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111 公爵令嬢は学校生活を始める
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学校の一日のスケジュールは、午前中が座学と武術、午後が魔法実技となっている。
今から座学が始まるんだけど、どんな内容かな。
ホームルームとかは特になく、いきなり授業が始まる。
最初の時間は魔法学。
担当の先生が入ってきた。
三十代くらいの男性だった。
アッシュグレーの短めの髪に、灰色の瞳。
無精髭が似合い、肘まで捲り上げた袖から見える腕がなんともたくましい。
「魔法学担当のジョニー・ヴァンプだ。
よろしくな。」
はぁ、、、と甘いため息が周りから聞こえてきた。
もう、この学校の生徒は見た目が良ければ誰でもいいのか?
授業初日という事で、魔法の基礎についての勉強がほとんどだった。
私には知ってる事ばかりだったけど、ハリボテ貧乏貴族の中には家庭教師を雇えなかった人もいるみたいだから、ジョニー先生の分かりやすい丁寧な授業はとても為になったんじゃないのかな。
ワイルドな優しい笑顔、低めの声、服の上からでもわかる筋肉。
俺もあんなイケオジになりたかった。
歳は近いのに、こうも出来が違うのかって。
俺ショボーン。
休憩時間になると、先生は男女問わず生徒に囲まれた。
中にはラブコールをかける女子もいたけど、サラッと大人のあしらいで躱していた。
「ジョニー先生の筋肉、凄かったな。
あれだと武術も相当強そうだな。」
「ですね、一度手合わせをお願いしたいですね。」
二人とも一瞬でワイルド先生の虜になったのかな?
「無精髭かっこいいな。
俺全然伸びねぇんだよ。」
「腕に生えてた毛も、『大人の男』て感じですね。
憧れてしまいます。」
……二人の顔で髭と腕毛は似合わなすぎるから、よしておいた方がいいよ。
次の時間からは、普通に国語とか社会とか。
もう内容全部知ってるし、眠くなる程退屈な授業だったから、図書館で借りた魔導書をこっそり隠し読み。
(フラン様、授業は受けなくてもよろしいのですか?)
隣にいたリリーちゃんがコソッと声かけてきた。
全く問題ない。
隠し読みしつつ、ノートを取りつつ、先生の話は聞いている。
いきなり当てられても大丈夫。
「では、この問題をフランドール嬢、解いてご覧なさい。」
だからって本当に当てるなよ。
「まずどちらかの二桁の数字と、もうひとつの数の一の位の数字をたします。
13×12の場合、13+2、または12+3で15になります。
この数字が百の位と十の位になり、150になります。
次に一の位の数字どうしをかけて、3×2=6となり、これをさきほどの数に足して150+6=156が答えになります。」
「……理屈はともかく答えは正解だ。」
ほらね。
あら、初歩的な問題なのに、私の説明で理解出来てない人もいるみたい。
インド式計算は、慣れれば簡単で便利だから、みんなも覚えておくといいよ。
てか、なぜ二桁の掛け算を魔法学校の数学でやってるの?
午前後半は武術。
一日の中で一番憂鬱な時間。
一年生の前半は、走り込みや筋トレ等の体力づくり。
女子生徒も、護身術として同じ事をさせられる。
ヒッキーな私にそんな事出来るわけもなく、誰よりも遅いペースで走り、誰よりも少ない回数しか筋トレ出来てないのに、誰よりも一番疲れてる。
こんな事しても、私なんかが武術を習得できる訳ないじゃんか!
明日の筋肉痛が怖い。
昼食は四人でレベッカちゃんのお手製料理を食べる。
今日はカルボナーラスパゲティにマルゲリータ。
うぅーん、やっぱり私伝授の料理を更に磨き上げたレベッカちゃんの料理は最高だわ。
「レベッカさんのお料理はやっぱり美味しいですね。」
「ですよね。
毎日食べられるフランさんが羨ましいです。」
「結婚したらレベッカも連れてくるんだろ?
そしたら、俺だって毎日食べられるぜ。」
ロナウド王子、今サラッと恥ずかしい事言ったね。
でもまぁ、レベッカちゃんは私の自慢の専属料理人だからね。
見つけたもん勝ち、育てたもん勝ちってか?
あと、いい加減ジロジロと遠巻きに見てくるのはやめてくれ!
