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バトルフェスティバル 地区予選編②
第94話
しおりを挟むさっきも言ったように、天使が一度に出力できる魔法量には「上限」がある。
カーティスが展開していたサンド・ストームは、影響を与える範囲が広範囲だったとしても、部分的な粒子の密度や魔力量は散漫化しており、領域自体も無限じゃなかった。
それは単位時間あたりの質量流量や運動幅にも同じことが言え、魔法流域の「部分」によっては、砂嵐の密度の高低差が存在している。
先輩が誘導したのは相手の「意識」だった。
正面から突っ込むと“見せかけ”、敵の防壁の向きや濃度を調節する。
“攻撃箇所を絞らせない”
空気中に展開した電気経路を使って、先輩はすでに多方向への移動が「可能」だった。
上空からも、——背後からも。
先輩は相手の魔法流域の強弱、すなわち砂塵の質量や密度の変化をあらゆる角度から知覚している。
敵は先輩の攻撃に備えて、全方向への防御網を張り巡らせていた。
ただ、それは同時に、“そうせざるを得ない”状況でもあった。
電磁球(スパークショット)——
蓄電させた電気エネルギーを空気中に解き放つ。
電界変化の渦中にある砂塵の周りは、すでに先輩の『足場』だった。
多方向からの電撃。
先輩の放ったスパークショットは、周りに飛び交う石や鉱物を「弾丸」としながら、強力な電磁気力で放つ“電気砲”だった。
空間の全てを使った立体的な銃撃。
——すでに、死角からの攻撃を可能にしていた。
意識の及ばない範囲へと。
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