異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

文字の大きさ
245 / 761

245魂の安定

しおりを挟む
「その魔道具はどうなったのですか。」

「アブラムとムーサーが勇者様に返すと言って持って行った。
 言われたよ、『勇者様を裏切った者に呪いが降りかかったんだ』とね。
 アブラムは勇者様に教えを乞うために神殿に来た様なものだからな。」

「貴方は、その魂に干渉する魔道具で何をしようとしたんです。」

「分からない。あの時は、ただ魔道具を起動させる事で頭がいっぱいだった。」

何を成し遂げたいでは無く、行動をする事が目的になっていると言う事か。
正直ウルトラアイで見ても真っ黒なオーラしか見えず判断は出来ないが、嘘をついていないと思う。
もしかすると、罪の重みや、長い年月で本当の目的を忘れてしまったとか。

「ちなみに、アブラムとムーサーのその後はどうなったのですか。」

「それも分からない。
 我々をアンデットにした魔法陣、あれは長い間結界として作用し外には出れなかった。
 多分、不安定な状態だったのだろう。その間にアンデットの体へと安定していくを感じた。」

魂の研究に、アンデットへの体を改造する魔道具。物騒な感じしかしないな。
アブラムとムーサーについて詳しく聞いてみると
アブラムは魂の研究をしていた。
勇者様に常に付き従い、色々と教えを請い、独自の理論を構築していったらしい。
彼の研究は、他人に公開されたのは初めだけで、徐々に隠匿されていった。
ムーサーは神殿の治安部隊で活動していたが、いつしかアブラム個人の専属護衛となった。
2人の存在は神殿の中で浮き、隠匿していたのは、研究が進んでいないからだと陰口を言われていたが
結局、最後まで勇者様を信じていたのは2人だけだったらしい。

「この様な、愚か者の願いを叶えてもらえないだろうか。」

これだけの力を持つリッチが俺に頭を下げる。

「分かりました。どこまで出来るか自身が有りませんが、その依頼を受けます。」

「おいおい拓ちゃん、あれだけの人数を浄化させるなんて大丈夫なのか。」

浩司が心配そうに聞いてくるが

「出来る範囲で対応するだけで、無理はしないよ。ただ、この世をさまよい続ける苦悩を断ち切ってあげたいしね。」

「ありがとう。仲間を宜しく頼む。」

そう言って、リッチは再び頭を下げた。

「その礼という訳ではないが、お主の魂を安定させることが出来るがどうする。」

「「魂の安定?」」

リッチの話では、俺の魂は普通の人とは違い不安定な状態に有るらしい。
普通なら徐々に拡散してしまう所を、体内の魔力が押し留めている。

『そうじゃったのか、それで大量の魔力を使ったり、攻撃魔法を使うと反動が大きかったんじゃな。』

魂が不安定とどう繋がるのか分からずにいると

『大量の魔力を使うと、魂が拡散しようとしてしまうんじゃ。
 そして拒否感が有る攻撃魔法は、精神的苦痛が体に直接響いてしまう。』

「その通りだ。そして私がお主の頭に直接話しかけられたのもそのためだろう。
 魂が不安定な為、相手に同調し易い状態だと思われる。」

つまり、相手の影響を受けやすいという事なんだろう。

「だとしたら、俺の魂が安定するとグリムと話せなくなるのか。」

「グリムとはアイテムボックスの中に居る存在か。
 それは大丈夫だろう。既に魂が強い繋がりを持っている。一緒に居た魔獣や、そこにいる彼も同様だ。
 お主を経由してお互いに結び付きが強くなったのだろう。」

しかし、リッチは何故ここまで詳しいんだ。

「私がお主の魂の事が分かるのが不思議なのか。」

俺の考えが読まれている。

「考えを読んでいるのではない。お主は考えが顔に出やすいだけだ。
 我々神官は、魂について研究を行っていた。生きるとは、死ぬとはどういう事か。
 アンデットになってからは、魂を感じる事が出来るようになった。
 それに、私は勇者様から魂について、色々と教えて頂いたからな。」

俺は魂の安定をしてもらう為、リッチの用意した魔法陣の中に立った。

「では、いくぞ。」

リッチが何やら呪文を唱え、魔法陣が輝くと周囲の魔力が俺に流れ込んでくるのが分かる。
周囲が淡い光に覆われ、体が浮かび、全身が心地良い魔力で満たされる。
時間にして数十分だろうか。

「拓ちゃん、大丈夫か。」

浩司が心配して聞いてくる。

「う~ん、本当に気持ち良くって、またやってもらいたい気分かな。」

凄くすがすがしく、体が軽くなった感じがする。

「問題なく、魂が安定したみたいだな。どうした。何か気になる事でも有るのか。」

俺が、周囲を見渡しているのを見て、リッチが問いかけてくる。

「この部屋に充満していた魔力が薄く感じるので、俺の感覚が鈍くなったのかと思って。」

「いや、実際に魔力は薄まっている。お主の魂を安定させるのに使ったからな。」

これ程の、魔力を必要とするのか。
簡単に出来る魔法では無いという事か。それよりも

「グリム、俺と話は出来るか。」

『儂の方は問題ない。どうじゃ、拓も浩司も儂の声が聞こえるか。』

「問題なく聞えているよ。浩司は」

「俺も方も、問題なく聞える。」

『吾輩も何とか聞えるにゃ。』

ヤマトは離れている為か、聞えずらいが会話が出来る。問題無くて良かった。
時間がかかるので、とりあえず全員ムハンマの神殿に来てもらった方が良いだろう。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...