公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

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163 公爵令嬢は卒業式をする

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 ついにこの日が来る。

 二年生の卒業まであと十日。

 ああ、俺の時は卒業式なんて、ただ寒くて眠くて面倒くさい行事だったのに、私の時にはこれ程切なくなってくるなんて。

 きっと、先輩方と仲良くなれたおかげかな。

 俺は誰ともつるんでなかったから、何にも寂しいことなんてなかったからなぁ。

 来週からは、カーネル前生徒会長、ミラ前副会長、エリックが、この学校からいなくなっちゃう。

 そう思うと、寂しい、と言うか、なんか心の中にぽっかり穴が空いた気分。

 そして、卒業式の準備をするのが、勿論私達生徒会の仕事。

 新生徒会のメンバーだけで行う初仕事。

 午前中は普通の卒業式みたいな事をやって、休憩挟んで午後から卒業パーティ。

 その年の生徒会でする内容はは変わるけど、パーティの進行自体はだいたい毎年同じ。

 うーん、どんな内容の卒業パーティにしようかなぁ。

 

 毎年パーティーの基本はガーデンパーティーが主となっていて、余興をチラホラやりながら、最後は一輪のバラをお世話になった先輩方へ渡す、という流れ。

 バラの花を渡す時に、愛の告白をするのも定番。

 第二ボタン的なアレ。

 俺には一切関係の無かったイベント。

 せっかくだから、もっと何か面白い事をしたい。

 三人は何か意見がないのかな?

 「フランが考えれば、絶対面白いだろ。」

 「そうですね、フランさんのアイデアには外れがありませんから。」

 「私も同感です。
 フラン様に全てお任せします。」

 おいおい、私に全投げするな。

 ちったぁ考えてくれよ。
 

 まず、ガーデンパーティをちょっといじりたい。

 「また着物パーティにするんですか?」

 それじゃあ在り来りすぎるからなぁ。

 「アレを在り来りと言うのは、フランしかいないぞ。」

 それは失礼しました。

 でも、もっと真新しいことしたいしなー。

 ん?在りきたすぎる卒業式?

 これだ!

 アレをやってみよう!

 それで、卒業式定番のやり取りもやっちゃう?

 みんな、他に意見はない?

 「「「いや、もうそれで完成してる。」」」

 だから、ちったぁ考えてくれって!


 あとは会場作りかな。

 いつも通りなら、沢山の花で会場を飾るんだけど、私の思う定番の卒業式に欠かせない花はたったひとつ!

 それには、どうしてもあの人が必要だったから、手伝って貰うことに。

 先生の許可を得て、来てもらおう。

 どうですか、ジョニー先生。

 「いいじゃん、面白ぇじゃねぇか。
 そいつ連れてこい。」

 よし、会場もこれでなんとかなる!

 あとは、ガーデンパーティの食事かな。

 毎年料理は、王宮料理人が用意してくれるんだけど、今年はもっとオリジナルな卒業式をしたい。

 うーん、何がいいかな?

 せっかくだし、新作料理いっちゃいましょうか。

 お祝い事っぽい料理、張り切って作っちゃいましょう!

 そのためには、フィアンマ男爵領へ行かなきゃいけない。

 ただ、往復四日かかる男爵領へ行く程、学校を離れることは出来ない。

 そこで登場。

 チャッチャラチャンチャンチャーン!

 ねーつーきーきゅーうー!

 気球を使えば、往復一日で通える。

 そう、セシル様ならね。

 卒業式前々日に取りに行って、食材を調達したら、急いで帰ってカーネル前生徒会長に最後のお仕事をお願いする。

 「卒業生の私に卒業パーティの手伝いですか?
 やはり、貴女の思考はどうかしてますよ。」

 嫌味を言いながらも、ちゃんと手伝ってくれるカーネル前生徒会長。

 悪いのは口だけだと、一年を通して理解したよ。

 さぁ、これで準備完了!

 明日の卒業式、どうなるかな?



 卒業式当日。

 午前中の卒業式は、毎年通り問題なく進行。

 新生徒会長の私が祝辞、カーネル前生徒会長が答辞を読み上げる。

 これも恒例行事。

 学校長の挨拶の後、国王陛下の挨拶があった。

 これは、卒業式準備の時に初めて知って、かなり驚いた。

 お父さん来てくれるんだって、良かったね、ロナウド。

 「そういう言い方するんじゃねえよ!
 なんか恥ずかしいだろ!」

 ってやり取りしたのも、今では良い思い出。

 十日前の話だけど。

 で、更に驚いたのは、今年からガーデンパーティに国王陛下も参加するんだと。

 それは聞いてない!

 「サプライズだ。
 驚いたであろう?」

 そりゃ、胃が飛び出そうなくらい驚いたよ!

 ジョニー先生知ってたの!?

 「知ってたが、生徒には教えるなって国王陛下が仰ってたからな。」

 せめて生徒会にくらい通達しておいてよ!
 
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