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330ダンジョン

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ダンジョンの入口は町の中にあり、入口は巨大な塀に囲まれ神殿の様な物が建てられていた。
この神殿はダンジョンが出来た時代から在るらしい。
クロイツ公爵はダンジョンまでは付き合わず、町で仕事が有るらしい。

「町中にダンジョンの入口があるって珍しいですよね?」
「確かに珍しいけど、これは町を拡張してダンジョンを取り込んだのよ。」
「ロビンさん、詳しいですね。」
「そこに書いてあるのを、以前読んだから。」

ロビンが指し示す場所を見ると、ダンジョンや町の歴史が掛かれている石碑が有った。
元々は町とダンジョンの入口は離れた所にあり、神殿だけが作られていた。
その内、町と神殿の間に立派な街道が出来、その街道を囲む形で町が大きくなっていった。
拓としては守護龍の伝承、今の瘴気の吹き溜まりから人々を守る手段が有れば良いと思っていた。

先ずは神殿に入ってみると、ここでも祭られているのは黒い球体

「ここのダンジョンのコアは黒い球体なんですか?」
「違うわね。以前見たことがあるけど、淡い青色の四角形だったわ。」
「黒い球体って、コアでなく力か何かの象徴なんじゃない。」

ロビンとジェニファーの話を聞いて、拓は元の世界での龍が持つ宝珠を想像していた。
何処の世界でもエネルギーを凝縮したものをイメージすると球体になるのかもしれないと。

船乗り達の様に、黒い球体にダンジョン探索の安全を祈り入口へ向かう。
このダンジョンを攻める冒険者は多く、巨大だが安全に管理されている。
光る岩の洞窟を下へと進むと、人工的な壁がそびえていた。

「ここからが本番ですね。とりあえずはコアのある部屋を目指しましょう。
 しかし、本当に左右対称に出来てるダンジョンなんですね。」

ダンジョンは円形をしていて、広がる様に巨大化を続けている。
コアの部屋はその中心に有った。
ポトリ教授は、このダンジョンを美しい造形と言っていたが、冒険者にとって危険としか言いようが無かった。
通路は何処も同じ様な感じになっていて、道を見失い易い。
そして、道が曲がり先が見通せず、絶えず緊張することになる。
安全に管理されているのは、貴族の私兵が定期的に入っては魔獣討伐を行っているからだ。
そして魔獣の素材目当ての冒険者が多く集まっている。

「今日はここに泊まることにしましょう。」

ダンジョンの一角にある休憩所でテントを張ると拓は調理済みのヘビモス丼とサラダやスープを取り出して皆に配る。

「美味しいわ。地底湖の魔獣の肉まで有ると、何を食べて良いのか迷うわね。」
「ダンジョンに来て正解だったわ。」

OZ以外のメンバーは「拓に何か有っては問題になる」と言ってダンジョンに付き合っているのだが
今回の旅の間は、高級肉、伝説の肉の食べ放題という理由も大きい。
いや、それが殆どだと言って良いだろう。
クロイツ公爵が登場したため、このダンジョンではヘビモスの肉を食べ続ける予定になっている。

このメンバーならダンジョンの魔獣なら問題なく退治することが出来、2日目にコアの部屋へと到着した。
神殿の様な作りの部屋の中央で、青い半透明の多角柱のコアが浮いている。
拓は魔力を通す場所を避けながら近づいて行くと、結界によって阻まれる。

「コアを破壊したダンジョンも有りますよね。この結界はどうやって解除したのです?」
「その辺は国の機密となっているので、詳細までは分かりませんが、
 大掛かりな魔道具を設置し無理やりこじ開けてコアを壊すと聞いています。」

拓の疑問にエチゴが答えてくれた。
拓は調べ隠し部屋や通路が無いか、壁などに何か記述がないかと調べてみたが何も発見する事は出来なかった。

次に反対側の龍王の伝承の村へと続く崩れた洞窟を調べてみる事に。
全力の探索魔法で確認すると、確かに村の方に上へと向かっている。
しかし、どう考えても、龍王の伝承の村で見た崩れた入口の場所に届く前に地上に出てしまう。
しかし地上と違い、調べられる距離が短く細かい所までは分からない。

「それは、途中が平坦になっているんじゃないか?」

ガラの言う通りなのかもしれないが、何故そこまで遠くに出口を作る必要が有ったのか気になる所だ。
地中に対し探索魔法を行うと、遠くまで調べられず、細かい事も分からない。
地図で確認すると、龍王の伝承の村まで20キロはあるので地上でも探索魔法で調べる事は出来ない・・・
とりあえず、拓の探索魔法で調べられる範囲での情報を地図に書き写しておく。
後は王都に戻って、ポトリ教授に話を伺う事にする。
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