公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

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49 公爵令嬢はお城でお茶会をする

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俺と私が一緒になって早3年目。

冬に作ったコーヒーとチョコレートが爆発的に売れまくって…ない。

特にチョコレート。

どちらも国内に原材料がなく、コーヒーは眠気覚まし効果でお茶会用以外にも多忙な職種の人に需要がかなりあり、チョコレートは更に味を向上させる為に製造過程でかなり手間隙をかけているという事で、一般市場に全然出回らず、上流貴族のごく一部に超高値で取引されているに留まっている。

開発者の私ですら、チョコレートは週(10日)に一度食べれれば良い方なのだ。

ハウスで育てているコーヒーとカカオの木は今のところは問題無く育っているけど、上手くいっても豆が取れるようになるまでにはまだまだ時間がかかるし、ハウスの数は徐々に増やしていってはいるものの規模はまだそこまで大きくないので、あと数年は需要に見合った供給は出来ないと思う。

それ以前に、ハウス栽培はコストがかなりかかるから、結局高額商品には変わらないと思う。

因みに、輸入先の南隣の国とは、フィアンマ公爵領というかブリキッド商会が完全独占取引をしているので、他領や他国が真似しようとしても、他で生産地を見つけるかうち以上の条件を付けて取引出来ないと原材料の確保も難しいだろうし、まずあんなに作るのが面倒臭いチョコレートを自力で作れるようになる人がそう簡単に出てくるのかが不明。

という訳で、コーヒーとチョコレートはフランチャイズ化せず、職人一人一人と門外不出でしっかり契約している。

お祖父様がめちゃくちゃ悔しがっていた。



4月になって、学童院の仕組みが変わった。

以前は、6歳から14歳の間に最低二年間の就学義務で、入学時期は年2回、卒業は個人でバラバラだったんだけど、入学を6歳の1月の農繁期休み明け、卒業を8歳の10月末で統一させた。

それにより、入学式と卒業式ができた。

そして私は、体育の先生から理科の先生に変わった。

本当によかった。

そういえば、今年入学したこの中に魔力持ちが一人いた。

ヤークン子爵の御子息、ポスカ・ヤークン。

ヤークン侯爵家の分家で領地持ちではないのだけど、本家は歴史の古いお家柄で、国内でも影響力の大きな貴族。

褐色の瞳と亜麻色のふわふわの髪、クリッとした目がかわいい弟系。

魔力属性は水土。

とても頭が良くて、弟系特有の人懐っこさがある子。

何より私よりも小さい。可愛いヤツめ。

クラスでも凄く目立ってた。


あと、最近なぜかロナウド王子が学童院に時々来て、一緒に授業に参加している。

私と違って、めっちゃ足速いし、音楽のセンスもある。クソっ。

頭が良くて、運動神経抜群で、歌も楽器も上手いイケメン。

このスクールカースト頂点のリア充がモテないはずがなく、全校生徒の殆どの女子がロナウド王子にメロメロだった。



そんなロナウド王子から、お互い友達を呼び合ってお茶会をしようと言われた。

とは言っても、私の友達って学童院の子達くらいで、貴族の子で仲良しってロナウド王子本人しかいない。

クラスの子にお城に行きたい人がいるか聞いたけど、もちろん全員挙手。

その事をロナウド王子に伝えると「全員連れてくれば良いじゃん」だと、太っ腹。

なので、私のお供はクラスメイト39人全員になった。

さて、そこからが少々大変だった。

「お城にお呼ばれするのに、着せていく服がない」と慌てる親が続出、私のフリフリドレスをあげようとしたけど、栄養満点の給食をしっかり食べている皆んなは一年間でちゃんと背が高くなって、私のドレスが入らない子の方が多かった。

私も給食食べてるのに、なぜ?

