけど案外丈夫だし、状態異常耐性があるらしい。
「ありがとうございます、ニーナ様。でもお気持ちだけで結構です。この装備は母のお下がりで、魔力が込められているからとっても頑丈なんですよ」
リゼロッテちゃんはにっこりと微笑んで、右手を胸元にあてた。
なるほど魔法な。肌がむき出しになっている部分も大丈夫なん?
この世界に来る前はCMとか広告を見て「超かわいいな~」と思って普通に興奮してたけど、実際にこうして目の前で着ているのを見ると心配でスケベ心が消える。
それに、リゼロッテちゃんの胸元にある赤黒い痣。あれが恐らく魔力痕というやつだ。
魔力痕は歳を取るごとに増えていき、命を削る。強い魔力を持つ人ほど増える速度が早いのだと昨晩リュカたちに詳しく説明してもらった。
リゼロッテちゃんの痣はそれほど大きくはない。使徒になれば消えるが、それなりに痛いのだそうだ。
リゼロッテちゃんは痣を気にする素振りも見せず、どんどん道を進んでいく。心配だけれど本人が気にしてないんだから俺がうだうだ考えても仕方ない。装備のことだってもし万が一何かあったら俺が守ればいいのだ。俺が! 絶対に! 守るぞ!
「ニーナ、お下がりください」
鼻息荒く決意を固める俺の腕をリュカが引く。少し遅れてスマホが戦闘開始の効果音を鳴らした。
早速モンスターのお出ましか! 昨日は何にもできなかったけど今日こそは! モンスターを倒す!
「リュカ、俺も戦う!」
「では私の背中を守ってくださいますか?」
「よっし! 任せて!」
いいよね背中合わせで戦うの。でも俺の目の前にはアルシュがいる。
今俺たちがいるのは森の中に長く伸びた一本道。先頭にいるリゼロッテちゃんとハオシェンがでかい猪型のモンスターと戦っている。その後ろにいるアルシュが投げナイフで援護しつつ、左右の森からモンスターが攻めてこないか警戒している。そして殿に控えているリュカはバックアタックに備えている。
なのでつまり。
「俺は全然役に立ってないな!?」
「いいえ、そんなことはございません。ニーナが応援してくださるだけで私どもは真に力を発揮できますので」
「それ遠まわしな戦力外通告じゃん!」
リュカともめている間に、猪型のモンスターはハオシェンの鉄拳であっさり倒された。
一息つく間もなく、ぶぅんと嫌な重低音が響いてきた。なんだろう、虫の羽音みたいだけど、虫にしては音がでかすぎやしないか。
「来ました! 山に巣食うモンスターの幼体です!」
「えっ、どこ!?」
リゼロッテちゃんの声にあわてていたら、アルシュが上空に向かってナイフを投げた。
俺も遅れて敵の姿を確認する。羽音を響かせて俺たちの頭上から襲い掛かってきたモンスターは。
――――――虫。
軽自動車ぐらいのサイズの。紫色の巨大カマキリだった。
アルシュの放ったナイフがカマキリの羽を切断する。バランスを欠いて失速したカマキリの腹めがけてリゼロッテちゃんがメイスを振り上げた。
「てやー!」
かわいい掛け声と共に振り下ろされたメイスがぶよぶよの腹を裂く。モンスターは「ギイイィ!」と耳障りな叫び声をあげて、リゼロッテちゃんめがけて巨大な鎌を振り下ろす。だがハオシェンの動きの方が早い。飛び蹴りで鎌の一撃を逸らし、その隙に体勢を整えたリゼロッテちゃんが二撃目を放つ。
「ええい!」
初撃と同じ場所を正確に狙って叩き込まれたメイスを振りぬくと、引っかかった内臓がずるりとこぼれ出た。たまらずに地面に落ちたカマキリの頭めがけてアルシュが刃の雨を降らせると、巨大カマキリは巨体をびくびくと痙攣させて絶命した。
突然ですが俺は焼きナスが嫌いです。
ナス自体は嫌いじゃないんだけど、焼きナスのドロッとしてつぶつぶしてる見た目がムリなんですよね。道で踏み潰されて死んでるバッタとかセミの腹から出てる内臓? 卵? みたいなのにそっくりじゃないですか。やばい。鳥肌。
焼きナスでデロデロになったリゼロッテちゃんに、ハオシェンが「村長代理、いい腕してんね」と声を掛ける。「恐れ入ります、私のことはどうかリゼロッテとお呼びください」とリゼロッテちゃんも笑って答える。
共闘した後のさわやかな会話って感じ。そんな仲間たちの姿と黒いもやになって消えていくカマキリを、俺は上空から見ていた。
なんていうのかな。体はそのままなんだけど魂だけ出ちゃってる感じ。初めて経験するから確証はないけど、これが幽体離脱ってやつ?