午後からは魔法実技。
属性別で訓練して、威力や操作の指導をしてもらう。
はずなんだけど、みんなとは桁違いに魔法が上手く、なおかつ指導をつけられる先生が現在いない私たち四人は、自習。
初日から自習てなんだよ。
てか、セシル様はどうにかこうにか先生を探せたとしても、治癒魔法を使える魔導師ってリリーちゃん以外に一人しかいないし、ロナウド王子に至っては先生が国王陛下じゃん。
私には一生先生来ないだろうし。
「じゃあ四人には実演して頂きましょうか。」
またそれかい。
「では、火属性魔法を僕から。」
そう言うと、ズゴゴゴウッと言う音と共に校舎より高い火柱を作り上げた。
セシル様、やり過ぎ。
天井がなくてよかったね。
「じゃあ次に、俺が風魔法を。」
そう言って手を天にかざすと、真上にあった雲に向かって空気の塊を発射。
ゴキャン!と爆発したような音の後に、天上の大きな雲は完全に吹き飛ばされ消えてしまった。
だから、ロナウド王子もやり過ぎだって!
デカけりゃいいってもんじゃないでしょうが!
これだからダンスィは全く。
ほら、みんな二人の魔法に怯え切ってるじゃんか。
「では、私も光属性魔法をお見せします。」
そう言ってリリーちゃは訓練場一体を光で包んだ。
そして、光が落ち着くと、みんなの怯えた顔が安らかになっている。
「皆さん全員に、状態異常解除の治癒魔法をかけました。」
さすがリリーちゃん、ダンスィの尻拭いバッチリだね。
ただ、君も魔法の規模デカすぎだからね?
「それでは、最後は私が土属性魔法を。」
私は三人と違って、量より質。
鎧を着た石人形を二体作り、その石人形同士で戦わせる。
地面から離れると操れなくなるからジャンプはできないけど、二体とも見事な剣捌きで戦いを繰り広げる。
自分でこれと同じように戦えと言われても、出来んものは出来ん。
そして勝負が付き、石人形を大地に戻す。
どう?私の魔法の技術力は!
シーーーーン……
だからなんで私の時だけリアクションゼロなんだよ!
放課後は、リリーちゃんと一緒に図書館へ。
リリーちゃんは、光魔法に関する書物を探している。
特殊な属性の魔力持ちは独学になりがちで、ここなら特殊属性や二属性の資料があるかも、と言う事だ。
私も禿同だ。
錬金魔法の資料は未だに見つけた事ないけど、もしかしたらここにあるかもしれない。
お互い別行動で本を探してみる。
「やぁ、君は。」
「あ、ジョニー先生。」
ワイルドイケオジ、ジョニー先生が声をかけてきた。
「先生も図書館を利用されるんですか?」
「調べ物をする時の資料なんかを探すには、ここの図書館は便利なんだよ。」
成る程、じゃあ他の先生方もここに来るのかな?
「ところで、さっきの魔法実技の練習を少し見たんだが、今年の新入生はすごいな。
レベルの高い子がこんなにいるなんて。」
もしかして、あの三人のドデカ魔法の事か。
「そうですねよ、あのお三方の魔法は皆さんのそれとは規模が違いましたから。」
「特に、君の魔法は素晴らしい。」
え?
「あれほど人間に近い形の石人形を、あんな大胆で繊細に激しく動かすなんてさ。
俺が傀儡泥人形を完璧に使えるようになったのだって二十代後半なのに、こんな若さでこれ程までとは。
将来有望だな。」
驚いた。
誰もが無反応だった私の魔法を、すごいと言ってくれた。
「せ、先生は、私が入学前にしていた行いをご存知ですか?」
「ああ、知ってるさ。
でも、それは抜きにして立派だと褒めてんだよ。
俺の自慢の生徒だな。」
そう言って私の頭をポンポンした。
お、大人だ……
と言うか、完全に私子供扱いしてるな?
「やめてくださいよ、私はもう大人なんですから。」
「そうか、そりゃ悪かったな、小さなレディさん。」
また子供扱いしてやがる。
「フラン様?
あら、ジョニー先生もいらっしゃったんですね。
お取り込み中でしたか?」
ナイスタイミング、リリーちゃん!
「ううん、全然そんな事ないよ。
では、失礼します。」
「ああ、また明日な。」
あぁもう、この学校のイケメン野郎は、どいつもこいつも私の事見下しやがって!
