公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

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106 公爵令嬢は駄菓子屋を造る

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 夏が来た。

 フィアンマ男爵領が賑わいに包まれる長い季節だ。

 引継ぎ作業が随分落ち着いた私は、週五でウォータースライダーに通っている。

 いやぁ、研究実験と料理が割と引きこもる趣味だから、外で楽しく体を動かす趣味が出来て良かった。

 水泳が得意っていう意外な特技もあるから、余計楽しいんだよね。

 背が低くて十二歳くらいに見えるから、年甲斐もなくとか言われないし。

 ってうるさいわ!

 大人もみんな滑ってるわ!



 小学校の頃は、夏休みにプールに行って、帰りに駄菓子屋に寄るってのがステータスだった。

 当時はまだコミュ症発生してなかったから、友達と一緒に駄菓子屋の扇風機の風を浴びながら、毎日もらう五十円のお小遣いでやりくりするってのが本当に楽しかったなぁ。

 あぁ、駄菓子屋懐かしい。

 ……作っちゃおうかな。



 ウォータースライダー近くに海の家を一軒増やして、そこを駄菓子屋にする予定。

 でもその為には、まずは駄菓子を作らないと。

 まずは一つ目。

 グラニュー糖のパウダーシュガーにコーンスターチを混ぜ合わせる。

 クエン酸、レモン果汁を足して、馴染んだらしっかり混ぜる。

 水気がなくなったら重曹を混ぜて、型でギューっと固めたら、ラムネ菓子の出来上がり。

 次に二つ目。

 丸く形成したチョコレートの粒を回転鍋に入れて、砂糖液を少しづつ入れてコーティングしていけば、マアブルチョコの出来上がり。

 次、三つ目。

 ジュースと砂糖をよく混ぜ合わせて、加熱。

 ゼラチンを振り入れてさらに加熱。

 型に入れて冷やしたら、グミの出来上がり。

 夏は暑さで溶けちゃうから、オブラートに包んでおく。

 更に四つ目。

 強力粉に水を加えて入念にこねる。

 しっかりこねたら、水の中で揉み洗い。

 こねて水洗いの行為を水が白く濁らなくなるまで繰り返す。

 最後に水洗いして、約三十分(地球時間で一時間程度)寝かせて、形成と味付けをしたら、ガムの出来上がり。

 食感は地球のガムと全然違うけど、まぁこの世界の人は知らないから問題ない。

 五つ目。

 グラニュー糖に水を入れてグラニュー糖が溶けないようにかき回しながら、糖蜜と呼ばれる砂糖の液体を作る。

 回転鍋に核となるザラメを入れて、そこに糖蜜を振りかけ、火であぶりながら全体をかき混ぜる。

 この時鍋全体にまんべんなく糖蜜がゆきわたるように丁寧にかき混ぜていくんだけど、かなり繊細な作業。

 糖蜜を振りかけてはかき混ぜて、乾いたらまた糖蜜を振りかけてかき混ぜる、と言う工程を数日間繰り返していくと、最初は丸かった核が糖蜜をまとい、そのうちに角とよばれる独特の突起が作らていく。

 りさらに延々と作業を繰り返していけば、金平糖の出来上がり。

 六つ目。

 強力粉に水を加え、こねてグルテンを生成。

 こねたら、密閉して一時間生地を寝かせる。

 生地をサラシに包み、水の中で濁らなくなるまで揉み洗い。

 出来上がったグルテンの重さに対して1.5倍の強力粉を加える

 強力粉が混ざりにくくなったら、少量の水を加えながら、耳たぶくらいの柔らかさにまとめ、生地に濡れ布巾を被せて二五分くらい寝せておく。

 好きな形に成形して霧吹きで生地にたっぷり水をかけて、焼き加減を見ながら焼いていけば、焼き麸の完成。

  小さなフライパンに黒糖と水をいれ、ふつふつと細かい泡状になるまで、かき混ぜながらじっくり加熱。

 お麩を投入し弱火にかけながら手早く黒糖を絡ませれば、キングオブ駄菓子、麩菓子の完成
 
 きな粉味、抹茶味、ココア味、カレー味、チーズ味、ゴマ味等アレンジも多数。

 美味いん棒と命名。

 最後に飲み物。

 ビー玉で蓋をした瓶にラムネを入れたら、ラムネ水の出来上がり。

 純水にシナモンの皮を炊いて絞った汁、クエン酸、食紅を加えてよく混ぜれば、ニッキ水の出来上がり。


 お店にこれらやポテチ、コーラ、ポップコーン等を並べれば、駄菓子屋の完成!

 ついでに、くじを作ってみた。

 ビー玉や鈴、お菓子なんかの景品があるけど、何が当たるかな?



 
 遂に駄菓子屋開店。

 私が作った新しいお菓子屋という事で、当日から大行列。

 子供だけでなく大人まで来店する大賑わい。

 「このシュワシュワするような飴はなんだ!?
 口の中でスーッと溶けて、後味爽やかで美味い!」

 「おお、これはチョコレートなのか!
 これなら夏でも溶けてベトベトにならずに美味しく食べられる!
 周りのカリカリの衣も、色んな色で食感も楽しい!」

 「この柔らかい飴だって、面白い食感だよ!
 噛み応えが良くて、ジュースみたいに甘いんだ!」
 
 「なにこの飴!?
 噛む飴って言われたけど、いくら噛んでも全然なくならない!
 なんだかお得な気分だわ!」

 「この星の飴、すごく可愛いらしい!
 見た目の美しさだけでなく、口に含んだ時のトゲトゲを舐める感覚が面白いわ!」

 「このサクサクの棒、色んな味がある!
 ソース味も美味しいけど、俺はこの抹茶味が好きだ!」

 「うわぁ、この瓶すごくキレイ。
 中にはラムネが入ってるのね。
 あれ、ビー玉が詰まって飲みにくいわ……」

 ラムネは瓶の向きがあるからね、教えてあげた。

 「うへぇ!この水すっげー強烈だ!
 でも、なんかチビチビ飲むのが癖になりそう。
 え、舌が真っ赤になってるのか?
 こいつぁー面白え!」

 全体的に高評価だけど、一番人気はくじ。

 この世界にはくじの概念がなくて、玩具がお菓子か、何が当たるかわからないギャンブル感が子供も大人もワイワイ楽しんでる。



 「おい、フラン!
 チョコレートを売りたいと聞いたから、フランなら仕方がないと許可したけど、こんな不思議なチョコにして男爵領の名物にするなんて、聞いてないぞ!」

 言ってなかったからね。

 「このチョコレート、いや、ここにあるもの全て」

 「ブリキッド商会で出しません。」

 父ショボーン。
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