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EP1 - 日常なんて
第34話
しおりを挟むグッ
腕の筋肉が弛緩する。
体の底から湧き上がってくる熱。
集中型の私にとっては、近接距離こそが本領を発揮できる領域だった。
サンダー・ボールのような攻撃はまだまだ扱いが難しい。
その反面、近くからなら。
ゴォッ
全身に集まってくるエネルギーは、髪を逆立たせた。
手のひらから放出される激しい電流。
気絶させるつもりで、押し込むように腕を伸ばした。
バシャッ
——感触が、…ない?
手応えはあった。
背中に触れた、その瞬間までは。
違和感を感じたのはその後だ。
押し込んだ右手から伝わってくる感触が、想定しているよりも軽かった。
電流が流れると同時に敵の体が崩壊する。
ペットボトルの容器が割れて、漏れ出してきた水。
表現としては、それに近かった。
水が流れる音。
湿った空気が周囲に流れ、ぽこぽこと泡が弾けていく。
(分身…?)
崩壊した体は「水」でできていた。
それが“偽物“であることはすぐにわかった。
——しまった
敵はやっぱりアイツだ。
純粋系統特有の性質に、分身。
こんな手を使うのはアイツくらいだ。
だとしたら、どこにいった…?
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