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343連携
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街道には拓が作った休憩所が在るが、あくまでも馬車で移動する人用で徒歩で移動するには距離がある。
その為、急いでも休憩所の間で一泊する必要が有った。
今回試験を受けている冒険者達からは
「休憩所がもう少し近い間隔に有ると良いのにな。」
「こればかりは仕方ない。あんな休憩所を大量に作れるわけ無いだろ。」
「だよな。せめて間に小さいのが1つ有れば助かるんだけどな。」
そんな声が聞こえてくる。
「ほら、お前達。今夜は野営だ。休める奴は早く休め。」
美形の兵士に言われ冒険者達は見張りを残してテントに入る。
拓は探索魔法を使って広範囲を調べてみても、強い魔獣の気配が無いのでサブとテントに戻ることに。
「サブ、やっぱり休憩所の数は少なすぎるか?」
「数が有っても、管理できないだろ。今の状況で良いんじゃないか?
瘴気の吹き溜まりが収まれば必要も無くなるだろうし。」
拓は「そうか」と言って眠った。
やはり休憩所で休むのと野営をするのでは負担は違い、久しぶりに真面目に野営を行うと精神的にも肉体的にも疲れてしまう。
せめて食事くらいはと拓はクロイツ公爵に断り固焼きパンを野菜と煮込んでスープにし、干し肉をスライスして味付けの1つに使う。
魔獣を引き寄せない様に、香りは付けない。
相変わらず魔獣退治において斥候と前衛の1人の動きが合わせずらいが、拓が他の冒険者達との連携が上手く取れるようになったころ町に辿り着いた。
町でも護衛は続くが、宿に泊まることができ気にせずに気楽に居られる。
ただ、4人で1部屋なので禁欲生活は続く・・・
サブ以外の冒険者から見て、拓の存在は異質だった。
今回のAランク試験においての実技試験は有名で、今回参加している冒険者の中にも実際に見ていた者も居る。
陰で言われている2つ名は「闇の悪魔」
拓も冒険者達と距離感を感じていたので、他の冒険者とは連携の話をするが雑談は殆どしない。
一緒の部屋になって何も話さないのも不自然なので、ベットで横になっていた拓に冒険者が話しかけてみた。
拓が村人に慕われ、怪我人を治療しているのを見て少し見方が変わってきていた。
「拓って、複数の魔法が使えるけど、何で1つに絞らなかったんだ?」
「えっ?」
突然話しかけられて、拓は驚いたが直ぐに応える。
「俺は魔法の師匠が居なくて、便利だと思って色々な魔法に手を出してしまったんだ。
お陰で、ちょっと中途半端な魔導士になってしまったけどね。」
「いや、それだけの魔法を使えるのは凄いよ。十分にAランク冒険者としてやっていける。」
「Aランク冒険者か・・・なれると良いけどね。」
「拓が駄目なら、俺達は完全に駄目だよ。」
「どうだろう。試験って何をチェックされているのか分からないから大変だよね。」
一瞬間が開いて、冒険者が話を続けた。
「でも今回の移動で、拓の料理が有って助かったよ。」
「あの料理は簡単だよ。作り方を教えようか?」
町に居る間、少し自由時間が有るので硬いパンをまともに食べる為の材料を購入しスープの味付け方法を教える。
但し、魔獣を引き寄せない様に香りは無い。
実際に宿の調理場を使って味付けをしてみると、なかなか好評で粉の調味料と水が有れば食べれる料理に出来るようになった。
これがきっかけで冒険者達は気さくに拓と話せるようになっていた。
町を出た後は、拓と冒険者達との関係も良くなり魔獣討伐で拓は攻撃魔法も使ってサポートをする様になっていた。
それなりに強い魔獣も現れたが、受験者だけで十分に対応し問題なく王都へ戻って来た。
そのままギルド会館に向かい、受講者は部屋で待機する。
そして、ギルド長がやって来て今回の結果を発表。
残念ながら全員合格とはならず、魔獣退治で突発的な動きをしていた斥候と前衛の1人・・・2人が脱落。
「お前達は、個人の実力としては問題ない。ただ、連携となると厳しい所がある。」
そのまま練習場へと移動し、サブを抜いた今回の受験者とギルド長とで試合を行う事になった。
拓は飛び出した2人に合わせてシールドを張ってギルド長の攻撃を防ぐ。
何とか戦っていたが戦力差は大きく、拓以外は殲滅。
さすがに拓でも、このメンバーを守りながらギルド長の攻撃を防ぎ続けるのは難しかった。
「次、拓を抜いてもう一度。」
拓のサポートが無くなったパーティは、今回不合格となった2人がギルド長へ突っ込み簡単に倒されていた。
残り3人もギルド長によって直ぐに全滅。
「自分達がどれだけ考えなしで動いていたか分かるか?」
ギルド長が今回落ちた2人に話しかける。
「あれは防御の魔法が使える魔導士が居なかったから。」
「今まで組んでいたパーティで、お前達の動きに合わせられた魔導士は居たか?