ちょっと俺よりイケメンでワイルドで男らしくて女子にモテモテってだけだからって……
俺ショボーン。
今から座学が始まるんだけど、どんな内容かな。
ホームルームとかは特になく、いきなり授業が始まる。
最初の時間は魔法学。
担当の先生が入ってきた。
三十代くらいの男性だった。
アッシュグレーの短めの髪に、灰色の瞳。
無精髭が似合い、肘まで捲り上げた袖から見える腕がなんともたくましい。
「魔法学担当のジョニー・ヴァンプだ。
よろしくな。」
はぁ、、、と甘いため息が周りから聞こえてきた。
もう、この学校の生徒は見た目が良ければ誰でもいいのか?
授業初日という事で、魔法の基礎についての勉強がほとんどだった。
私には知ってる事ばかりだったけど、ハリボテ貧乏貴族の中には家庭教師を雇えなかった人もいるみたいだから、ジョニー先生の分かりやすい丁寧な授業はとても為になったんじゃないのかな。
ワイルドな優しい笑顔、低めの声、服の上からでもわかる筋肉。
俺もあんなイケオジになりたかった。
歳は近いのに、こうも出来が違うのかって。
俺ショボーン。
休憩時間になると、先生は男女問わず生徒に囲まれた。
中にはラブコールをかける女子もいたけど、サラッと大人のあしらいで躱していた。
「ジョニー先生の筋肉、凄かったな。
あれだと武術も相当強そうだな。」
「ですね、一度手合わせをお願いしたいですね。」
二人とも一瞬でワイルド先生の虜になったのかな?
「無精髭かっこいいな。
俺全然伸びねぇんだよ。」
「腕に生えてた毛も、『大人の男』て感じですね。
憧れてしまいます。」
……二人の顔で髭と腕毛は似合わなすぎるから、よしておいた方がいいよ。
次の時間からは、普通に国語とか社会とか。
もう内容全部知ってるし、眠くなる程退屈な授業だったから、図書館で借りた魔導書をこっそり隠し読み。
(フラン様、授業は受けなくてもよろしいのですか?)
隣にいたリリーちゃんがコソッと声かけてきた。
全く問題ない。
隠し読みしつつ、ノートを取りつつ、先生の話は聞いている。
いきなり当てられても大丈夫。
「では、この問題をフランドール嬢、解いてご覧なさい。」
だからって本当に当てるなよ。
「まずどちらかの二桁の数字と、もうひとつの数の一の位の数字をたします。
13×12の場合、13+2、または12+3で15になります。
この数字が百の位と十の位になり、150になります。
次に一の位の数字どうしをかけて、3×2=6となり、これをさきほどの数に足して150+6=156が答えになります。」
「……理屈はともかく答えは正解だ。」
ほらね。
あら、初歩的な問題なのに、私の説明で理解出来てない人もいるみたい。
インド式計算は、慣れれば簡単で便利だから、みんなも覚えておくといいよ。
てか、なぜ二桁の掛け算を魔法学校の数学でやってるの?
午前後半は武術。
一日の中で一番憂鬱な時間。
一年生の前半は、走り込みや筋トレ等の体力づくり。
女子生徒も、護身術として同じ事をさせられる。
ヒッキーな私にそんな事出来るわけもなく、誰よりも遅いペースで走り、誰よりも少ない回数しか筋トレ出来てないのに、誰よりも一番疲れてる。
こんな事しても、私なんかが武術を習得できる訳ないじゃんか!
明日の筋肉痛が怖い。
昼食は四人でレベッカちゃんのお手製料理を食べる。
今日はカルボナーラスパゲティにマルゲリータ。
うぅーん、やっぱり私伝授の料理を更に磨き上げたレベッカちゃんの料理は最高だわ。
「レベッカさんのお料理はやっぱり美味しいですね。」
「ですよね。
毎日食べられるフランさんが羨ましいです。」
「結婚したらレベッカも連れてくるんだろ?
そしたら、俺だって毎日食べられるぜ。」
ロナウド王子、今サラッと恥ずかしい事言ったね。
でもまぁ、レベッカちゃんは私の自慢の専属料理人だからね。
見つけたもん勝ち、育てたもん勝ちってか?
あと、いい加減ジロジロと遠巻きに見てくるのはやめてくれ!
午後からは魔法実技。
属性別で訓練して、威力や操作の指導をしてもらう。
はずなんだけど、みんなとは桁違いに魔法が上手く、なおかつ指導をつけられる先生が現在いない私たち四人は、自習。
初日から自習てなんだよ。
てか、セシル様はどうにかこうにか先生を探せたとしても、治癒魔法を使える魔導師ってリリーちゃん以外に一人しかいないし、ロナウド王子に至っては先生が国王陛下じゃん。
私には一生先生来ないだろうし。
「じゃあ四人には実演して頂きましょうか。」
またそれかい。
「では、火属性魔法を僕から。」
そう言うと、ズゴゴゴウッと言う音と共に校舎より高い火柱を作り上げた。
セシル様、やり過ぎ。
天井がなくてよかったね。
「じゃあ次に、俺が風魔法を。」
そう言って手を天にかざすと、真上にあった雲に向かって空気の塊を発射。
ゴキャン!と爆発したような音の後に、天上の大きな雲は完全に吹き飛ばされ消えてしまった。
だから、ロナウド王子もやり過ぎだって!
デカけりゃいいってもんじゃないでしょうが!
これだからダンスィは全く。
ほら、みんな二人の魔法に怯え切ってるじゃんか。
「では、私も光属性魔法をお見せします。」
そう言ってリリーちゃは訓練場一体を光で包んだ。
そして、光が落ち着くと、みんなの怯えた顔が安らかになっている。
「皆さん全員に、状態異常解除の治癒魔法をかけました。」
さすがリリーちゃん、ダンスィの尻拭いバッチリだね。
ただ、君も魔法の規模デカすぎだからね?
「それでは、最後は私が土属性魔法を。」
私は三人と違って、量より質。
鎧を着た石人形を二体作り、その石人形同士で戦わせる。
地面から離れると操れなくなるからジャンプはできないけど、二体とも見事な剣捌きで戦いを繰り広げる。
自分でこれと同じように戦えと言われても、出来んものは出来ん。
そして勝負が付き、石人形を大地に戻す。
どう?私の魔法の技術力は!
シーーーーン……
だからなんで私の時だけリアクションゼロなんだよ!
放課後は、リリーちゃんと一緒に図書館へ。
リリーちゃんは、光魔法に関する書物を探している。
特殊な属性の魔力持ちは独学になりがちで、ここなら特殊属性や二属性の資料があるかも、と言う事だ。
私も禿同だ。
錬金魔法の資料は未だに見つけた事ないけど、もしかしたらここにあるかもしれない。
お互い別行動で本を探してみる。
「やぁ、君は。」
「あ、ジョニー先生。」
ワイルドイケオジ、ジョニー先生が声をかけてきた。
「先生も図書館を利用されるんですか?」
「調べ物をする時の資料なんかを探すには、ここの図書館は便利なんだよ。」
成る程、じゃあ他の先生方もここに来るのかな?
「ところで、さっきの魔法実技の練習を少し見たんだが、今年の新入生はすごいな。
レベルの高い子がこんなにいるなんて。」
もしかして、あの三人のドデカ魔法の事か。
「そうですねよ、あのお三方の魔法は皆さんのそれとは規模が違いましたから。」
「特に、君の魔法は素晴らしい。」
え?
「あれほど人間に近い形の石人形を、あんな大胆で繊細に激しく動かすなんてさ。
俺が傀儡泥人形を完璧に使えるようになったのだって二十代後半なのに、こんな若さでこれ程までとは。
将来有望だな。」
驚いた。
誰もが無反応だった私の魔法を、すごいと言ってくれた。
「せ、先生は、私が入学前にしていた行いをご存知ですか?」
「ああ、知ってるさ。
でも、それは抜きにして立派だと褒めてんだよ。
俺の自慢の生徒だな。」
そう言って私の頭をポンポンした。
お、大人だ……
と言うか、完全に私子供扱いしてるな?
「やめてくださいよ、私はもう大人なんですから。」
「そうか、そりゃ悪かったな、小さなレディさん。」
また子供扱いしてやがる。
「フラン様?
あら、ジョニー先生もいらっしゃったんですね。
お取り込み中でしたか?」
ナイスタイミング、リリーちゃん!
「ううん、全然そんな事ないよ。
では、失礼します。」
「ああ、また明日な。」
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