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17 公爵令嬢は成認式に出る 3
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成認式の会場はめちゃくちゃデカい。
3階席まである大きな会場と、対面して一際明るい大きな舞台がある。
まるでコンサート会場の様だ。
そんな会場の中央よりやや左側の一番前の席に私達は座った。
「ありがとうございます、お母様。
お母様がお部屋を用意してくださったから、あの方達にとても喜んで頂く事が出来ました。」
「当然の事をしたまでよ。
交渉なら母に任せなさい。
それにしても、昼からはあのような小さな個室で良かったの?」
お母様はそう言うけど、12畳はありそうな大きな部屋だ。
「少し休むくらいなら十分ですわ。
他の方に上級部屋は使っていただいた方が、必要とされる方々も喜ぶと思います。
お母様こそ、私が朝最後尾に並んだり、公爵家なのに中級部屋を選んだりして良かったのですか?」
「今日の主役は貴女よ、フラン。
母は貴女を信用しています。
常識の範囲内で好きになさい。」
貴族の常識よくわからん。
とりあえず、さっきの二つは大丈夫だったみたい。
入り口での質問攻めは私も失態だと気付いているので、次からは気をつけよう。
『成認式にご来場の皆様、本日は誠におめでとうございます。
まもなく開始致しますので、席にお着きください。』
マイクの様な魔導具で館内にアナウンスが流れた。
あの魔導具どうなってるんだろう。
そして全員が席に着いた頃、ステージにある人物が 一人現れた。
その人物こそ、アースフィールド王国 国王陛下、ランサー・アースフィールド。
年齢は42歳。
8年前に先代国王陛下が病に倒れた後、その政治能力の高さから、継承権が7位と低かったものの先代直々の指名で生前継承されたそう。
その手腕は流石先代の折り紙付き、国の治安がグッと良くなった。
そんな人物が目の前に現れたのだ、オーラ満載のこの空気に流石の5歳児達もシンと黙って釘付けになる。
私たちは皆一斉に席を立ち、頭を下げる。
「皆のもの、我はアースフィールド王国 国王ランサー・アースフィールドである。
頭を下げている者は頭を上げ、席に着きたまえ。」
こう言われて初めて頭を上げて席に着く。
「先ずは子の親達に言う。
今日まで健やかな子を育て、国民の一員として今日の式を迎える事が出来た事、祝福と共に国の王として感謝する。
子は宝だ。
無限の可能性を持つ。
その子達の力を存分に発揮させ
国の更なる発展へ努めてくれたまえ。」
5歳時には難しい言葉で大人に向かって挨拶をされている間に、段々落ち着きがなくなってきた子供達は、声を上げたり手遊びを始めた様だが、俺は37歳、この程度の挨拶なんて朝飯前だ。
俺の研究が何かの賞を取った時の授賞式の方がよっぽど退屈だった。
むしろ、この世界の国のトップがどういった人物か興味深々だった。
大人への挨拶を終えた国王は、次に子供達に向けて言葉を発する。
「皆んな、成認式へようこそ。
そして、5歳のお祝い、本当におめでとう。
皆んなの元気な顔が見れて、私は嬉しいよ。」
まるで子供向け教育番組のお兄さんのような優しい口調で、よそ見や手悪さをする子供達さえ愛おしく見守る様に、笑顔で話す国王。
さっきまでの威厳たっぷりな人物とはまるで別人の様な豹変ぶり。
きっと、毎年やんちゃで話を聞かない子供がたくさんいるのだろう、すっかり慣れ切ってる、と言うかそれが当たり前の様に話を進める。
そして、子供にもわかりやすい様に簡易的な言葉を使い優しく語りかける様に、国民として大事な事、魔法についてを説明している。
子を持つ親からの支持率が高い理由が分かった。
国王曰く、国民のあり方とは、自分たちが過ごすこの国でどうしたら幸せになるかを考えて、自分に出来ることでお互いを助け合うことらしい。
次に、魔法とは、世の中を便利にしていく為の手段だと言った。
まさにその通りだと思う。
魔法が使えるからと自惚れて、己や周りの身を滅ぼすなんてあってはならない。
ジャンクフードだってそうだ。
安くて便利で美味しいジャンクフードは、生活の補助やスパイスのひとつだ。
そればかり食べていると、体調を崩し、病気になり、手遅れになってしまう。
あれ?自分で言ってて心が痛い。
あと、魔法は使える人のものではなく必要としている人の為のものだ、魔法を使えない人達も魔法の使える人の手助けが出来る、と言っていた。
こうして、国王の話は簡潔に、そして想像以上にうんと短く纏められていて、早々に終わった。
俗に言う「今日の校長先生の話凄く良かった」状態である。
次に、今日の成認式の寄付をした貴族や商会、グループの発表。
これは、寄付金が少ない順番に発表されていく。
子供達は完全に興味なし。
聞いているのは、寄付をした人達だけ。
ここで最後に名前を呼ばれれば、自分たちの力の大きさを他の人に見せ付ける事ができ、今後の評価や付き合い方にも大きく影響するらしい。
フィアンマ公爵家は、大抵最後に呼ばれる事が多いらしい。
今回は、私が成認式に参加している事や、ブリキッド商会でポテチがバカ売れしたこともあり、いつもより多く寄付をしたらしい。
