64 / 111
Episode07:I protect you
3
しおりを挟む
ある日、いつものようにタクシーを使って英会話教室に行くと、教室の中で鬼の形相を浮かべた高岡が受付で叫んでいた。
驚いて立ち止まると、高岡は振り返って「どうしたの?すごい探したんだよ?」と勢いよく駆け寄って来た。
まるで萌衣が失踪してしまった生き別れの姉妹かのように振舞う高岡を見て、受付スタッフの人が困惑したような表情を浮かべた。
しかし、萌衣が首を横に振って見せたことで、やはり変な人なのだと判断したらしい受付のスタッフはこっそり警備員を呼んでくれた。
「はいはい。じゃあ、一旦外に出てゆっくり話しましょうね」
「放しなさいよ!私は、あんたに用はないのよ!」
暴れる高岡が、警備員を思い切り殴り飛ばしたことで、警察沙汰となり、近所の交番から来たお巡りさんが高岡を連れて去って行った。
「あの……ご迷惑をおかけいたしましてすみません」
「あの方清水さんのお知り合いだったんですか?」
「最近付きまとわれてて……ちょっと困ってたんです」
「うわあ……大変でしたね」
次の週も高岡が来ていたら、英会話教室を辞めた方がいいのではないかと思っていたが、気配すらも感じなかったので、一件落着ということで萌衣は片付けた。
心配をかけたくなかったということと、まだ英会話教室には通い続けたかったので、その一件についてジャンに伝えることはしなかった。
高岡の件がジャンにバレたのは、会社に萌衣の名前が名指しでクレームがつくようになってからだった。
多くの企業は、お客様コールセンターという部署を抱えている。
そこに顧客が商品についての質問をしたり、商品や店舗でスタッフとあった出来事が様々な意見を通じて届けられたりする。
ROSSETTOにももちろんコールセンターという部署を設置しており、高岡との一件があってから三週間ほど経ってからからのことだった。
「清水萌衣に名誉棄損された。裁判の準備をしている。彼女を今すぐクビにしろ」
TOMOKAと広告会社の社員の人と一緒にオーディションの最終メンバーを調整していた時に、萌衣はジャンに呼び出されたのだ。
「匿名でこんなものが来ていますが、心当たりは?」
一瞬、高岡の顔が頭をよぎったが、彼女に会社を伝えたわけではないし、関係のないことだと処理をして萌衣は首を横に振った。
「特に心当たりはありません」
本人に心当たりもないことと、匿名だったことから悪質な悪戯だと判断された。
しかし、「清水萌衣に名誉棄損された」という電話は非通知設定で様々な場所から毎日電話がかかってきて、社内でも大きな話題となってしまった。
驚いて立ち止まると、高岡は振り返って「どうしたの?すごい探したんだよ?」と勢いよく駆け寄って来た。
まるで萌衣が失踪してしまった生き別れの姉妹かのように振舞う高岡を見て、受付スタッフの人が困惑したような表情を浮かべた。
しかし、萌衣が首を横に振って見せたことで、やはり変な人なのだと判断したらしい受付のスタッフはこっそり警備員を呼んでくれた。
「はいはい。じゃあ、一旦外に出てゆっくり話しましょうね」
「放しなさいよ!私は、あんたに用はないのよ!」
暴れる高岡が、警備員を思い切り殴り飛ばしたことで、警察沙汰となり、近所の交番から来たお巡りさんが高岡を連れて去って行った。
「あの……ご迷惑をおかけいたしましてすみません」
「あの方清水さんのお知り合いだったんですか?」
「最近付きまとわれてて……ちょっと困ってたんです」
「うわあ……大変でしたね」
次の週も高岡が来ていたら、英会話教室を辞めた方がいいのではないかと思っていたが、気配すらも感じなかったので、一件落着ということで萌衣は片付けた。
心配をかけたくなかったということと、まだ英会話教室には通い続けたかったので、その一件についてジャンに伝えることはしなかった。
高岡の件がジャンにバレたのは、会社に萌衣の名前が名指しでクレームがつくようになってからだった。
多くの企業は、お客様コールセンターという部署を抱えている。
