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まだ、未成年なんですが?

第132話

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 鮮血はなかった。

 空気が“破れた”ような音だけが、そこにあった。

 バケツをひっくり返した水が地面とぶつかる。

 あるいは、山から落ちてくる雪崩が、勢いよく斜面を滑り落ちる。

 景色の断片そのものを変えるほどの「厚み」が、空間の中心を捉えていた。

 その様子はまるで、口を開けた狼が、獲物の首を刈り取る姿そのものだった。


 敵の上半身が跡形もなく消え去る。

 風が砂を散らすように、また、霧が晴れた空のように、——広がる。

 地面の上に立ち尽くす敵の影が、まだ、その「場」に残っていた。

 敵はまだ“立っていた”。

 立ち、次の攻撃へと備えていた。

 私にも微かに感じられた。

 あの時確かに防御の体勢を整えようとしていた。

 正面から向かってくる先輩の軌道線上に、動いていた。

 ——それでも


 微かに動きが鈍ったように見えたのは、見間違えだったんだろうか…?

 2人の足元で地面が僅かにうねったように見えたのは…?


 わからない。

 ただ1つ言えるのは、確かな結果がそこにあるということだった。

 審判団が試合終了の合図を告げた。

 「明白」だったからだ。

 この試合の行方。

 勝敗の行方が。


 

 
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