「ニーナ……ニーナ!? どうなさいましたか!」
直立不動のまま動かなくなった俺の肩をリュカが揺する。やばいな、このまま体に戻れなかったら死ぬのでは? この死に方はちょっと想定してなかった。
「ニーナ! お気を確かに!!!!」
ほんと。昆虫だけは。まじで無理。
俺たちの拠点とよく似た質素な建物で、清潔だしベッドもフカフカ。おかげでリゼロッテちゃんのことを心配しつつもぐっすり眠れたわけなんだけれど。
翌日早朝。俺は頼れる仲間たちによって簀巻きにされていた。
「ニーナ、よろしければ私のマントをお召しください」
「この盾固そうだからこれも持っときなよ」
「それはいいですね、ベルトで固定しましょう」
「兜はどうだ」
「おっ、いいじゃん! これなら頭をかじられても大丈夫だな!」
昨日の「俺が死んだら生き返るかどうかわかんねえ」発言がまだ尾を引いていたらしい。三人ともアイテムボックスから取り出した防具をせっせと俺に装着させていく。
そうそう、この世界にはアイテムボックスという超便利な収納があるんですよ!
見た目は俺がすっぽり入れそうなぐらいでっかい宝箱。使徒が立ち寄る武器屋や各地の教会にも置かれていて、収納した物をどこのアイテムボックスからでも自由に出し入れできる。クラウドストレージみたいな感じ。しかもタッチパネルに目録が表示されていて、リストから選んでタップするだけで目的のものを取り出せるという優れもの。
モンスターを倒してドロップした素材やアイテムも勝手にアイテムボックスに送られるからいちいち持ち歩かなくていい。こんなん現実でもほしい。
三人はそのアイテムボックスからじゃんじゃん防具を取り出しては俺に装備させてるってわけ。おかげで俺は雪だるま式に膨らんでいく一方だった。っていうかこんなに防具持ってたっけ?
「ちょっともう! マジでやめて!? 前が見えないし重すぎて一歩も動けねえのですが!?!?!?」
「でしたら私が担いでお連れいたしますので……」
「それじゃあ足手まといどころか文字通りお荷物じゃん!!!!」
自分の声が兜の中で反響してうるせえし。
「あの、使徒様方。ご準備の方はいかがでしょうか……」
扉の向こうからリゼロッテちゃんに控え目に声をかけられて、ようやく三人の手が止まった。
最終的に俺の装備は多少厚着をする程度で落ち着いたけれど、みんな不安そうな顔をしていた。気持ちはありがたいんだけど俺の体力じゃ鎧兜は着て行けねえよ……今日はこれから登山すんだぞ……。
夜明けと共に村を出る予定だったのに俺の装備にもたつき、礼拝堂に向かう頃にはすっかり空が白んでいた。見送りに集まってくれた村の人たちも待たせてしまったな。使徒のくせに遅刻してすんません。
「それでは、改めて我らがチョココロニー神に祈りを捧げ、願ってください」
「はい」
リュカに促されて、リゼロッテちゃんは礼拝堂に祀られた神の像の前にひざまづいた。俺たちの拠点にもある、例のでっかいスマホ像だ。
「いと尊き天上の神、チョココロニー様。か弱き信徒を脅かす悪しきもの共を滅ぼすために、どうかお力をお貸しください」
――お母さんを助けてくれない意地悪な神様になんて、本当は祈りたくない。
「えっ」
リゼロッテちゃんの祈りに反応してスマホ像がふわりと光る。ローブの内ポケットにしまっていた俺のスマホも連動してるみたいにぼんやり光った。それもまあ不思議だけど、それよりも。リゼロッテちゃんの声が副音声みたいにだぶって聞こえたのはどういうこと?
