COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

じゃがマヨ

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バトルフェスティバル 地区予選編①

第72話

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 「だが、まだ終わったわけじゃない」


 リオン君はほくそ笑むように、自分の胸を貫いた相手の手を掴んでいた。


 「惜しかったね。もう少しで心臓をやられるところだったよ」


 相手は、急いで手を引っこ抜こうとする。

 けど、抜けない。

 咄嗟の判断で、もう片方の手を勢いよく振り上げた。

 振り上げた右手の手のひらには、急速に回転しようとする大気の渦が。

 
 ハリケーン。


 至近距離から放つ、広範囲魔法。

 その範囲を狭め、より高威力に出力するための予備動作を取っていた。


 「今の一撃で行動不能にできなかったのが、相手の運の尽きだ」


 先輩が教えてくれた。

 リオン君の「特性」を。


 「リオンは元々近接攻撃が得意な“ファイター”だ。私と同じさ。武器を持たないのも。遠距離からの攻撃を好まないのも」

 「え、でも…」

 「リオンの特性が活きる領域は“数メートル内”でしかない。ただその数メートル内に於いて、アイツは鉄壁の防御力を誇る」


 高密度に収束する風のエネルギー体がリオン君の体に襲いかかる。

 しかしそれは届かなかった。

 振りかざした相手の右手が予期せぬ方向に“曲がる”。

 正しくは、“捻れる”と言ったほうがいいのかもしれない。

 手のひらの上で風の魔法が消失する。

 出力されようとしていた先で、不自然な挙動が空間内に走った。



 「屈折(リフレクション)」



 光が水にぶつかると、その界面を境に物質が歪んでいるように見える。

 例えば、水中に差し込んだ棒が曲がって見える現象は、空気の屈折率が約1.0003、水の屈折率が約1.3330と異なるためだ。

 これを「光の屈折」という。


 リオン君の特性。

 指定した範囲の魔力流域、及び物質の進行方向を強制的に“曲げる”。

 その曲率はリオン君の体の周囲に近ければ近いほど大きく、離れれば離れるほど小さくなる。

 リオン君の体の数メートル内に於いて、“全ての物質と魔法は直進できない“。

 イメージとしてはそういった感じだろうか?

 展開しようとしていた相手の動きが、”反対方向に曲がったように見えた“のは。

 
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