それに、魔導士が居なくても同じ行動をして良い訳が無いだろ。」
話はそこまでとなり、合格者には新しいギルドカードが渡された。
その為、急いでも休憩所の間で一泊する必要が有った。
今回試験を受けている冒険者達からは
「休憩所がもう少し近い間隔に有ると良いのにな。」
「こればかりは仕方ない。あんな休憩所を大量に作れるわけ無いだろ。」
「だよな。せめて間に小さいのが1つ有れば助かるんだけどな。」
そんな声が聞こえてくる。
「ほら、お前達。今夜は野営だ。休める奴は早く休め。」
美形の兵士に言われ冒険者達は見張りを残してテントに入る。
拓は探索魔法を使って広範囲を調べてみても、強い魔獣の気配が無いのでサブとテントに戻ることに。
「サブ、やっぱり休憩所の数は少なすぎるか?」
「数が有っても、管理できないだろ。今の状況で良いんじゃないか?
瘴気の吹き溜まりが収まれば必要も無くなるだろうし。」
拓は「そうか」と言って眠った。
やはり休憩所で休むのと野営をするのでは負担は違い、久しぶりに真面目に野営を行うと精神的にも肉体的にも疲れてしまう。
せめて食事くらいはと拓はクロイツ公爵に断り固焼きパンを野菜と煮込んでスープにし、干し肉をスライスして味付けの1つに使う。
魔獣を引き寄せない様に、香りは付けない。
相変わらず魔獣退治において斥候と前衛の1人の動きが合わせずらいが、拓が他の冒険者達との連携が上手く取れるようになったころ町に辿り着いた。
町でも護衛は続くが、宿に泊まることができ気にせずに気楽に居られる。
ただ、4人で1部屋なので禁欲生活は続く・・・
サブ以外の冒険者から見て、拓の存在は異質だった。
今回のAランク試験においての実技試験は有名で、今回参加している冒険者の中にも実際に見ていた者も居る。
陰で言われている2つ名は「闇の悪魔」
拓も冒険者達と距離感を感じていたので、他の冒険者とは連携の話をするが雑談は殆どしない。
一緒の部屋になって何も話さないのも不自然なので、ベットで横になっていた拓に冒険者が話しかけてみた。
拓が村人に慕われ、怪我人を治療しているのを見て少し見方が変わってきていた。
「拓って、複数の魔法が使えるけど、何で1つに絞らなかったんだ?」
「えっ?」
突然話しかけられて、拓は驚いたが直ぐに応える。
「俺は魔法の師匠が居なくて、便利だと思って色々な魔法に手を出してしまったんだ。
お陰で、ちょっと中途半端な魔導士になってしまったけどね。」
「いや、それだけの魔法を使えるのは凄いよ。十分にAランク冒険者としてやっていける。」
「Aランク冒険者か・・・なれると良いけどね。」
「拓が駄目なら、俺達は完全に駄目だよ。」
「どうだろう。試験って何をチェックされているのか分からないから大変だよね。」
一瞬間が開いて、冒険者が話を続けた。
「でも今回の移動で、拓の料理が有って助かったよ。」
「あの料理は簡単だよ。作り方を教えようか?」
町に居る間、少し自由時間が有るので硬いパンをまともに食べる為の材料を購入しスープの味付け方法を教える。
但し、魔獣を引き寄せない様に香りは無い。
実際に宿の調理場を使って味付けをしてみると、なかなか好評で粉の調味料と水が有れば食べれる料理に出来るようになった。
これがきっかけで冒険者達は気さくに拓と話せるようになっていた。
町を出た後は、拓と冒険者達との関係も良くなり魔獣討伐で拓は攻撃魔法も使ってサポートをする様になっていた。
それなりに強い魔獣も現れたが、受験者だけで十分に対応し問題なく王都へ戻って来た。
そのままギルド会館に向かい、受講者は部屋で待機する。
そして、ギルド長がやって来て今回の結果を発表。
残念ながら全員合格とはならず、魔獣退治で突発的な動きをしていた斥候と前衛の1人・・・2人が脱落。
「お前達は、個人の実力としては問題ない。ただ、連携となると厳しい所がある。」
そのまま練習場へと移動し、サブを抜いた今回の受験者とギルド長とで試合を行う事になった。
拓は飛び出した2人に合わせてシールドを張ってギルド長の攻撃を防ぐ。
何とか戦っていたが戦力差は大きく、拓以外は殲滅。
さすがに拓でも、このメンバーを守りながらギルド長の攻撃を防ぎ続けるのは難しかった。
「次、拓を抜いてもう一度。」
拓のサポートが無くなったパーティは、今回不合格となった2人がギルド長へ突っ込み簡単に倒されていた。
残り3人もギルド長によって直ぐに全滅。
「自分達がどれだけ考えなしで動いていたか分かるか?」
ギルド長が今回落ちた2人に話しかける。
「あれは防御の魔法が使える魔導士が居なかったから。」
「今まで組んでいたパーティで、お前達の動きに合わせられた魔導士は居たか?
それに、魔導士が居なくても同じ行動をして良い訳が無いだろ。」
話はそこまでとなり、合格者には新しいギルドカードが渡された。
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