「どうかいたしましたか、ニーナ」
「いや、今……」
もしかして俺にしか聞こえなかったのだろうか。小首をかしげるリュカに説明したかったけど、あまりいい内容ではなかったので「なんでもない」と適当に誤魔化してしまった。気にはなるけど、これからモンスターを倒しに行かなくちゃいけないし。
祈りを終えて、いよいよ討伐に出立する。
村の入り口とはちょうど反対の方向、羊のような姿の家畜が放されている牧場を抜け、うっそうとした森に入っていく。リゼロッテちゃんの説明によると森を抜けた先は急な山道になっていて、山頂付近にボスがいるらしい。
依頼内容をまとめるとこんな感じ。
村の近隣一帯にはモンスター避けの結界が張られていた。にもかかわらず、本来この付近には生息していない超強いモンスターが山に巣食ってしまった。モンスターは徐々に繁殖し、じわじわと活動範囲を広げ、村にまで侵攻しつつある。増えた子モンスターと元凶の親モンスターを討伐すればミッションコンプリート。なぜ結界内にモンスターが現れたのか原因を突き止められたらなおヨシ。
リゼロッテちゃんは道案内として先頭に立っている。
村長に鍛えられてるって言ってたし、モンスターと戦うのも俺よりずっと慣れてるんだろうけど、細い腕を見てると不安になる。あと服装が。ちょっと。
昨日は村にいた他の女性たちと同じような格好だった。丈の長いワンピースとエプロンみたいなやつ。でも今は随分と思い切ったミニスカートで、上も胸元がどーんと開いている。二の腕まである手袋と膝丈のロングブーツは硬そうだけど、まじでこれで戦えるのだろうか。
「あの、リゼロッテさん。俺のマント着ます?」
俺のっていうかリュカのマントなんだけど。鎧兜は脱がせてもらえたけれど、リュカのマントをぐるぐると巻かれていた。ヒラヒラしてるけど案外丈夫だし、状態異常耐性があるらしい。
「ありがとうございます、ニーナ様。でもお気持ちだけで結構です。この装備は母のお下がりで、魔力が込められているからとっても頑丈なんですよ」
リゼロッテちゃんはにっこりと微笑んで、右手を胸元にあてた。
なるほど魔法な。肌がむき出しになっている部分も大丈夫なん?
この世界に来る前はCMとか広告を見て「超かわいいな~」と思って普通に興奮してたけど、実際にこうして目の前で着ているのを見ると心配でスケベ心が消える。
それに、リゼロッテちゃんの胸元にある赤黒い痣。あれが恐らく魔力痕というやつだ。
魔力痕は歳を取るごとに増えていき、命を削る。強い魔力を持つ人ほど増える速度が早いのだと昨晩リュカたちに詳しく説明してもらった。
リゼロッテちゃんの痣はそれほど大きくはない。使徒になれば消えるが、それなりに痛いのだそうだ。
リゼロッテちゃんは痣を気にする素振りも見せず、どんどん道を進んでいく。心配だけれど本人が気にしてないんだから俺がうだうだ考えても仕方ない。装備のことだってもし万が一何かあったら俺が守ればいいのだ。俺が! 絶対に! 守るぞ!