そこに顧客が商品についての質問をしたり、商品や店舗でスタッフとあった出来事が様々な意見を通じて届けられたりする。
ROSSETTOにももちろんコールセンターという部署を設置しており、高岡との一件があってから三週間ほど経ってからからのことだった。
「清水萌衣に名誉棄損された。裁判の準備をしている。彼女を今すぐクビにしろ」
TOMOKAと広告会社の社員の人と一緒にオーディションの最終メンバーを調整していた時に、萌衣はジャンに呼び出されたのだ。
「匿名でこんなものが来ていますが、心当たりは?」
一瞬、高岡の顔が頭をよぎったが、彼女に会社を伝えたわけではないし、関係のないことだと処理をして萌衣は首を横に振った。
「特に心当たりはありません」
本人に心当たりもないことと、匿名だったことから悪質な悪戯だと判断された。
しかし、「清水萌衣に名誉棄損された」という電話は非通知設定で様々な場所から毎日電話がかかってきて、社内でも大きな話題となってしまった。
1
あなたにおすすめの小説
クラスで3番目に可愛い無口なあの子が実は手話で話しているのを俺だけが知っている
夏見ナイ
恋愛
俺のクラスにいる月宮雫は、誰も寄せ付けないクールな美少女。そのミステリアスな雰囲気から『クラスで3番目に可愛い子』と呼ばれているが、いつも一人で、誰とも話さない。
ある放課後、俺は彼女が指先で言葉を紡ぐ――手話で話している姿を目撃してしまう。好奇心から手話を覚えた俺が、勇気を出して話しかけた瞬間、二人だけの秘密の世界が始まった。
無口でクール? とんでもない。本当の彼女は、よく笑い、よく拗ねる、最高に可愛いおしゃべりな女の子だったのだ。
クールな君の本当の姿と甘える仕草は、俺だけが知っている。これは、世界一甘くて尊い、静かな恋の物語。
好きな人の好きな人
ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。"
初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。
恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。
そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
先輩、お久しぶりです
吉生伊織
恋愛
若宮千春 大手不動産会社
秘書課
×
藤井昂良 大手不動産会社
経営企画本部
『陵介とデキてたんなら俺も邪魔してたよな。
もうこれからは誘わないし、誘ってこないでくれ』
大学生の時に起きたちょっとした誤解で、先輩への片想いはあっけなく終わってしまった。
誤解を解きたくて探し回っていたが見つけられず、そのまま音信不通に。
もう会うことは叶わないと思っていた数年後、社会人になってから偶然再会。
――それも同じ会社で働いていた!?
音信不通になるほど嫌われていたはずなのに、徐々に距離が縮む二人。
打ち解けあっていくうちに、先輩は徐々に甘くなっていき……
たとえば、この恋に終わりがないと言われても──
永江寧々
恋愛
王妃アストリッドは、夫であるエルヴァング国王・フィルングの死後、無実の罪で処刑を宣告される。
死を覚悟したその日──彼女を救ったのは、かつての“異国の客人”であり、砂漠の帝国ラフナディールの皇帝・ザファルだった。
処刑台から連れ出され、異郷の地に身を寄せたアストリッド。
だが、彼女を待っていたのは、異なる風習、そして七人の側室を抱える一夫多妻の宮廷。
常識すら違う異国の地で過ごしながら傷ついた心を少しずつ癒していく。
侍女イヴァとの友情、故国に残してきた思い、そしてザファルとの静かな絆──
奪われた地位と尊厳の中でも、彼女は再び“自分”という種を芽吹かせようとしていた。
「王妃ではなくなった今、ただ一人の女として生きてみたいの」
忘れられない人がいる。愛してやまない人がいる。
それでも、その苦しみの中で新たな愛を知ったとき──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる