公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

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138 公爵令嬢は先生と対決する

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 魔法実技の授業は、いつもひとりぼっち。

 いつもの三人は元一班の先生やってるし、私はする事なくていっつもゴーレム作ってる。

 作ったアイアンゴーレムは、時々私にポピーの花をプレゼントしてくれるんだけど、どこで摘んできた?

 アイアンゴーレムを量産し過ぎて、おままごとするにはちょっと量が多すぎるから、訓練所の壁際にズラッと並べている。

 まるで天空のお城のようだ。

 そして、先生に「作り過ぎ」って言われて、生産中止をくらっている。

 

 その様子を見たジョニー先生から、

 「ゴーレムの扱いに慣れてきてるじゃねぇか、俺と一戦してみねぇか?」

 と決闘の申し込みがあった。

 「フランドール嬢の実力で、ベテランの俺に勝てると思うなよ。」

 確かにその通り。

 対戦でいっつも超合金シェルターに引きこもってたから、ゴーレム達が戦えるのかわからなかった。

 いい機会だから、お手合わせお願いした。



 放課後の闘技場の真ん中に立つ、ジョニー先生と私。

 何故か観客席が生徒と先生で埋まっている。

 校長先生まで特等席で待機している。

 「雰囲気作りはバッチリだろ?」

 ジョニー先生の仕業か!

 恥ずかしいから、本気が出せないかもじゃんか!

 魔法実技の先生が審判役。

 「準備はいいか!?」

 いいも悪いも、準備するものはないから。

 「構え、始め!」

 瞬発力が私より圧倒的に早いジョニー先生に対して、防弾ガラスシェルターを速攻で作った。

 くそっ、外が見えるようにガラスで作ったのに、泥で何にも見えなくなった。

 仕方なくゴーレムを量産してから、シェルター解除。

 すると先生は、闘技場の床を泥沼にしてきた。

 どんどん湧き出る泥人形。

 安定しない足元に苦戦するゴーレム隊。

 いくら魔法で床を硬化しようも、先生の技術が上手なのか泥化は止まらない。

 くっそー、仕方がないから、土壌の上から鉄の床を覆い被せた。

 「中々やるじゃねぇか。
 だがこっちも負けてねぇぞ。」

 なんと、競技場のステージ外を操ってから泥を量産してきたではないか。

 そんな、無限に泥人形を大量に操れるとか、聞いてない!

 ゴーレム隊で泥人形をいくら潰しても、直ぐに復活されてしまう。

 もう、キリがないじゃん!

 対戦がほぼ初めての私の魔法に対して、戦い慣れしているジョニー先生は、それだけでアドバンテージが違う。

 湧き上がる会場。

 畜生、どうにか一泡食らわせたい。

 仕方がない、これでどうにかならないかな。

 い出よ、超巨大ロボット!

 量産型ゴーレムを組み立ててズドーンと出来た合体ロボ。

 「おいおい、マジかよ……」

 ステージを覆い尽くすほどの巨大合体ロボに、ジョニー先生は驚きを隠せない。

 「じゃあこっちもさせてもらうか。」

 量産していた泥をかき集めて、巨大シヨッカアを作り上げちゃったジョニー先生。

 うへぇマジか!

 私は魔力の半分近くを持ってかれてるのに、ジョニー先生はまだまだ余裕そう。

 こういう時に魔力量の差が出るんだよね。

 ステージを完全に覆い尽くした巨大合体ロボと泥シヨッカア。

 見たこともない巨大なゴーレムに、一同大盛り上がり。

 しかし、ステージが狭過ぎて、バトルする余裕がない。

 「見合って見合って、肌気合……残った残ったぁ!」

 魔法実技の先生、完全に脇侍になっていた。

 取っ組み合いで力は互角。

 拮抗する巨大ゴーレム達に、観客席から大歓声。

 くそー、こんな超巨大合体ロボなんて操作したことないから、どんどん魔力が使われていく。

 それはジョニー先生も同じで、段々苦しそうな表情をしている。

 だが、いつだって最後は巨大ロボ正義が勝つんだよぉ!

 そして遂に決着。

 先に魔力切れになったのは私。

 いつの間にか気を失って戦闘不能。

 よって、ジョニー先生の勝利。

 観客の盛り上がりは気を失ってたから分かんない。

 とにかく、前代未聞の決闘は、ジョニー先生に軍配が上がった。



 目が覚めると、見慣れない低く狭い天(以下略

 どうやら保健室に運ばれていたようだ。

 気がついた頃にはとっくに日が暮れていた。

 リリーちゃんが魔力回復してくれてたみたいだけど、中々目が覚めない私をかなり心配していたらしい。

 でも、寮に帰る時間になってしまったから、あとをジョニー先生に託したそうだ。

 「全く、無茶しやがって。
 気を失う程魔力を使い切っちゃダメだろ。
 戦闘になった時、そんなんじゃすぐやられちまうぜ?」

 確かに、無茶し過ぎました。

 「魔力回復したのに全然起きる気配がねぇから、結構心配したんだぜ。」

 そう言って、私の頬を撫でた。

 「でもまぁ、オメェさんとのバトルは、俺もかなり勉強になった。
 楽しかったよ、ありがとな。」

 そう言って、頬にあった手を頭の上に乗せてポンポンしてきた。

 「また子供扱いしてくる……」

 「いやいや、俺は十分オメェさんを認めてるんだぜ?
 あんだけの事が出来りゃ、立派な魔導士だ。」

 ニコッと笑った先生は、いつものような子供を見る目ではなくて、少し雰囲気が違った優しそうな眼差しだった。

 「ま、それ以外はやっぱりガキだけどな。」

 そう言って、いつものように頭をクシャクシャしてくる。

 それでも私は、先生に認められたような気がして、少し嬉しくなった。

 「今日は寮で実験とかイタズラせずに、歯磨いてさっさと寝ろよ。」

 だから、子供扱いするんじゃない!
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