公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

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139公爵令嬢は領主補佐と会話する

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 今日はケンが魔法学校へ仕事を持ってくる日。

 大体二週間で一回程度で持ってくるんだけど、今回は一日遅れ。

 いつも通りの日に来れないと連絡あったから、何かあったのかを聞いてみたら、補佐補佐が仕事場で大ずっこけして本棚を倒してしまい、資料や本をメチャメチャにしてしまったらしい。

 補佐補佐は顔面蒼白で、この世の終わりのような様子だったと。

 まぁ、ミスは誰でもあるからね、やってしまった事は仕方ない。

 ごちゃごちゃになった資料や書類を二日がかりで片付けてたら、今日到着になってしまったらしい。

 馬車ではなくて馬を乗り継いで来たから、片道一日でなんとか間に合ったらしい。

 ケンて乗馬出来たんだね。

 「領主補佐の嗜みです。」

 それは知らなかった。



 「じゃあ、今日はこのまますぐ帰るの?」

 「いえ、ちょっと疲れたので少し休んでから帰ろうと思います。
 一応報告した帰りの時間より片道一日分の余裕があるので。」

 「じゃあ、少し話をしない?
 ケンとは最近、仕事の話ばかりで中々ゆっくりお話出来てないじゃない。」

 「喜んで。」

 「二日間大変だったわね、アデン達は大丈夫なの?」

 「アデンさん、フラン様が学校に行かれてから、メキメキと仕事のスピードを上げてるんです。
 溜まりがちだった仕事も、今じゃ随分余裕を持って作業出来てますし。
 自分も見習わなくては。」

 「ケンだって頑張ってるじゃない。
 まさか一日で王都まで来るとは思わなかったわ。」

 「一刻も早くフラン様に会わなくてはいけなかったので。」

 「そうね、仕事が遅れてしまうものね。」

 「それもありますが、フラン様に早く会いたかったんです。」

 「えっ……」

 「いつもより遅くなってしまって、会う事ができる日が遅れてしまって。
 一日でも早く会わなければ、と思っていました。」

 「ケン……
 そ、そう言えば、最近男爵領にもち麦を仕入れているじゃない?
 あれはどんな感じ?」

 「かなり好評です。
 ペースト状にしたもち麦を焼いて醤油をかけて食べる食べ方がかなり流行っています。」

 「そうなのね、良かったわ。
 あ、あのお餅なんだけど、よく噛んで食べないと命に関わるわよ。」

 「えっ!?
 どういう事ですか!?」

 「とある国の商人から聞いた噂なんだけど、餅というのは毎年年明けに食べる習慣のあるとても美味しい食べ物だけど、毎年多くの死人を出しているらしいわ。
 そして、それを助けるためには吸引型掃除具を使うらしいの。」

 「し、死人が多発する餅の救命方法が掃除具だなんて……
 不思議な食べ物だったんですね……」

 喉に詰まったお餅を掃除機で吸うってのは、割と有名な噂話だからね。

 ただの噂話で本来は危険だから、しちゃダメなんだけどね。

 「まぁ、しっかり噛んでゆっくり食べれば問題なく美味しく食べられる食べ物だから、注意喚起はしておいてね。」

 「わ、分かりました。
 すぐに報告しておきます。」

 「とは言っても、どの食べ物も早食いや粗噛みは体によくないから、しっかり噛むのは当然なんだけどね。」

 「自分も仕事で忙しい時は早食いしてしまうので、気を付けないと。」

 「もう、ケンてば。
 そんなんじゃ身体を壊しちゃうわよ?
 ただでさえ働き過ぎなんだから、とても心配だわ。」

 「フラン様に心配して頂いてとても嬉しいです。」

 「もう、調子に乗っちゃダメよ?」

 「分かってます。」

 「そういえば、私ね、以前この学校の生徒会長とダンスをする事があったんだけど、すごく上手く踊れたの。」

 「フ、フラン様が、上手く……」

 「ええ、みんなとても驚いてたわ。
 ケンにも見せてあげたい程よ。」

 「……自分は、ずっとフラン様のパートナーでいたかったです。」

 「ロナウドより相性良かったものね。」

 「それがとても嬉しくて、誇らしくて。
 十歳の誕生日パーティーで、自分とフラン様が踊る姿を、みんなに見せたかったんです。」

 「ケン……?」

 「背が高くならなければ、ずっとパートナーでいられたのに……
 ロナウド殿下に自分の立場を奪われた気がして、とても悔しかったんです。」

 「ケ、ケンが悪いんじゃないわ。
 私がケンのように背が高くなかったからよ。
 背が高いって事は、ケンの魅力なのよ?
 私、背が高いって凄く憧れてるもの。
 ケンが羨ましいわ。」

 「フラン様……」

 「それに、どれだけ背が高くなっても、ケンはケンよ。
 私たちの関係が壊れる事はないわ。
 私の仕事のパートナーは、貴方しかいないわ。」

 「……自分は仕事以外でもフラン様のパートナーになりたかった……」

 「ケン?」

 「フラン様にポテチとコーラを用意するのも、自分だけの仕事ですよね。」

 「そうよ、ケン程タイミングがバッチリな人、他にはいないもの!」

 「そうですね、今はそれでいいです。」

 そう言って微笑むケンは、昔より大人っぽく色気のある笑顔だった。




 ケンが帰った後、影でいつものように見ていたファンクラブのみんなは、ケンの笑顔に腰抜けになっていた。
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