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435太っ腹
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ズゲベ侯爵の領地へ出発の日、クロイツ公爵の屋敷に伺うと、おっとりした感じのクロイツ公爵夫人と息子を紹介された。
拓は屋敷には何度も伺っていたのだが一度も見かけていなかったので不思議に思っていると、王都から離れた自分の領地て暮らしていたと説明された。
今回の結婚式には夫人も同行する。
「OZの皆様、お久しぶりです。休憩所のお陰で、問題なく王都に戻ってくることが出来ました。」
拓は何処で会ったのかも分からずにいると、夫人が休憩所を作った時に屋敷で食事を御馳走になっていたらしい。
貴族に全く興味が無かった拓は、本当に相手の事を覚えていなかった。
夫人にしても、クロイツ公爵の領地だと言わずに対応していた。それはクロイツ公爵から拓に気を使わせない為にと言われていた事だった。
「しかし、顔も覚えていないとはな・・・今度、私の領地として招待しよう。
顔合わせも終わった所で、出発しようか。」
クロイツ公爵の用意した馬車に乗り、女性2名を含んだ10名の護衛を付けてズゲベ侯爵の領地へ出発した。
ルートは湖による以外はクロイツ公爵の派閥の領地を動く。
途中、改造をしていない休憩所も有るが、その辺はエチゴの商隊として動くときに行い、今回は途中で寄る村での治療と倒した魔獣を卸す事だけを行う。
「それにしても、貴族の馬車は乗り心地が良いですね。」
「エチゴ殿の馬車だと、荷物を運ぶことが中心になるからな。仕方ないだろう。」
それは拓も分かっているが、それでも贅沢な乗り心地だ。
スプリングに良いのを使っているのか、振動も少ない。
OZだけの場合、拓の魔法で空を飛んでしまえば良いのだが、魔獣騒動が落ち着いたらこんな馬車での優雅な旅にも憧れる。
それにしても
「貴方とこうして旅をするのも久しぶりですね。」
「そうだな。災害が起きてからは一緒に過ごす事も出来なかった。苦労を掛ける。」
「苦労だなんて・・・貴方も体には気を付けてくださいね。」
「分かっている。お前も気を付けてくれよ。」
このクロイツ公爵夫婦・・・仲が良い。
拓は普段とは違うクロイツ公爵に少し微笑ましく感じてしまう。こんな表情もするのかと・・・
私兵が護衛をしているのでOZの出番はなく、倒した魔獣を拓が収納するだけ。
村に着いた所で魔獣を売りたかったが、そこは公爵の同行のため村人に無償提供。
その代わり村人には素材を使って料理を提供してもらい、拓には魔獣を運ぶ手間賃が支払われる。
「公爵って太っ腹ですよね。」
「何を言っている。拓殿は無料で治療を行っているじゃないか。
それに村人も拓殿に料理を振舞えると喜んでいたぞ。」
「有難いですが、私の場合は肉を買ってもらうオマケですから。それに無視できるほど神経が図太くないですしね。」
拓はクロイツ公爵に断りを入れ村人の治療を行なう事にする。
治療にはクロイツ公爵が連れてきた治癒魔導士が手伝ってくれたのだが、拓の治療が気になっていた。
「この人数なら私1人でも十分に対応できるので、良ければ私の治療を見て頂いて意見を頂けないでしょうか。」
治癒魔導士はまさかハックと同じような形で拓の治療を観察できるとは思ってなく、驚きながらも礼を言って観察をさせてもらう事にした。
凄いとは分かっていたが実際に患者に魔力を流して確認すると、拓の技術は想像以上だった。
治癒魔法と探索魔法を融合させた新たな治療・・・治癒魔導士の間でも話題の治療方法だったが、これほどまでとは。
しかし、これは魔法だけでなく拓の知識、集中力と多くの患者を治療し続けてきた経験が形になったものなのだろう。
「正直、私の方から拓殿に申し上げる事は何も有りません。治癒魔導士として尊敬する腕です。」
「そう言って頂けるのは嬉しいですが、最近はハックの兄弟子を名乗るのも厳しくなってきて大変なんですよ。