「ニーナ、お下がりください」
鼻息荒く決意を固める俺の腕をリュカが引く。少し遅れてスマホが戦闘開始の効果音を鳴らした。
早速モンスターのお出ましか! 昨日は何にもできなかったけど今日こそは! モンスターを倒す!
「リュカ、俺も戦う!」
「では私の背中を守ってくださいますか?」
「よっし! 任せて!」
いいよね背中合わせで戦うの。でも俺の目の前にはアルシュがいる。
今俺たちがいるのは森の中に長く伸びた一本道。先頭にいるリゼロッテちゃんとハオシェンがでかい猪型のモンスターと戦っている。その後ろにいるアルシュが投げナイフで援護しつつ、左右の森からモンスターが攻めてこないか警戒している。そして殿に控えているリュカはバックアタックに備えている。
なのでつまり。
「俺は全然役に立ってないな!?」
「いいえ、そんなことはございません。ニーナが応援してくださるだけで私どもは真に力を発揮できますので」
「それ遠まわしな戦力外通告じゃん!」
リュカともめている間に、猪型のモンスターはハオシェンの鉄拳であっさり倒された。
一息つく間もなく、ぶぅんと嫌な重低音が響いてきた。なんだろう、虫の羽音みたいだけど、虫にしては音がでかすぎやしないか。
「来ました! 山に巣食うモンスターの幼体です!」
「えっ、どこ!?」
リゼロッテちゃんの声にあわてていたら、アルシュが上空に向かってナイフを投げた。
俺も遅れて敵の姿を確認する。羽音を響かせて俺たちの頭上から襲い掛かってきたモンスターは。
――――――虫。
軽自動車ぐらいのサイズの。紫色の巨大カマキリだった。
アルシュの放ったナイフがカマキリの羽を切断する。バランスを欠いて失速したカマキリの腹めがけてリゼロッテちゃんがメイスを振り上げた。
「てやー!」
かわいい掛け声と共に振り下ろされたメイスがぶよぶよの腹を裂く。モンスターは「ギイイィ!」と耳障りな叫び声をあげて、リゼロッテちゃんめがけて巨大な鎌を振り下ろす。だがハオシェンの動きの方が早い。飛び蹴りで鎌の一撃を逸らし、その隙に体勢を整えたリゼロッテちゃんが二撃目を放つ。
「ええい!」
初撃と同じ場所を正確に狙って叩き込まれたメイスを振りぬくと、引っかかった内臓がずるりとこぼれ出た。たまらずに地面に落ちたカマキリの頭めがけてアルシュが刃の雨を降らせると、巨大カマキリは巨体をびくびくと痙攣させて絶命した。
突然ですが俺は焼きナスが嫌いです。
ナス自体は嫌いじゃないんだけど、焼きナスのドロッとしてつぶつぶしてる見た目がムリなんですよね。道で踏み潰されて死んでるバッタとかセミの腹から出てる内臓? 卵? みたいなのにそっくりじゃないですか。やばい。鳥肌。
焼きナスでデロデロになったリゼロッテちゃんに、ハオシェンが「村長代理、いい腕してんね」と声を掛ける。「恐れ入ります、私のことはどうかリゼロッテとお呼びください」とリゼロッテちゃんも笑って答える。
共闘した後のさわやかな会話って感じ。そんな仲間たちの姿と黒いもやになって消えていくカマキリを、俺は上空から見ていた。
なんていうのかな。体はそのままなんだけど魂だけ出ちゃってる感じ。初めて経験するから確証はないけど、これが幽体離脱ってやつ?
「ニーナ……ニーナ!? どうなさいましたか!」
直立不動のまま動かなくなった俺の肩をリュカが揺する。やばいな、このまま体に戻れなかったら死ぬのでは? この死に方はちょっと想定してなかった。
「ニーナ! お気を確かに!!!!」
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