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414キラーアント

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村を出発し、引き続き拓は休憩所を作り上げ、夕方には湯を作り出しては兵士達の身体を眺めていた。
そんな中、兵士達が持っている通信の魔道具に連絡が入った。

「拓殿、エチゴ殿、キラーアントの大群が現れました。
 現在、領主だけでなく王都からも出兵するそうです。直ぐにこの場を離れます。」

拓がキラーアントにつてい確認すると巨大な蟻の様な魔物で体は固い甲殻に覆われていて魔法にも抵抗力が有る。
あごの力は強く、人間くらい簡単に食いちぎる事が出来る。
そして何よりも、数の脅威が存在する。何万というキラーアントが波の様に襲ってくる。
壁は乗り越え、水も渡る。止めるなら火の壁が必要だった。

「火や氷が弱点となりますが、中級魔法だと眉間を狙わないと倒せません。
 ここはこの場を離れ、勇者様や上級魔導士が到着するのを待ちましょう。」

兵士が提案するがキラーアントの移動速度を考えると近い村が2つは潰されてしまう。
拓がエチゴに単独行動を願い出ると

「それは良いですが、大丈夫ですか?」
「倒しきれないとしても、俺の攻撃でおびき寄せ村人が逃げる時間を稼ぐことくらいは出来ます。」

エチゴが拓に許可を出そうとすると、ガラとレオが待ったをかける。

「俺達も拓に付き合う。エチゴさん、この件はOZとして対応させてください。」
「分かりました。我々はこの先の村で人々が逃げる手伝いを行います。OZの皆さんも気を付けてください。」

貴族の兵士は2手に分かれ、3人がキラーアントを倒しに行こうとするOZに付き添うことになった。

「馬ならキラーアントより早く動けます。引付役としては最も適しています。」

拓、ガラ、レオは兵士達の馬の後ろに乗り、キラーアントの移動先に向かう。
森の手前まで来た所で待機すると、森の中から1m以上もあるキラーアントが現れた。
1匹現れたかと思うと、後ろからぞろぞろと赤黒い波の様に大量に・・・

兵士達が馬を走らせようとするのを拓が止める。
そして、拓の周囲には何十もの火の玉が浮かんでいた。

「合図を出したら馬を走らせてください。いくぞ。」

拓の掛け声と共に大量の火炎弾がキラーアントに向かって縦横無尽に飛んでいく。
火炎弾はキラーアントの眉間に当たり倒れていくが、その屍を乗り越え新たなキラーアントが襲ってくる。
拓は眼を瞑り探索魔法を使いながらキラーアントを退治し続けるが、大量のキラーアントを倒しきれない。

「キラーアントから離れない速度で馬を走らせろ。」

ほぼ全てのキラーアントが拓の攻撃に引かれて後を追い、馬上から拓は魔法攻撃を続けていた。

「少しスピードを上げて距離を取った所で馬を止めてください。」

兵士の体を掴んで体を支えながらの攻撃は、拓でも難しく眉間を狙い撃ちするのは難しかった。
少し離れては攻撃を行う事を続けていたが、流石の拓でも魔力が切れて来る。

「拓、大丈夫か?」

ガラが心配で声を掛けると、拓はヘビモスの魔石をはめ込んだ腕輪をかざす。

「未だ大丈夫。」

そして腕輪に貯めていた魔力を開放し再び大量の火炎弾を放ち始めた。
火炎弾を放っているのはたった1人の魔導士。たった1人で行っているという現実に兵士達は頭が付いて行けない。

「これが、拓殿の攻撃力なのか。免責札を渡されるだけの実力者・・・」

拓の攻撃は中級魔法だが大量の攻撃を的確にキラーアントの眉間に当てている。
巨大な魔力だけでなく恐ろしい程の集中力と魔力操作・・・兵士達には信じられない光景だった。

「拓殿、これ以上先に進むと、森の中に入ってしまいます。」
「なら、馬を止めて最後の一斉攻撃を行う。ガラ、レオ、うち漏らした奴の始末を頼む。」

兵士が馬を止めると、拓は地面に飛び降り今まで以上の魔力弾を放ち、ガラとレオは拓の横で剣を構え、兵士達も並んで剣を抜く。
ヘビモスの魔石に貯め込んでいた魔力を使い切る前に、全てのキラーアントの動きが止まった。
馬が走って来た数キロの草原には何万というキラーアントの死骸が連なり、目の前にはキラーアントの山が出来上がっている。
兵士達が剣を収めようとするが拓が叫ぶ。

「未だだ。後ろからデカいのが来る。」

キラーアントの山が崩れ、現れたのは5mはある巨大なキラーアント・・・キラーアントクィーン。
拓が眉間に火炎弾を当てるが倒すことが出来ない。
それどころか、土魔法を放ち拓達を襲う。
拓が何とか攻撃を避けるが、魔法を使い過ぎて体が重い。

「拓、サポートを行けるか?」「任せておけ。」

ガラに言われ拓が腕輪に残っている魔力を全て自分の体に移す。

「行くぞレオ。」「おう、兵士は拓の護衛を頼む。」

兵士達は拓を守るように剣を構えて立つと、ガラとレオがキラーアントクィーンに向かって走る。
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