何よりも、私には皆さんの様な覚悟は無いですから・・・」
『覚悟?』治癒魔導士には拓の言いたい事が理解できなかった。
拓は屋敷には何度も伺っていたのだが一度も見かけていなかったので不思議に思っていると、王都から離れた自分の領地て暮らしていたと説明された。
今回の結婚式には夫人も同行する。
「OZの皆様、お久しぶりです。休憩所のお陰で、問題なく王都に戻ってくることが出来ました。」
拓は何処で会ったのかも分からずにいると、夫人が休憩所を作った時に屋敷で食事を御馳走になっていたらしい。
貴族に全く興味が無かった拓は、本当に相手の事を覚えていなかった。
夫人にしても、クロイツ公爵の領地だと言わずに対応していた。それはクロイツ公爵から拓に気を使わせない為にと言われていた事だった。
「しかし、顔も覚えていないとはな・・・今度、私の領地として招待しよう。
顔合わせも終わった所で、出発しようか。」
クロイツ公爵の用意した馬車に乗り、女性2名を含んだ10名の護衛を付けてズゲベ侯爵の領地へ出発した。
ルートは湖による以外はクロイツ公爵の派閥の領地を動く。
途中、改造をしていない休憩所も有るが、その辺はエチゴの商隊として動くときに行い、今回は途中で寄る村での治療と倒した魔獣を卸す事だけを行う。
「それにしても、貴族の馬車は乗り心地が良いですね。」
「エチゴ殿の馬車だと、荷物を運ぶことが中心になるからな。仕方ないだろう。」
それは拓も分かっているが、それでも贅沢な乗り心地だ。
スプリングに良いのを使っているのか、振動も少ない。
OZだけの場合、拓の魔法で空を飛んでしまえば良いのだが、魔獣騒動が落ち着いたらこんな馬車での優雅な旅にも憧れる。
それにしても
「貴方とこうして旅をするのも久しぶりですね。」
「そうだな。災害が起きてからは一緒に過ごす事も出来なかった。苦労を掛ける。」
「苦労だなんて・・・貴方も体には気を付けてくださいね。」
「分かっている。お前も気を付けてくれよ。」
このクロイツ公爵夫婦・・・仲が良い。
拓は普段とは違うクロイツ公爵に少し微笑ましく感じてしまう。こんな表情もするのかと・・・
私兵が護衛をしているのでOZの出番はなく、倒した魔獣を拓が収納するだけ。
村に着いた所で魔獣を売りたかったが、そこは公爵の同行のため村人に無償提供。
その代わり村人には素材を使って料理を提供してもらい、拓には魔獣を運ぶ手間賃が支払われる。
「公爵って太っ腹ですよね。」
「何を言っている。拓殿は無料で治療を行っているじゃないか。
それに村人も拓殿に料理を振舞えると喜んでいたぞ。」
「有難いですが、私の場合は肉を買ってもらうオマケですから。それに無視できるほど神経が図太くないですしね。」
拓はクロイツ公爵に断りを入れ村人の治療を行なう事にする。
治療にはクロイツ公爵が連れてきた治癒魔導士が手伝ってくれたのだが、拓の治療が気になっていた。
「この人数なら私1人でも十分に対応できるので、良ければ私の治療を見て頂いて意見を頂けないでしょうか。」
治癒魔導士はまさかハックと同じような形で拓の治療を観察できるとは思ってなく、驚きながらも礼を言って観察をさせてもらう事にした。
凄いとは分かっていたが実際に患者に魔力を流して確認すると、拓の技術は想像以上だった。
治癒魔法と探索魔法を融合させた新たな治療・・・治癒魔導士の間でも話題の治療方法だったが、これほどまでとは。
しかし、これは魔法だけでなく拓の知識、集中力と多くの患者を治療し続けてきた経験が形になったものなのだろう。
「正直、私の方から拓殿に申し上げる事は何も有りません。治癒魔導士として尊敬する腕です。」
「そう言って頂けるのは嬉しいですが、最近はハックの兄弟子を名乗るのも厳しくなってきて大変なんですよ。
何よりも、私には皆さんの様な覚悟は無いですから・・・」
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