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レッドブルでも飲むか
第3話
しおりを挟む何が問題って、せっかく真琴先輩がおすすめの部署と“新米天使見習い”の特権を教えてくれたってのに、ものの見事にそのアドバイスを無碍にしてしまったってこと。
「特権」というのは、身分の申請を通す際に、経歴が“真っ白”だっていうことだ。
裏を返せば良いところも悪いところもない。
だから、配属先の部署の希望を自由に受け付けてくれるという習わしがあった。
経歴が白紙の見習い天使は、筆記試験にさえ合格できれば、希望の部署に登録できる。
ただし一度でも筆記試験に落ちてしまえば、たちまち「下界送還経験有り」のレッテルを貼られる。
魔法省に帰って再度筆記試験に合格できても、配属先の部署は魔法省が決めることになる。
部署を自分で選べないだけだって?
いやいや、そんな軽い問題じゃないんだよ。
烏森町は平和で有名なんだ。
ここ数年はいざこざが一切ない、新人にとっての最適な「場所」だって。
天使の仕事というのは、大きく分けて2つある。
1つは悪魔の殲滅。
世界には3つの階層があって、下界と天界、それから魔界が存在する。
どれも「生命」という魂の循環を担う重要な役割を担っていて、魔界は魔界で、罰を犯した人間の魂を清めるために必要な場所だそうだった。
最初聞いた時は、名前からして絶対にヤバい場所でしょ!?って思ったけど、実は「世界についた汚れをキレイにする」みたいなSDGsな場所だった。
「魔界」という文字からは想像もできないほどの森林感。
下界が地上だとしたら、魔界はその下にある「土」だ。
地上から出た汚れを綺麗に洗い流してくれる機関。
そう言った方がいいかな?
だけど魔界には、天界と同じように魔法省があって、そこで活動している天使たちがいる。
魔界で設立されている魔法省は通称『第0地区』と呼ばれ、そこでは、魔界に巣食う生物、『魔族(デモンズ)※』の活動を抑制するための管理ネットワーク(防衛局)が設立されている。
※魔族には様々な種別が存在し、「悪魔」はその中でも最上位の種に分類される
古くから、天使と悪魔たちは戦いを繰り広げてきた。
悪魔は世界の「病巣」と呼ばれ、世界の秩序や環境を乱す存在として、“特定駆除対象”に指定されていた。
なぜなら悪魔は、魔界に送られた悪い魂(元々は人間だった魂)が、強すぎる“悪意”のせいで浄化されず、そのまま魔物に変化してしまった怪物だからだ。
「魔界」には本来、『悪魔』は存在していなかった。
下界の人口の増加と人間同士の争いが、そういった怪物を生み出す原動力になっていた。
魔族のうちの下等種は人類の誕生史以前から存在していたが、地球環境にはほとんど害をもたらしていなかった。
人間の歴史が歩みを進めるにつれて、魔界では地球環境の汚染が進んでいった。
悪魔は空気を汚すだけでなく、魂の循環にも悪影響を及ぼす。
存在自体が「毒」であり、星の命を脅かすものとして、天界では教えられていた。
また悪魔は、人間や天使と同じく、各地域(魔界や下界の中)によって領土や組織を作り、世界各地で生息&活動していることが報告されている。
『天使』は、その怪物たちから人間を守らなければならない。
それが、1つ目の役割。
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