案の定、今年一番のスポンサーはフィアンマ公爵家だった。
さて、これから昼食の時間になるんだけど、戦いはここからだ。
3階席まである大きな会場と、対面して一際明るい大きな舞台がある。
まるでコンサート会場の様だ。
そんな会場の中央よりやや左側の一番前の席に私達は座った。
「ありがとうございます、お母様。
お母様がお部屋を用意してくださったから、あの方達にとても喜んで頂く事が出来ました。」
「当然の事をしたまでよ。
交渉なら母に任せなさい。
それにしても、昼からはあのような小さな個室で良かったの?」
お母様はそう言うけど、12畳はありそうな大きな部屋だ。
「少し休むくらいなら十分ですわ。
他の方に上級部屋は使っていただいた方が、必要とされる方々も喜ぶと思います。
お母様こそ、私が朝最後尾に並んだり、公爵家なのに中級部屋を選んだりして良かったのですか?」
「今日の主役は貴女よ、フラン。
母は貴女を信用しています。
常識の範囲内で好きになさい。」
貴族の常識よくわからん。
とりあえず、さっきの二つは大丈夫だったみたい。
入り口での質問攻めは私も失態だと気付いているので、次からは気をつけよう。
『成認式にご来場の皆様、本日は誠におめでとうございます。
まもなく開始致しますので、席にお着きください。』
マイクの様な魔導具で館内にアナウンスが流れた。
あの魔導具どうなってるんだろう。
そして全員が席に着いた頃、ステージにある人物が 一人現れた。
その人物こそ、アースフィールド王国 国王陛下、ランサー・アースフィールド。
年齢は42歳。
8年前に先代国王陛下が病に倒れた後、その政治能力の高さから、継承権が7位と低かったものの先代直々の指名で生前継承されたそう。
その手腕は流石先代の折り紙付き、国の治安がグッと良くなった。
そんな人物が目の前に現れたのだ、オーラ満載のこの空気に流石の5歳児達もシンと黙って釘付けになる。
私たちは皆一斉に席を立ち、頭を下げる。
「皆のもの、我はアースフィールド王国 国王ランサー・アースフィールドである。
頭を下げている者は頭を上げ、席に着きたまえ。」
こう言われて初めて頭を上げて席に着く。
「先ずは子の親達に言う。
今日まで健やかな子を育て、国民の一員として今日の式を迎える事が出来た事、祝福と共に国の王として感謝する。
子は宝だ。
無限の可能性を持つ。
その子達の力を存分に発揮させ
国の更なる発展へ努めてくれたまえ。」
5歳時には難しい言葉で大人に向かって挨拶をされている間に、段々落ち着きがなくなってきた子供達は、声を上げたり手遊びを始めた様だが、俺は37歳、この程度の挨拶なんて朝飯前だ。
俺の研究が何かの賞を取った時の授賞式の方がよっぽど退屈だった。
むしろ、この世界の国のトップがどういった人物か興味深々だった。
大人への挨拶を終えた国王は、次に子供達に向けて言葉を発する。
「皆んな、成認式へようこそ。
そして、5歳のお祝い、本当におめでとう。
皆んなの元気な顔が見れて、私は嬉しいよ。」
まるで子供向け教育番組のお兄さんのような優しい口調で、よそ見や手悪さをする子供達さえ愛おしく見守る様に、笑顔で話す国王。
さっきまでの威厳たっぷりな人物とはまるで別人の様な豹変ぶり。
きっと、毎年やんちゃで話を聞かない子供がたくさんいるのだろう、すっかり慣れ切ってる、と言うかそれが当たり前の様に話を進める。
そして、子供にもわかりやすい様に簡易的な言葉を使い優しく語りかける様に、国民として大事な事、魔法についてを説明している。
子を持つ親からの支持率が高い理由が分かった。
国王曰く、国民のあり方とは、自分たちが過ごすこの国でどうしたら幸せになるかを考えて、自分に出来ることでお互いを助け合うことらしい。
次に、魔法とは、世の中を便利にしていく為の手段だと言った。
まさにその通りだと思う。
魔法が使えるからと自惚れて、己や周りの身を滅ぼすなんてあってはならない。
ジャンクフードだってそうだ。
安くて便利で美味しいジャンクフードは、生活の補助やスパイスのひとつだ。
そればかり食べていると、体調を崩し、病気になり、手遅れになってしまう。
あれ?自分で言ってて心が痛い。
あと、魔法は使える人のものではなく必要としている人の為のものだ、魔法を使えない人達も魔法の使える人の手助けが出来る、と言っていた。
こうして、国王の話は簡潔に、そして想像以上にうんと短く纏められていて、早々に終わった。
俗に言う「今日の校長先生の話凄く良かった」状態である。
次に、今日の成認式の寄付をした貴族や商会、グループの発表。
これは、寄付金が少ない順番に発表されていく。
子供達は完全に興味なし。
聞いているのは、寄付をした人達だけ。
ここで最後に名前を呼ばれれば、自分たちの力の大きさを他の人に見せ付ける事ができ、今後の評価や付き合い方にも大きく影響するらしい。
フィアンマ公爵家は、大抵最後に呼ばれる事が多いらしい。
今回は、私が成認式に参加している事や、ブリキッド商会でポテチがバカ売れしたこともあり、いつもより多く寄付をしたらしい。
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