結局、服装に差が出ないように普段通りのものを着用する事となった。



学校が休みの日、全員一旦学童院に集合し、乗合馬車でお城まで向かう。

もちろん私も一緒。

お城に着くと、ロナウド王子が出迎えてくれた。

「皆んなようこそ。
早速だけど、お茶会の場所へ案内するよ。
今日は、俺の友達も呼んでるから仲良くしてくれな。」

ロナウド王子、会うたびに反抗期さがなくなっている。

私の事も「お前」と呼ぶ事はもうほとんど無い。

甥っ子が成長したような感じで、嬉しいような、ちょっと寂しいような。


とても綺麗な中庭に連れてこられると、ロナウド王子の友人はもう来ていた。

ロナウド王子が連れてきたのは3人。

3人とも貴族のご子息なんだけど、その中でも一際目を引いたのが、騎士団長の息子、セシル・クアングルド。

ロナウド王子と勝るとも劣らない整った顔立ちの銀髪蒼目の美少年。

ロナウド王子が王道の王子様顔だとしたら、こちらはクール系。

火風属性魔力保持者で、魔力量はロナウド王子と同じ9レベル。

成認式の壇上で見かけたり、お兄様から名前を聞いたりはしていたけど、実際に面と向かって会ったのは初めて。

「大変お待たせして申し訳ありません。
私、フィアンマ公爵家 フランドール・フィアンマと申します。」

「初めまして、フランドールさん。
クアングルド伯爵家 セシル・クアングルドと言います。」

まだ7歳とは思えないほど大人びた笑顔で、自己紹介をしてくる。

後ろから「かっこいぃ~」とクラスメイトの女子達の声が聞こえてきた。

まぁ、この笑顔にイチコロの女の子の一人や二人はいるでしょうよ。

その他2人とクラスメイトも自己紹介をして、お茶会が開始。



テーブルに乗っているのは、庶民ではなかなか食べられないようなケーキやクッキー、ロナウド王子手作りのお饅頭、そしてチョコレート。

なぜかポテチとコーラも用意されていた。

「ロナウド王子、よくこれ程の量のチョコレートを用意出来ましたね。」

「チョコレートは日持ちするからな、この日の為に何度か買い付けた物をまとめて用意したんだ。
あと、フランはポテチとコーラ好きだったろ?」

素晴らしいよロナウド王子。

初めて食べる貴族のお菓子やお饅頭に、クラスメイトは大興奮。

チョコレートは、その他2人にも受けていた。

ちょっと皆んな、学童院でテーブルマナーを教えたでしょ!

お菓子の取り合いとか、マナーがなってないよ!

「今日くらいいいよ、折角だからたくさん食べていって。」

立派になったねぇロナウド王子、1年前のあの反抗的な態がまるで嘘の様だよ。

「君もすっかり変わったね、ロナウド。
ずいぶん寛大になって。」

「なんだよ、うるさいなあ。」

セシル様の一言に盛大に照れるロナウド王子。

この天邪鬼、というかツンデレ具合は変わってないね。

「ところでフランドールさん、このチョコレートは貴女が考えたそうですね。」

セシル様が私に声をかけてきた。

「はい、そうです。
完成するまでには、かなり時間がかかりましたが、自信を持ってお勧めできるお菓子になりましたわ。
もうお口にされました?」

「もちろん!
とても素晴らしい味ですね。
それに、ロナウドから聞いたのですが、君はこの子達の先生をしているのだそうですね。」

「ええ、私なんかが皆さんの前に立って教授するなど烏滸おこがましいのですけど…」

「そんな事ありませんよ、貴女の功績は数え切れないほど耳にしています。
美しいだけでなく、知的で慈悲深く才能に溢れている貴女とこうしてお話できて、僕はとても幸せです。」


う、うう、美しいぃ⁉︎
「う、うう、美しいぃ⁉︎」

そんな事、初めて言われた‼︎

いや、セシル様は見た目だけでなくきっと中身も早熟なんだ、既に社交辞令が出来るだなんて当たり前に違いない。

て、ちょっと待って、なんでロナウド王子が驚くの?

「フランは、歌が下手で足が遅いんだぞ?」

ロナウド王子、その情報今いる?

「少しくらい苦手なことがある方が、チャーミングで可愛らしいじゃないか。」

チャーミングだなんて、そんなっ…

「フランは庭を破壊したり、俺に喧嘩売ってきたりする乱暴者だぞ?」

さっきからロナウド王子はなんで余計なことを言うの?

「ちょっとお転婆なんだね、そんなところも素敵だよ。」

まあ、なんて器の大きいこと。

誰かさんとは大違い。

「おまっ、今日フランと会ったばっかりなのに、ちょっと馴れ馴れしいぞ!
俺の方が先に、…友達になったんだ!」

ロナウド王子負けず嫌いだな

てか、それが理由で私を貶してたの?

「出会った日の早さなんて関係ないよ、僕とフランドールさんは既に友達なんだからね。」

この人、さっきから言い方がキザだ、聞いてる方が恥ずかしくなる。

「それにっ、フ、フランはなぁ、俺に、プ、プレゼントをくれたことがあるんだ!
俺の方が、仲が良いっ!」

「じゃあ僕はフランドールさんに、この腕輪をプレゼントするよ。
今僕がつけていた物で申し訳ないけど、今度会うときには他のプレゼントを用意しておくよ。」

「なっ…
じゃあ、俺はこのペンダントをフランにあげる!」

なにこのミツグ君たち。

何で争ってるのか、段々わからなくなってきた…

「フランドールさん、ロナウドにどんな物をあげたのですか?」

「えっ?あ、ぜんまい式のロボットとオルゴールを差し上げました。」

「羨ましいなあ、僕にもそれを戴けませんか?」

「ええ、勿論ですわ。
先程の腕輪のお礼に、受け取ってください。」

「なっ、なんでそれあげちゃうの⁉︎」

「え、何でダメなんですか?」

じーーーーーーーーーーーーーーー。

周りから、ものすごい視線を感じた。

さっきまでお菓子に夢中だったはずのクラスメイトが全員、キラキラした目でこっちを見てる。

…もしかして、欲しいの?



その後、クラスメイト全員にロボットとオルゴールを要求されて、終わりの方には国王様が来てお茶会に参加し、ロナウド王子主催の混沌としたお茶会は終了した。

そして最初から最後まで、その他2人の友達はそのカオスな状況を見届けるだけだった。
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